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【あの銘店をもう一度"銘店シリーズ"」第26弾 ドイツ・フランクフルト「無垢ツヴァイテ」

 新横浜ラーメン博物館は、30周年を迎える2024年へ向けた取り組みとして、過去に出店した約40店舗の銘店が2年間かけ、3週間のリレー形式で出店するプロジェクト「あの銘店をもう一度"銘店シリーズ"」が2022年7月1日(金)より、1994年開業時のラーメン店が約3カ月前後のリレー形式で出店する「あの銘店をもう一度”94年組”」が2022年11月7日(月)よりスタートしました。

【これまで発表された出店店舗】
銘店シリーズ(3週間のリレー形式出店)
・第1弾  和歌山「井出商店」(2022年7月1日~7月21日)
・第2弾  福島・会津「牛乳屋食堂」(2022年7月22日~8月11日)
・第3弾  埼玉・川越「頑者」(2022年8月12日~9月1日)
・第4弾  福井・敦賀「中華そば 一力」(2022年9月2日~22日)
・第5弾  静岡・伊豆「あまからや」(2022年9月23日~10月13日)
・第6弾  岡山・笠岡「中華そば坂本」(2022年10月14日~11月3日)
・第7弾  札幌「名人の味 爐(いろり)」(2022年11月4日~11月24日)
・第8弾  久留米「大砲ラーメン」(2022年11月25日~12月15日)
・第9弾  青森「八戸麺道大陸」(2022年12月16日~2023年1月9日)
・第10弾  高知・須崎「谷口食堂」(2023年1月10日~1月30日)
・第11弾  博多とんこつ「麺の坊 砦」(2023年1月31日~2月20日)
・第12弾  飛騨高山「やよいそば」(2023年2月21日~3月13日)
・第13弾  博多「元祖名島亭」(2023年3月14日~4月3日)
・第14弾  函館「マメさん」(2023年4月4日~4月24日)
・第15弾  支那そばや(2023年4月25日~5月15日)
・第16弾  アメリカ「IKEMEN HOLLYWOOD」(2023年5月16日~6月5日)
・第17弾  イタリア・ミラノ「カーザ ルカ」(2023年6月6日~6月26日)
・第18弾  佐賀・唐津「らぁ麺むらまさ」(2023年6月26日~7月17日)
・第19弾  京都「新福菜館」(2023年7月18日~8月7日)
・第20弾  アメリカ・NY「YUJI RAMEN」(2023年8月8日~8月28日)
・第21弾  博多「ふくちゃんラーメン」(2023年8月29日~9月18日)
・第22弾  久留米「魁龍博多本店」(2023年9月19日~10月2日)
・第23弾  気仙沼「かもめ食堂」(2023年10月3日~10月30日)
・第24弾  旭川「蜂屋」(2023年10月31日~11月20日)
・第25弾  札幌「けやき」(2023年11月21日~12月11日)

94年組シリーズ(3ヶ月前後のリレー形式出店)
・第1弾 目黒「支那そば勝丸1994」(2022年11月7日~2023年2月26日)
・第2弾 環七「野方ホープ1994」(2023年3月2日~7月17日)
・第3弾    げんこつ屋1994(2023年7月20日~10月22日)
・第4弾    喜多方「大安食堂1994」(2023年10月27日~2024年1月8日)

第26弾は逆輸入ラーメンの第2弾として出店していただいたドイツ・フランクフルト「無垢ツヴァイテ」さんです。

あの銘店をもう一度 第26弾 ドイツ・フランクフルト「無垢ツヴァイテ」
出店期間:2023年12月12日(火)~2024年1月10日(水)
※2023年12月31日(日)~2024年1月1日(月)は休館日となります。
※無垢ツヴァイテの出店期間は28日間です(休館日を除く)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21 
     新横浜ラーメン博物館地下1階
     ※第24弾旭川「蜂屋」の場所
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる。
     詳細はコチラ

