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【鎌倉旅行記】『ツバキ文具店』の聖地巡礼をしてきた。

ーー1泊2日の旅行とはいえ、なかなか充実したスケジュールで動くことができました。それもひとえに、『ツバキ文具店』という物語があったおかげです。


人生は物語。
どうも横山黎です。

作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。

今回は「『ツバキ文具店』の聖地巡礼をしてきた。」というテーマで話していこうと思います。

昨日、今日と、僕は鎌倉を訪れていました。小川糸さんの人気シリーズ『ツバキ文具店』の聖地巡礼をするためです。

『ツバキ文具店』は、手紙の代筆の仕事をする鳩子が、様々な依頼人からの手紙代筆の依頼にこたえていくなかで、人とのつながりに温かさを見出し、自分の過去を見つめ、新しい未来へと踏み出していく物語です。

作中に登場する手紙は、本当にそう書いたようにページに印刷されていて、紙の本ならではの魅力が詰まっている1冊です。

『ツバキ文具店』の舞台は鎌倉で、その店自体は実在しないんですが、作中に登場するカレー屋さんやバーなどは実際にあるんです。母親もこのシリーズが好きで、小旅行がてら聖地巡礼をしたいと誘われ、この度、鎌倉の地を踏むことになったというわけです。

ということで、今回は僕らの回った鎌倉のスポットをここに残していこうと思います。


①小町通り

まず訪れたのは、小町通り。鎌倉駅を出てすぐのところにある名の知られた通り。平日にも関わらず、多くの人で賑わっていました。びっくりしたのが外国人の多さ。いろんな言語が飛び交っているなかを歩いていたので、ここが日本の鎌倉なのか一瞬疑いました。

――さすがに日曜日の夕方の六時を過ぎた小町通りは、人の往来が少なくひっそりとしている。自然とQPちゃんを間に挟み、三人並んで手を繋ぎながら歩いた。

小川糸『ツバキ文具店』p.324


②OXYMORON

昼は、小町通りにある「OXYMORON」というスパイスカレーのお店へ。ここは、『ツバキ文具店』で、鳩子とモリカゲさんが初めてのデートで立ち寄った場所。カレー屋さんを開きたいモリカゲさんから同業の店舗に偵察しにいきたいと誘われ、鳩子はこの店を訪れました。

僕が頼んだのはキーマカレー。「和風」という言葉が添えられていたんですが、その名の通り、辛さはもちろんあるけれど、さっぱりとした味わいでした。

――久しぶりに食べた和風キーマカレーは、やっぱりおいしかった。ちゃんと辛くて、様々なスパイスが入り乱れていて、ハッと心の目が開眼する。
「よかったら、こっちも味見してみませんか?」
 モリカゲさんの方へお皿を差し出すと、
「じゃ、遠慮なく」
 スプーンで和風キーマカレーをすくい上げた。

小川糸『ツバキ文具店』p.321


③天園ハイキングコース

その後は、建長寺へ。天園ハイキングコースを歩くことにしました。作中では、鳩子、バーバラ夫人、男爵。パンティーが正月にそこを歩いていました。鎌倉宮では、「厄割り」という体験ができます。お皿を石に投げつけるというもの。単純な割に、意外と難しくて、僕も母も一度で綺麗に割ることができませんでした(笑)

――途中、鎌倉宮に寄り道して、全員で厄割り石をやった。この近所で生まれ育った私でも、これをするのは初めてだ。かわらけと呼ばれる薄い皿のようにようなものに息を吹きかけ、悪い物をそこに移したら、石に向かって思いっきり投げつけるのだ。みんな、真剣な表情でかわらけを放つ。
 パリン、と一番いい音を立てて割ったのは、バーバラ婦人である。
「やったわ! これで私の厄落としも完璧ね」

小川糸『ツバキ文具店』p.206


④THE BANK

夕方には「THE BANK」というバーへ。ここは元々銀行だった場所で、その名残が店名と店構えにあります。ほの暗い明るさの店内で、静かにお酒を嗜むことができました。作中に登場する「サンブーカモンカス」というお酒がやっていなくて、それを飲めなかったのが心残りではありました。

