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TANKA

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現代短歌。過去や現在や未来のことを文字にする。漫然とだらだら書きたくなかったので、「素材:キャンバスにアクリル絵具」のような括りを文字の表現にも設けたいと思った。
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#日々

現代短歌 《見える音楽聴く絵画》

現代短歌 《見える音楽聴く絵画》

この気持ち心の中にとどめればいつまでだってあなたといられる

叶わないそれが唯一の救済か消えることのない想いの果てまで

わからない揺れるあなたと一粒のビーズの輝き夕日に照らす

この色が好きな色だと気付いたのわかるなんとなくたとえ隠しても

どれほどの小さな声で話しても聴き取るあなたが嫌いになれない

つらくても見える音楽聴く絵画そういうものがあるから幸せ

絵を描こう悲しみの絵や優しい絵そうい

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現代短歌 《「人間」は》

現代短歌 《「人間」は》

がっかりだあなたがそんなに空っぽで他人を見下す人間だとは

馬鹿らしい表面だけの優しさや丸くおさめる生き方などは

芸術は「良いものを作る」それだけが目的じゃない衝動がある

「人間」はそれぞれ事情があるのです「敢えて」や「わざと」にも意味がある

「考えろ」その言葉そのまま返すあなたは私を何も知らない

抱えきれぬ言葉で溢れるこの世界あなたがただ知らないだけで

見くびるなお前のほうが浅はかだ「

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現代短歌 《優しい言葉》

現代短歌 《優しい言葉》

できもしないくせにやりもしないくせに自分の言葉で言えないくせに

ネットの海で拾った言葉自分の武器にでもなると思ったか

細く長く蛇にでもなるのかい?何も続けられない分際で

無理しないでと優しい言葉をかける人間の本音知りもせず

そんなにも辛いというなら少しでも病人のフリして見せてみろ

狭い村の中いつまでも篭っていればいい二度とあらわれるな

鍵のかかった城は安全でいいね誰からも攻撃されない

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現代短歌《現実を歩かぬ者は不要》

現代短歌《現実を歩かぬ者は不要》

もみ消して逃げるだけなら楽だろう流れ流されて何処かいっちまえ

許すとか許さないとか無関係ただ自堕落で愚かなお前

苦しいかそうかそうだろう誰一人救えやしないぬるま湯のなか

投げ出して無かったことにすれば良いそれをお前は何度繰り返す

都合良く被害者面をしていれば逃れられると信じているのか

いつまでもそこから出ないでいれば良い安全な場所狭き檻の中

楽だろう仮面をかぶる人たちに餌与えられ宥めら

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現代短歌 《大空はどこまで》

現代短歌 《大空はどこまで》

避けていたあの空へ続く通り道あなたの瞳の奥底にある

万華鏡記憶くるくる遠ざかり明日を描いた夢うつつでも

雨宿りいつまで続くざあざあと降れども何も流してはくれぬ

虹の橋いつの間にできた庭先にあの一言を今すぐに消せ

少しでも期待した私愚か者君のささやき小鳥のはばたき

理解など他人は到底できぬのだ鏡の前で夢語るとき

好きにしろ綺麗なものだけ見ていれば何も進まぬ止まった時計

閉じ込めた理想の

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現代短歌 《袋の中身》

現代短歌 《袋の中身》

待ち合わせあなたは遅れてくるでしょうそれでも待つのが嫌いじゃなくて

遠い目が琥珀のように輝いて寂しさの色じわり浮き上がる

虚しさとあの場所に流れた空気涙とともに消えずに残る

紙袋ぶっきらぼうに渡されて目の前にきらり星が瞬く

「開けてみて」優しい声で言う君は誰にでもそうするのだろうか

ピンバッジきみの絵に似ていたからと受け取り左胸に落ちたまま

筆圧が高いわたしにくれたのは透かして見えぬこ

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現代短歌 《虚しさの色》

現代短歌 《虚しさの色》

いつまでも降り続けるその雨は過去 どこかへ連れ去られてしまった君

美しき夢は心地良い場所だけど いつしかそれも消えて無くなる

人間は時間と記憶に支配され「生きられるよう」できているのだ

夕闇に隠れた手足は薄汚れこちらへ来るなと合図を送る

