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ミステリーと出逢った日。

――謎を入り口にして、僕は自分のメッセージを表現しています。それは今までもそうだし、これからもそう。そのスタイルはきっと変わらないんだと思います。


人生は物語。
どうも横山黎です。

作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。

毎月最終日には誰の目を気にすることもなく、自分の過去について綴っています。今日は9月30日。今月も最後の日がやってきたので、記憶の旅に出かけます。


今回は「ミステリーと出逢った日。」というテーマで話していこうと思います。


🏨謎解きイベントを終えた今だから

昨日、泊まれる謎解き『花火の幽霊~木の家ゲストハウスからの脱出~』というイベントを開催しました。僕は今、木の家ゲストハウスという宿泊施設で仕事をしているんですが、そこを舞台に「謎解き体験」と「物語体験」のできるコンテンツをつくったんです。

物語は、「花火の幽霊」と名乗る声が聴こえるところから始まります。彼女は幽霊の状態でこの世をさまよっており、あの世へ逝くためには未練を解く必要があるというのです。その未練を解くために、参加者は木の家ゲストハウスに仕掛けられた謎を解き明かしていく……という流れです。

参加者は9人。初めましての人も久しぶりの人もみんな一緒になって、花火の幽霊の未練を解くために謎を解いていました。

今回は謎解きの他に、「体験」にもこだわりました。

花火の幽霊の声を務めるキャストとリアルタイムでやりとりできるように、スピーカーフォンを置きました。声の広がりを追求するために、頭上にある梁の上に。実際、没入感や非日常性を評価する声はいただいて、追求し甲斐があったなと振り返っています。

また、今回はたこ焼きが食べられます。劇中でもとある役割を果たすので、せっかくだしタコパをかねたイベントにしたんですが、そのたこ焼きをつくっていたのは僕。みんなが謎解きをしているさなか、暇さえあればたこ焼きをつくっていました。それもそれで参加者の小腹を満たすことにもなったし、焼き方が上手と謎の評価をいただくこともありました。特別はことは何もしていませんが(笑)

他にも、演劇を交えたり、みんなで線香花火をする時間を用意したりと、とにかく「体験」を追求したんです。もはや「体験」ありきで物語をつくったり、「体験」のために物語を変えたりしていました。

もちろん宿題は山積みだし、上手くいかなかった部分もたくさんあるんだけれど、しかし参加者の謎を解いている様子、たこ焼きを食べている様子、演劇を鑑賞している様子、花火をしている様子を見て、『花火の幽霊』は少なからず体験価値のあるコンテンツになったと振り返ることができています。

今回は、そのイベントを終えてまもない時期ということもあるので、どうして僕が謎解きイベントを開催することになったのか、そもそもなんで謎解きが好きなのか、さらにはもっと話を広げて、「ミステリー」というジャンルに対する思いを綴っていこうと思います。


🏨僕のミステリー遍歴

物心ついた頃から、ミステリーが好きでした。

はじまりは『名探偵コナン』だったかな。誕生日に原作漫画をサンタさんに願うくらいに好きでした。小3のときに『沈黙の15分』を映画館で観て以来、毎年欠かさず映画を観ています。

ちなみにいちばん好きなコナン映画は4作目の『瞳の中の暗殺者』です。ミステリーと恋愛とアクションのバランスが理想的なんです。


小4の頃から小説を読み始めました。僕は地元が東京都の北区というところでした。家の近くに図書館があったんですが、北区出身の作家ということで、入り口近くの目立つ棚に内田康夫先生の作品がピックアップされていたんです。何がきっかけかは分かりませんが、内田康夫の本を手に取るようになりました。僕が最初にはまった作家は内田康夫だったんです。

浅見光彦という探偵を生み出した作家さんです。ルポライターという職業柄、日本各地に取材に行くんですが、その旅先で殺人事件に巻き込まれてしまうんです。そんな日本の名所や文化とミステリーを融合させた旅情ミステリーを、内田先生はよく書かれていました。

小学校高学年から中学生まで内田先生の本をよく読んでいました。100冊以上あるから全部は読み切れていないけれど、半分は読んだんじゃないかな。ちなみに僕が好きな作品は『後鳥羽伝説殺人事件』『ぼくが探偵だった夏』『遺譜』とかだったかな。正直あんまり内容覚えていないので、今度読み返してみようと思います。