――男爵が、入り口のドアを開けてくれる。建物の上の方に、「由比ヶ浜出張所」という名前が残されていた。
「ここって、昔銀行だったんですよね」
 男爵がこんなおしゃれなバーを知っていることに驚いたけれど、似合っていると言えば似合っている。いったい、男爵というのは何者なのだろう。

小川糸『ツバキ文具店』p.139


⑤IZA鎌倉ゲストハウス

夜は「しゃもじ」という海鮮居酒屋に行き、そのまま「IZA鎌倉ゲストハウス」へ。両者『ツバキ文具店』とは関係がありませんが、いずれもステキなお店でした。

僕は今、ゲストハウスで仕事をしているということもあり、今回の宿泊先はどうしてもゲストハウスに泊まりたかったんです。観光地にあるゲストハウスの実態を知りたかったから。

当日行ってみると、日本人と外国人が半々くらいでいました。多分宿泊客は10人くらいでしたね。ゲストハウスに関してもいろいろ気付きがあったので、また改めて記事にしたいと思います。


⑥長谷寺

2日目の昼前に訪れたのは長谷寺。これも『ツバキ文具店』とは関係がありませんが、ゲストハウスから近いこともあり立ち寄ることにしました。

今はちょうど紫陽花が見頃の時期で、雨の日に関わらずめっちゃ人がいました。いや、きっと雨の日だからこそ人がたくさんいたといった方が正しいかもしれません。

これもまた改めて記事にするつもりですが、やっぱり紫陽花は雨とお似合いだなと思いました。雨粒で滴っている花びら、それを眺める人たちの傘たち。その光景こそ、紫陽花の名所は追求するべきだと認識を強めました。


豊龍フェンロン

2日目のランチは、中華料理のお店「豊龍」。これはシリーズ3冊目の『椿の恋文』に登場するお店で、2回目の七福神参りの前にみんなでご飯を食べた場所。

由比ヶ浜駅に隣接していて、江ノ電が通る度に床に震動が伝わります。昔ながらの中華屋さんではありますが、店内は綺麗で、ラーメンもおいしかったです。


⑧高徳院

再び長谷の方へ戻り、高徳院へ。鎌倉といえばと聞かれて真っ先に思い至る大仏が居座っている場所です。

朝から降り続ける雨は止むことを知らず、大仏の身体をも静かに濡らしていました。心なしか寂しげに見えたのは雨のせいかもしれませんね。


⑨「海と本」

鎌倉にいくと決まってから自分で調べてみて、個人的に行きたかったのが、『海と本』という本屋さんでした。長谷駅の近くのビルの2階に構えるそこは、その名の通り、海に関する本を取り揃えていました。

僕らしかお客さんがいなかったこともあり、30分以上、店主の方とおしゃべり。鎌倉の観光事情、書店情報を教えてくださいました。

せっかくですから、本を1冊購入。『海と本』の近くにある出版社「港の人」から刊行されている『あたまの底のさびしい歌』という本です。宮沢賢治の手紙を11通収録した1冊。宮沢賢治好きだし、手紙好きだし、鎌倉の出版社の本という唯一性もあるので購入することにしました。自分へのお土産という意味も込めて。

1泊2日の旅行とはいえ、なかなか充実したスケジュールで動くことができました。それもひとえに、『ツバキ文具店』という物語があったおかげです。物語があったから、作中に登場するスポットを巡ろうとしたし、そのルートをもとに自分たちの興味関心のある場所を探し、実際に立ち寄ることができたのです。

それを踏まえると、小説は、旅のしおりにもなり得るという結論を得られます。これに関しても改めて記事にしますね。

たくさんの気づきと感動のあった鎌倉旅行でした。またこの場所に帰りたくなりました。初めて行った場所だとしても、最後には「また帰りたい」と思える。それが旅の醍醐味ですね。また別の場所へ旅したくなりました。最後まで読んでくださりありがとうございました。

20240621  横山黎



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