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【タイトル論】名は体を表す。

ーータイトルはその物語の本当の姿が表れているということ。タイトルにこそ、物語のメッセージ、テーマ、雰囲気といった要素が宿るのです。


人生は物語。
どうも横山黎です。

今回は「名は体を表す」というテーマで話していこうと思います。


📚『Message』というタイトル

本にしろ漫画にしろ映画にしろ絵にしろ音楽にしろ、あらゆる創作には大抵名前がついているものです。僕自身、本を書く身ですから、自分のつくったものに名前をつける機会が多々あります。以前にもタイトルについて綴ったことはありますが、最近持ち合わせているタイトルについての持論を語っていこうと思います。

僕はめちゃくちゃタイトル(名前)にこだわる人で、そこに意味が重なっていればいるほど萌えるタイプです(笑)

たとえば......。



僕は去年、初書籍『Message』を出版しました。成人の日を舞台にしたヒューマンミステリーです。

ダイイングメッセージって、被害者が犯人の名前を書く文化が定着しているけれど、人生最後なんだから、本当に伝えたいことを、伝えたい人に、伝えるべきなんじゃないか。そんな疑問から始まった物語です。

そこに乗っけた物語が、成人の日、そして、僕の20年の人生でした。僕の20歳の年の出来事をおつまでも残しておきたくて、成人の日を舞台にしたんです。将来の自分がこの物語を見返せば、そのときの出来事や感情を思い出すことができます。

さらに小説『Message』は、今まで僕の人生に関わってくれた人に、20年分の感謝と愛情を伝える物語でもあります。出版後、僕が自ら手売りを続けているのも、これまでに出逢った人に本を通して感謝と愛情を伝えるためでした。

話をまとめますね。小説『Message』は、

①ダイイングメッセージ
②未来の自分へのメッセージ
③これまで出逢ってくれた人へのメッセージ

という3つの要素があって、共通項をくくると、いうまでもなく「メッセージ」なんです。

当初、「Message」ってありきたりだし、インパクトはないし、どうなんだろう......と悩んでいたんですが、今思えば、これだけの意味を重ねることができた素晴らしいタイトルだなあとかなり腑に落ちています。

そこまでしないと「良いタイトルです!」と胸を張れないくらい、僕はタイトルフェチというわけです。



📚読後に戻りたくなるタイトル

いろんな意味を込めたくなるというよりかは、伝えたいことを整理して物語にしていくと、結果的にいろんな意味が込められたタイトルになっているといったほうが正しいかもしれません。そして、僕はそういうタイトルが好きなんです。

もう少し噛み砕くと、物語を読み進めていくにつれ、意味が増えていくタイトルが好き

たぶん小説『Message』を読んでくれた人の多くは、ダイイングメッセージという文化そのものを捉え直してくれたし、最後の1行でタイトルの真意を掴んでくれたと思います。ダイイングメッセージの物語だから、『Message』と思っていたけれど、それだけじゃなくて......という風に。

有名作を例に出してみますね。読んだことある人はなんとなく言いたいことが分かるような気がします。

東野圭吾『禁断の魔術』『片思い』
米澤穂信『遠まわりする雛』『長い休日』
にしのあきひろ『みにくいマルコ〜えんとつ町に咲いた花〜』
芥川龍之介『藪の中』
町田そのこ『52ヘルツのくじらたち』
アレックス・ロビラ、フェルナンド・トリアス・デ・ベス『Good Luck』

数え出したらきりがないですが、どれも僕のお気に入りの本ばかりです。

読後に戻ってきたときに、やっぱりこのタイトルがふさわしいなと思うのと同時に、読む前と後とで意味や感じ方、捉え方が変わっていたらいいなという思いがあるんです。だからこそ、そういう物語をつくりたいと思うんです。



📚名は体を表す

「名は体を表す」という言葉があります。名前にはそのものの本当の姿が表れているという意味です。

これを創作のタイトルの話に転用すれば、タイトルはその物語の本当の姿が表れているということ。タイトルにこそ、物語のメッセージ、テーマ、雰囲気といった要素が宿るのです。

さっきの「読後に戻りたくなるタイトル」はまさに「名は体を表す」が理由になっていると思っていて、最初から最後までイメージが一貫しているかつ、意味を捉え直すことができる小さな裏切りがあるからこそ、戻りたくなる。

裏切るためには、イメージとかけ離れなければいけない気がしますが、そこをどう上手く自然に裏切るかが必要になってくるんですよね(『Message』は良い例)。


さて、最近、一度絶好した親友と飲みにいってきました。そこに至るまでにいろいろあったし、当日もめちゃくちゃいろいろあったので詳細は割愛しますが、大きく分けて2つの出来事がありました。

ひとつは、「もう一度、彼と一緒に演劇をやると約束したこと」

もうひとつは、「同日たまたま演劇部の後輩たちも再会していて、2件目で合流することになったこと」

片方だけでも奇跡なのに、そんな奇跡が同時に起こるもんだから、興奮が止まりませんでした(笑)



話を戻しますが、早速僕は彼と一緒にやる演劇のネタをぼんやり考えていて、まずタイトルを決めるところから始めました。僕にとってはよくあることなんですが、とりあえずタイトルを決めてしまってそのタイトルが魅力的になるように物語をつくっていく手法を取ることにしました。

ということで、タイトルだけ先にネタバレしておきます。僕たちがやる舞台は、『Spotlight』という演目です。理由は以下のとおりです。


①演劇部の話にしたいから、タイトルでそれを想像できるタイトルにしたい。

②「スポットライト症候群」......一度スポットライトを浴びた人は、時間が経っても同じようにスポットライトを浴びたくなるという意味の俗語。

③この前再会した後輩のひとりが、僕の歌詞に曲をつけてくれたことがあって、その曲名が「スポットライト」。


これだけ要素が揃っていればこのタイトルにしないわけにはいきません。あの日、僕と、親友と、後輩が再会したのは、この演劇のための伏線だったんだと思います。

時間がたっても舞台の脚光を忘れられない演劇人がもう一度舞台に立つ物語を、時間がたっても舞台の脚光を忘れられない僕と親友で届けにいきます。

最近はやりたいことやるべきことが山積して参っています。ひとつずつ、丁寧に、届けにいきますね。最後まで読んでくださりありがとうございました。


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