中学生からは特にミステリー小説にはまっていました。東野圭吾の有名作はだいたい読んだし、綾辻幸人の館シリーズも全部読みました。なかでも特にはまったのは米澤穂信の古典部シリーズです。

第1作の『氷菓』はアニメ化もされて話題になりました。高校生たちの青春を謎を道具としてこんなにも鮮やかに描くことができるのか、と感動したことを覚えています。

僕がいちばん好きな話は『遠まわりする雛』。あと、『いまさら翼といわれても』に収録されている『長い休日』もめちゃくちゃ好きです。どちらの作品もタイトルのダブルミーニングに魅せられました。


また、中学生の頃からよくドラマを観漁っていたんですが、ミステリーものや刑事ものは特によく見ていました。『相棒』『警視庁捜査1課9係』『刑事7人』、あと『スペシャリスト』も好きだったな。お父さんの影響ですが『古畑任三郎』にもどっぷりはまっていました。

高校1年生のときだったかな、『アンナチュラル』というドラマが放送されました。脚本家が野木亜紀子さんだったのでめちゃくちゃ期待していたんですが、その期待を遥かに超える第1話に魅せられて、のめりこみました。2年後、大学生になった僕は同じ世界戦の『MIU404』にものめりこみ、つい先日、三部作目となる映画『ラストマイル』にも心を揺さぶられました。


中学3年生のときにお付き合いしていた人がいます。彼女は謎解きが好きでした。当時は松丸君が謎解きブームに火をつけた頃で、僕も興味は持っていて、「今夜は謎トレ」という番組が好きでよく観ていました。お互いの関心が重なったこともあり、僕は彼女に連れられて、脱出ゲームの公演に参加することになったんです。

そのとき参加したのは、牢獄からの脱出を目指す公演でした。本当に牢屋に閉じこめられるんです。で、その中に謎がちりばめられていて、それを解いて脱出を試みました。

初めての脱出ゲームだったけれど、すごく楽しめて、こんな世界があるんだと胸が高鳴ったことを覚えています。そして、そのときの彼女が光るような笑顔を見せていたことも。

僕は僕で小説やドラマから謎に魅せられていたけれど、彼女も彼女で別の角度から謎に魅せられていたのです。


🏨僕にとってのミステリー

このままだといくらでも語ってしまうしとりとめのない文章になっちゃうのでそろそろ話をまとめるんですが、結論からいうと、僕はミステリーが好きだし、これからもそれを追いかけ続けるつもりでいます。

今回僕がつくった『花火の幽霊』は、中学生の僕が体験した脱出ゲームの原体験に端を発するものではありますが、コナンのような論理で犯人を当てる物語でもあるし、内田康夫や米澤穂信、野木亜紀子の作品のような人の心を描くために謎があるミステリーです。

僕が出逢ってきたミステリーを詰め合わせた創作だったんです。

謎があればそれを解こうとしたくなりがちなので、誰かの興味を惹く、好奇心を抱かせる材料としては申し分ありません。謎を入り口にして、僕は自分のメッセージを表現しています。それは今までもそうだし、これからもそう。そのスタイルはきっと変わらないんだと思います。

だからこそ、圧倒的な謎めいた物語をつくりたいなと思いました。誰もがあっと驚くような、最後には涙や笑顔をつくるような、出逢えてよかったと思ってもらえるような作品をさっさとつくってしまいたいと切に思っているのです。

また明日の記事で詳しく語ると思いますが、そろそろガチで小説と向き合ってみようと思います。

奨励賞を受賞した日

僕は高校時代、地元北区の開催した「内田康夫ミステリー文学賞」の奨励賞を受賞したことがありました。
#ここでも内田康夫

大学時代に『Message』という本を自分で出版したし、それを250冊以上手売りしたとはいえ、その文学賞以降、分かりやすく社会的な評価をいただく機会はありませんでした。

そろそろ、獲りにいきます。

次のステージに進むためにも、賞を獲れるような作品をつくりにいきます。明日からの人生をかけて、圧倒的な物語を綴っていくので、近くで、遠くで、見守っていてください。そして、いつか、その瞬間を目撃してください。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20240930 横山黎

小学校の卒業アルバム












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