🍜過去ラー博出店期間
2014年6月25日~2020年4月3日

・ラー博史上初、ヨーロッパからの逆輸入

新横浜ラーメン博物館では2013年より、日本にお店がなく海外で独自の進化を遂げたラーメン店を紹介する「逆輸入ラーメン」をスタートしました。
第1弾はアメリカ・ハリウッドの「IKEMEN HOLLYWOOD」(出店期間:2013年4月24日~2014年6月1日)、そして第2弾はドイツ・フランクフルトのラーメン店「無垢ツヴァイテ」が2014年6月25日(水)にオープンしました。
※現地では「無垢」の屋号で営業。ツヴァイテはドイツ語で2号店の意味。

2012年頃、アジア、北米に次いで、ヨーロッパでもラーメンに注目が集まり、イギリス、フランス、イタリア、ベルギーなど各地でラーメン店が開業し始めました。私たちは当時9ヶ国ほどヨーロッパを食べ歩き、各国の食に精通している方々から「わざわざそのラーメンを食べるためにドイツ・フランクフルトまで足を運ぶお店がある」という話を聞き、そのお店が「無垢」だったのです。

無垢本店の外観

・無垢の歴史

創業者の 山本真一さんは日本の大学卒業後「日本の食の素晴らしさを世界に伝えたい」という想いのもと2004年に渡独。
SSP Kosumgüter Trade & Consult GmbHという欧州向けに日本食材を卸す、大手食品商社の営業マンとしてドイツ中を駆け回っていました。

創業者 山本真一さん(2014年撮影)

そんな山本さんが何故独立してラーメン店を立ち上げたのでしょうか?
山本さん曰く「私自身、日本食の勉強をして卸先の人々にその素晴らしさを伝えてきましたが、委ねたその先にいるお客様の顔や意見というものは見えませんでした。そのことが歯がゆくて、直接お客さんに感動を伝える仕事をしたいという想いの元、2010年に独立をしました。ラーメンを選んだのは私自身が大好きだったことと、日本食の素晴らしさを伝えるにはラーメンが最もよいと思ったからです」とのこと。

独立当時の山本さん(2010年)

「いざ独立しても資金的な余裕もなかったですので、内装はほとんど手作りでした。にもかかわらず、こだわってしまい、資金が底をつきそうになりました。今では笑い話ですが、当時は不安で眠れませんでした」と当時の様子を語ってくれました。

手作りで内装を仕上げる無垢のスタッフ

・限られた環境で生まれたラーメン

ではどのようにラーメンが生まれたのでしょうか?

無垢のラーメン(2017年撮影)

「ラーメンはほぼ独学で作りました。日本はラーメンを作る環境が恵まれているのに対しドイツは限られた環境でした。例えば麺に使用するかん水。日本では当たり前のように手に入りますが、当時のドイツでは薬局に行って炭酸ナトリウムと炭酸カリウムを購入して自分で調合していました。小麦粉も日本のようにラーメン用にブレンドされた小麦はありません。パン用粉が主体で、麺を作ってもぼそぼそとした食感でラーメンに適しませんでした。そのため粉というものは全て試し、ピザ用の小麦と、パスタ用の小麦に辿り着きました」とのこと。

無垢の麺

しかし山本さんはこの環境があったからこそ今に繋がっていると言います。
「もしあの時、日本のようにラーメンを作る環境が整っていたら、既成概念に縛られたラーメンしか作れなかったと思います。制限されているからこそ、知恵と工夫が生まれたのだと思います」
そして「どんなに技術や知識がある日本のラーメン店でも、海外でラーメンを作るというのは全く別の話。限られた環境の中でラーメンを作りだせたことが私たちの最大のアドバンテージ。私はアフリカでも現地の食材を使ってラーメンを作る自信があります」とのこと。これこそが無垢の強みです。

・口コミで広がり欧州中から訪れる銘店

無垢は当初、看板もなければHPも持たないお店でした。
私たちが初めて訪れた2012年には既に多くのお客さんで賑わっておりました。ではいかにしてお店は繁盛していったのでしょうか?

