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運命と私

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運命には逆らえない。運命に翻弄されながら生きた女性の一生。
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#不倫

運命と私83 (禁断の果実)

運命と私83 (禁断の果実)

江藤は驚いた顔をしていた。

「川崎どうしたんだよ。」

「今日は江藤さんと話しがしたくて。」

「オレと?」

「江藤さん何悩んでるんですか?
会社でも元気がないから、
気になって・・・」

「オレのことなんて気にするなよ。
自分と彼氏の未来でも考えろ!」

「だって気になるから・・・
話ぐらい聞きますよ。」

「ありがとう、でも本当に大丈夫だから。
こんなところで飲んでないで早く帰らないと、

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運命と私82( 地獄)

運命と私82( 地獄)

私の気持ちはまた江藤に戻っていた。

江藤がなんであんなに辛そうなのか?
私は知りたかった。

毎日江藤のことばかり考えていた。

そして私は金曜日またりょうさんのお店に行った。

「あら最近よく来るわね。」

「うん、少し飲みたくて。」

「残念、江藤さんは来てないわよ。」

「別に江藤さんに会いに来た訳じゃないよ・・・」

私は嘘を付いたけどりょうさんはわかっていた。

「りょうさんに嘘は付け

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運命と私72 ( 溢れる涙)

運命と私72 ( 溢れる涙)

「りょうさんそんな言いづらいことズバッと聞かないでよ。」

「別れたならいいじゃない、
不倫なんて付き合ってる時はふわふわして楽しくても、
いつか地に足を付けないといけない時が来て、
結局、痛い目に合うの、
だからそんな危ない関係ダメ。
別れて良かったじゃない、寄りなん戻したら地獄よ。
じゃごゆっくり」

そう言ってりょうさんは厨房に入って行った。

私たちはただ黙ってバドワイザーを飲んだ。

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運命と私71 (偶然の再会)

運命と私71 (偶然の再会)

私は毎日のように暇を持て余していた。

家に帰ってもやることが無いので、
江藤と昔に行った1人でも入れる、
居酒屋に向かった。

お店に入ると平日ということもあり、
4,5人しかお客さんはいなかった。

「あれ!久しぶり!」

「りょうさん久し振り、
嬉しい覚えていてくれたんですか?」

店主のりょうが私のことを覚えていてくれた。

「彼氏なら奥にいるよ!」

「えっ?」

奥を見ると、
カウンタ

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運命と私 49

運命と私 49

忘年会が終わり家に着いたのは、
11時過ぎだった。

祐一は何時でもいいから、
帰って来たらメールしてと言っていたので、
私は「今帰って来ました。疲れた~」と
メールを送った。

すぐに返信が来た、
「随分遅かったね、大丈夫?」

祐一の「大丈夫?」には、
遅くなって大丈夫?
酔ってない大丈夫?
元カレに何かされなかった大丈夫の意味があるなと感じた。

「部長とカラオケに行って遅くなったけど大丈夫

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運命と私 48

運命と私 48

今年は会社の近くの居酒屋で忘年会をやることになった。

「明日は忘年会でしょ?
元カレがいるから心配だな・・・」

「大丈夫、今の私には祐一しかいないから。」

「もちろん信じてるよ。」

昨日の夜、祐一とこんな会話をしていた。

でも私は江藤と話をしたいと思っていた、
話しだけならいいでしょ?浮気じゃないよね?

しかし、江藤は忘年会に来なかった。

「川崎さんビールでいいですか?」

「うん、

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運命と私 29

朝から気が重かった。

職場で不倫なんて・・・別れると地獄。

江藤の顔を見るのが嫌だった、
気持ちがまた江藤に行ってしまうのが怖かったからだ。

私は北沢の最寄りの駅で電車が止まった時に、
北沢がいないか確認したけど、
北沢はいなかった。

北沢に会えたら少しは元気になれると思ったのに残念。

職場に行くとまだ江藤は来ていなかった。

「昨日のデート楽しかったですか?」

後輩の中谷が聞いて来た

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運命と私 24

運命と私 24

仕事が終わり北沢との待ち合わせ場所に向かい、
会社を出て歩いていると、
急に手を掴まれ路地裏に引き込まれた。

「痛い!」

「ごめんごめん!」

江藤が謝って来た。

私は驚いて、
「こんなところで何してるんですか?」
と声を上げた。

「静かに話そう、何回もメールを送ったのに、
無視するから、一回きちんと話そう。」

「話しはありません、待ち合わせしてるから、
もう行きます。」

「もう男がい

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運命と私 23

運命と私 23

火曜日の朝、
私は新しい洋服を着て仕事に向かった。

「おはようございます。」

職場に入ると、
江藤の視線を感じた、私はもちろん無視した。
会社の後輩の中谷が、
「あれ、川崎さん今日いつもと違くないですか?
デートとかですか?」

と聞いて来た。

その後輩はそういうデリケートなこともズケズケと普通に聞いて来る、
空気の読めない女の子だった。
他人のことは色々と詮索するのに、自分のことは一切話さ

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運命と私 15

運命と私 15

まだ実家で暮らしている時のことを思い出した。

私には妹がいる、
妹はわがままで、いつでも妹優先の生活だった。
いつの間にか私は我慢することが当たり前になっていた。
そして母親はいつも否定的で、
私がやることすべてに反対だった。

そんな習い事は将来役に立たない、
あのお友達とは距離を置いたほうがいい、
この学校は良くない、将来役に立つ資格を取りなさい。
と口うるさく言っていた。
私は心の何処かで

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運命と私 13

受話器を持ったその時、目の前に置いてある、
鏡に映った自分の顔にびっくりした。

醜い顔。

私は受話器を置いた、電話は出来なかった。
逆切れなんて惨め・・
自分でまいた種で、
いつかこんな日が来ることは心のどこかで覚悟していた。

ことを大きくしたら、
私も江藤も仕事を失い、信用を失い、
未来を失い、家族を悲しませるだけだ。
妊娠中の奥さんを傷付けるなんて私には出来ない・・・

不倫なんて・・・

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運命と私 12

運命と私 12

人生はいつ何が起こるかわからない。

いつも通り会社に行くと社長が江藤と話しをしていた。

「江藤くん聞いたよ!待望の第一子おめでとう!
良かったな、父親になると男は変わって来るから。
これからがんばれよ。」
江藤は一瞬私を見たがすぐに視線を逸らした。

私は何が起こっているのは理解出来なかった、
ただ血の気が引いて、
全身が冷たくなって行くのだけがわかった。

みんながおめでとうと江藤を囲んで話

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運命と私 11

運命と私 11

不倫から抜け出せない。

不倫というぬるま湯から出て、
現実と向き合わないといけないと何度も何度も考えた、
しかし不倫の関係をやめることが出来なかった。

始めは1週間に1回だけ会う関係だったが、
多い週は1週間に3回もホテルに行っていた。

4年たった今は江藤からの連絡はほとんど無くなり、
1ヵ月に1、2回と会う回数もだいぶ減っていたが、
私たちの関係は続いていた。

いつも同じホテルだとおかし

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運命と私 10

運命と私 10

私たちはお互いの身体を忘れることが出来なかった。

それから私たちは1週間に1度は会うようになった。

ただ身体を求め合うという秘密の関係。
傍からみたら淫らで汚い関係だと思われても仕方がない、
しかし当時の私は江藤が心の支えになっていたのだ。

冷静になった時に私はなんて最低な人間なんだ!
奥さんに申し訳ない、人間失格だ・・・と、
自己嫌悪に圧し潰されそうになることも多々あったが、
江藤との関係

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