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運命と私 12

人生はいつ何が起こるかわからない。

いつも通り会社に行くと社長が江藤と話しをしていた。

「江藤くん聞いたよ!待望の第一子おめでとう!
良かったな、父親になると男は変わって来るから。
これからがんばれよ。」
江藤は一瞬私を見たがすぐに視線を逸らした。

私は何が起こっているのは理解出来なかった、
ただ血の気が引いて、
全身が冷たくなって行くのだけがわかった。

みんながおめでとうと江藤を囲んで話をしている、
「今、何か月?」
「性別は?」
「楽しみだね!」
江藤の周りだけ明るく見えた。

私は仕事に集中しようとパソコンの画面をみたが、
パソコンの画面がやけに暗くて、
仕事に集中出来ない。

江藤の子供の話しを聞きたく無くて、
私はトイレに向かった。

トイレの個室に入ると、
急に力が抜けて涙が出そうになった、
今泣いたらいけない!
すぐに仕事に戻らないと!
その日は1日中体に力が入っていた。
私は仕事が終わりすぐに会社を出て家に帰った。


家に着くまでの記憶はあまりない、
家に入り、玄関のドアの鍵をかけて私は靴も脱がずに、
その場に座り込んだ、

正確に言えば、力が入らなかったのだ、
その時カバンの中の携帯が振動した、
携帯を見ると江藤からメッセージが入っていた。

「ごめん、何度も話そうと思ったんだ。
もう会えない、許してくれ。」

許せる訳がない!

最近会う回数が減ったのはこう言うことだったのか!
奥さんと肉体関係はもう無いって言ってたのに・・・

私はどうにか立って、
すぐにお風呂を沸かしてお風呂に入った。

1日我慢していた涙が湯舟が溢れるんじゃないかと、
心配するほど次から次へと溢れた。

私は江藤のメールに返信をしていなかった。
心の整理が出来なくて返信する言葉が見つからなかった。


不倫の関係の最後なんて地獄に決まってる、
でも私だけ傷付いて、
江藤は奥さんと子供と幸せが待っている。
そう考えると、
私の中に怒りの感情がふつふつと湧き上がって来た。

江藤の家に電話して、
すべてを話して、すべてを壊してもいいとさえ思えた。
私は奥さんと話そうと受話器を持った。


つづく



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