夜風から浮かび上がった線なぞりどこまでもつづくここに無い国

あまりにも夢を見すぎてしまったかフワフワと浮く地上3センチ

甘口のホイップの上に溶けた蝋

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現代短歌 《一通の手紙》

現代短歌 《一通の手紙》

差出人英語の表記に騙されて異国の便りと見間違う朝

セロハンで止めた口から見えるのは定形外と格闘する君

慎重にひらいた中身は眩しさで目もあけられぬショッキングピンク

黒い線書かれた文字はあたたかで少し控えめ少年の顔

ゆらゆらと紙面に浮かぶ輪郭はあのキャラクターか小鳥の翼か

落描きの行方を目で追いかけまわしあなたの筆跡には勝てなくて

一日を司る影きみの文字時間を止めては夢へと誘う

ゆっく

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現代短歌 《汚れたスニーカー》

現代短歌 《汚れたスニーカー》

その海は誰の涙でできている確かめる前に両足を浸す

ひび割れたグラスにうつるその女(ひと)は時が経つほど美しく光る

溺れても大丈夫ですその波はあなたの心奪えやしない

いつだって優しい言葉をくれるのは傷付けたくないからそれとも

花びらが散る頃にもまだ降り注ぐ紙吹雪のよう気まぐれな言葉

唾を吐き馬鹿野郎などと叫ぶならアスファルトになれ雑草になれ

オーロラに光る眼鏡をかけてみてどうだいこの世も

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現代短歌 《今日も良い日だ?》

現代短歌 《今日も良い日だ?》

住む街が纏う空気も殺気立ち減り続ける菓子増えるゴミ袋

スコールで地が固まらずどうしようグラスに雨雲うかべた過去よ

夢だって見なかったふりフラフラと揺れる天秤戻れない日々

誓います健やかな時病める時その効力はどの程度かしら

あなたなの?返事待つから永遠にいつか会える日が来ると信じて

咲き誇れ誰一人認めなくたってこの花はわたし 生きている限り

散々な思いしたって生きられる明日が来たってまた

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現代短歌 《それでも続く》

現代短歌 《それでも続く》

持ち続け愛しさ溢れど近付けず奪いたくないあなたの自由

舐め回すアイスクリームの蓋の裏私はやらずに少し残したい

透明で何か注げばうつし出す小洒落た脆いグラスの男

手加減が分からぬ私は込めすぎた力の強さで割らないようにと

夢の中よく出てくるのは荒れ果てたおとぎの国のタイニーハウス

そのどれもあなたの家でないことは分かっていながら夕焼けに託す

大雨が綺麗な雪に変わるほど都合良く寒さ現れてくれ

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現代短歌 《灰色の今》

現代短歌 《灰色の今》

じたばたと転げ回って表情を変え続けても驚かぬ君

あなたにはどんな姿に見えている諦めずしがみつく私の影

愛される自信がなくて月影にうつして薄目で見る臆病ゆえ

こわいんだあなたに何処かへ行かれたら居場所持たない寂しさを見る

雨よ降れいつまでも降れこの場所で選択肢奪う口実となれ

ふられれば安心するのかこの心拒否され嫌われるのには慣れたよ

痛くない胸の奥へと突き刺さる棘の大きさ気付きたくない

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現代短歌《どうにもならぬ日々》

現代短歌《どうにもならぬ日々》

「あの時にこうしておけば」と言う人と「あの時」すら無かった己の日々

後悔をしない道選び歩んでも生まれた時代(とき)は変更が効かず

私には普通のことが分からないあなたの邪魔にはなりたくなくて

いつまでも手放すことが出来なくて遂に形にして並べ始め

こんなにもたくさんの想い伝えたらあなたは重さに耐えられるかしら

この気持ち全てを明かす時までに私は幾度も更新(交信)を続け

夜を待ちわざと彷徨う

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現代短歌《空のむこうで》

現代短歌《空のむこうで》

あの女(ひと)もあなたもきっと真ん中でいつか出逢うわ星と瞬き

私にはなんの資格も無いのならせめて静かに願いだけを込め

甘い嘘それでも嬉しかったのさ外に出れない今年の夏が

間違ったことがこれほど嫌なのに根本から歪む己の想い

三角の点が消えたの一つだけ残った二点は繋がらないのに

幻が消えずに寧ろ愛おしくあなたの中に残る虚しさ

私には一体何が出来るでしょう繋がった先空のむこうで

自由まで奪

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