【未来型読書法】ABDイベントに参加してきた。
――ABDは「未来型読書法」と呼ばれていて、新時代の読書の仕方とされています。実際に今回参加してみて、確かに、未来の読書法であることを肌で感じることができました。「仲間」と「体験」に重きを置いているからです。
人生は物語。
どうも横山黎です。
大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。
今回は「何故、ABDは未来型読書法と呼ばれているのか」というテーマで話していこうと思います。
📚ABDイベントに参加してきた!
昨年から僕がお世話になっているシェアハウス「はちとご」で、昨日ABDのイベントが開催されました。ビブリオバトルに参加したり、読書会を開催したりしている僕が参加しないわけにはいきません。主催者のはやぶささんに誘われたとき、二つ返事で了解の旨を伝えました。
ABDとは、「アクティブ・ブック・ダイアローグ」の頭文字を取ったもの。未来型読書法と呼ばれている最近注目の読書の仕方です。本があまり得意ではない人も短時間で読書を楽しめます。
まず課題図書となる1冊の本を参加者全員で役割分担をして読んでいきます。その後、それぞれの担当箇所を要約して、発表します。全員がそれぞれの担当分の内容の要約を共有することによって、本の全体像を掴むことができるというわけです。
以前、オンラインで開催されたABDイベントを聴講したことはあったんですが、ちゃんと参加するのは今回が初めてでした。だからといって別に不安があったわけではなく、新しい本との向き合い方を知ることのできる良い機会だと思い、わくわくしていました。
開催場所は、シェアハウス「はちとご」。リビングのテーブルを囲んだのは、全部で8人。つまり、8人で1冊の本を読んでいったというわけです。それでは、実際にどのように進められていったのか、語っていきますね。
📚『冒険の書』を8人で読む
課題図書となったのは、孫泰藏さんの『冒険の書 AI時代のアンラーニング』。主催のはやぶささんが読みたかった1冊で、僕自身、本屋さんで見かけてから気になっていました。
まずは、イベントのチェックイン。初めて参加する人ばかりなので、はやぶささんはABDの説明から入りました。
その後、本を破ります。そうなんです。破ったんです。1冊の本を8分割して、それぞれが紙の本で読めるようにしたんです。これによって参加者が本を買って参加する必要がないわけですよね。参加障壁を低くする工夫が凝らされているなあと思いました。
それぞれの担当箇所を決めて、それぞれが読書を始めます。ひとりが読む量は、20~60ページくらい。それを50分くらいの間に、読んで、要約して、発表のための紙のスライド資料をつくっていきます。
ここに関して、僕の個人的な感想を残しておきますね。
ABDは時間以内に要約することが求められるので、自分の担当箇所を読み込むよりも、その内容の要点を掴むことに重きが置かれます。以前聴講したこともあって、何となくそれを認識していたので、僕はとにかく早く読むことを意識しました。特に僕の担当箇所は量が多かったのでなおさらです。ここでは何が言いたいのかを捉えればいいので、抽象的な文章で理解できたら「たとえば~」の段落を読み飛ばしたり、「つまり」や「大事なことは」といったワードに注目して、その後に続く文章をよく読むようにしていました。
さて、みんなが担当箇所を要約した紙のスライドが出そろったら、その紙をつなげていって、壁に貼り付けました。第一章から順番に並べていったんです。1冊の本の流れが、目の前に現れました。その光景はなかなか見ごたえがあって、眺めるだけでも『冒険の書』を楽しむことができます。
壁に貼り付けた紙のスライドを示しながら、参加者たちは順番に担当箇所を共有していきます。おおよそひとり5分でプレゼンしていきました。話を聴いていくと、「その言葉は他の章にも登場したのね」とか「アンラーニングってこの章で話していることも指しているのかも」とか「最終的にはそういうことが言いたかったのか」とか、思うところもたくさんあったし、発見もたくさんありました。
最後に、フリータイムがあって、お互いに気付いたことや疑問に思ったことを語り合いました。他の人と語り合うことで解消されることは確かにあったし、より高次の抽象概念に気付くこともありました。『冒険の書』は何を伝えたいのかをみんなで考えて結論付けて、イベントは終了しました。
📚未来の読書法
さきほども触れましたが、ABDは「未来型読書法」と呼ばれていて、新時代の読書の仕方とされています。実際に今回参加してみて、確かに、未来の読書法であることを肌で感じることができました。「仲間」と「体験」に重きを置いているからです。
21世紀の人類の課題は「孤独」ともいわれていて、誰かとつながること、コミュニティに属することが求められます。遊びにしろ、仕事にしろ、学びにしろ、ひとりで取り組むものではなくて、みんなで手を取り合って取り組む方がいい。むしろ、その方が能動的な生き方につながるし、豊かな人生を過ごすことができるのです。
従来、読書とはひとりでするものでした。ひとりで本を読んで、ひとりで感想を持って、終わり。読後には誰かに話したり、ネットに感想を綴ったりすることはあったと思いますが、多くの人は「ひとりで読んで終わり」の読書ばかりだったのではないでしょうか。その点、ABDはそもそもひとりでは成立しない読書法ですから、必然的に仲間の存在が必要になります。それぞれが与えられた役割を果たしながら、本をきっかけに交流することができるので、「孤独」の解消につながるんですよね。
また、ABDは「体験」を重視した読書法です。「みんなで読む」「要約資料をつくる」「プレゼンする」「他の人のプレゼンを聴く」「他の人と交流する」といった「体験」を孕んだ読書法なのです。そもそもイベントの時点で、「体験」という要素は孕んでいるのです。
もうすぐ東京お台場に「イマーシブ・フォート東京」というテーマパークが誕生します。「完全没入体験」をキーワードに、お客さんが当事者になれる極上の体験を提供してくれる場所です。突然事件が起こったり、謎解きに参加しなければいけなくなったり、まるで物語の世界に入ったかのような感覚を味わうことができるとのこと。
「チームラボ」とか「泊れる演劇」とか「脱出ゲーム」とか「体験する物語」とか、特別な「体験」ができることがコンテンツの良し悪しにつながってくるとする流れが確かにあるんですよね。
僕は大学生作家と謳っているし、本の可能性を探っている人だから、「本×体験」を常に考えているんですけれど、まさにABDはそれに該当するコンテンツだと思っていて、普通にひとりで読書するときとは全く違う体験を味わうことができます。
孤独を解消してくれるし、特別な体験を提供してくれるから、ABDは未来型読書法と呼ばれているんだなと認識したという話でした。また機会があれば参加しようと思います。みなさんも是非! 最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
20240215 横山黎