ラーメンを愉しむドイツのお客様

山本さん曰く「最初からお客さんがたくさん来たわけではありません。滑らかな曲線を描いていった感じです。最初は日本人の方が来られて、次第に認めていただき、そしてその日本人の方が”ここは本物の日本のラーメンが食べられるよ”とドイツ人の方を連れてきてくれて、そしてドイツ人の方がドイツ人の友達を連れてきてくれて、その口コミによってドイツ外の欧州の方々も来るようになりました。私たちは一切のマーケティングをしませんでした。何故ならば口コミに勝るマーケティングはないと思っているからです」

口コミというのは、味や空間、おもてなしといった様々な要素が期待を上回っているから広がります。打ち上げ花火ではなく、じっくりと時間をかけて自分たちのイズムを貫いたからこそ、欧州中からお客さんが訪れるお店になったのだと思います。

無垢の内観(2022年撮影)

当時、ヨーロッパの口コミサイト「トリップアドバイザー」ではフランクフルト市内1,700軒近くあるレストランの中で、星付きのお店を上回るTOP10入りを果たしていました。
無垢では8割の席を予約、2割の席をウォークインで受けています。
2014年にラー博にオープンしたころの本店は、1日100件を超える予約の問い合わせがあり、数カ月先まで予約が埋まっている状況でした。

無垢の予約台帳

・ラー博への出店

私たちが初めて無垢に訪れたのは2012年の11月。この時の調査ではフランスのパリ、ドイツのベルリン、デュッセルドルフ、フランクフルトを訪れています。この時からせっかく海外のラーメンを調査するのであれば映像を残していこうと「世界ラーメン紀行」という番組をYouTube(ラー博TV)で配信することとなりました。

下記の動画は、当時無垢を取材した「世界ラーメン紀行vol.4 ドイツフランクフルト編」です。

私たちは海外を食べ歩いた中で、日本にラーメン店がなく海外で独自の進化を遂げたお店というコンセプトの元、お店を探していたのですが、無垢がやろうとしていたことは私たちが探していたお店そのものでした。
そして、その年の年末に店主の山本さんが日本に帰国した際にお会いし、来年(2013年)から、日本にお店がなく海外で発展を遂げたお店を紹介する「逆輸入ラーメン」を始めることをお話して、ラブコールを送りました。
その翌年から幾度となくフランクフルトへ訪れ、2013年の8月に山本さんから出店していただけるというお話をいただきました。

ラー博出店に際し、フランクフルトは横浜市と姉妹都市ということもあり、横浜市の記者クラブにて、出店記者会見をさせていただきました。

記者会見に参加した山本さんと岩岡館長(2014年)

そして2014年6月25日、無垢ツヴァイテとしてラー博にオープンしました。
オープン時にはフランクフルトのスタッフ全員が駆け付けてくれ、その後も店主山本さんは横浜に滞在してくれました。

オープン初日の記念写真(2014年)

その後、無垢はさらに飛躍します。フランクフルト本店はさらに予約が取れづらくなり、2016年からはフランクフルト国際空港のJALファーストクラスラウンジ・サクララウンジにてMUKUまかないカレーを提供。

JALHPより引用

2019年にはフランクフルト発(成田行き)のファーストクラス・ビジネスクラスにて機内食のご当地丼として、店主山本さんが監修・開発したこだわりの「MUKU’S ローストポーク丼」を提供するなど、ラーメンの域を超えて日本食の代表として様々な場面で活躍をしております。

無垢のホームページには以下のことが書かれています。

食や文化、そして想いは受け継がれていく
お店は感情の産物だ
そもそも食は、競争でもなく戦いでもない
自然からいただく源泉を
無垢な想いで人の心を通し
広く世界がその支流まで
幸せで満たされる未来を夢見て

無垢の姿勢は「仲間と向き合い、お客様と向き合い、そしてラーメンと向き合うこと。そのために食材選び、調理法、器、インテリアなど細部まで妥協せず徹底的に行っています。その無垢な想いがラーメンを通じ、無垢を気にいったお客さんが新しいお客さんを連れてくるという口コミで広がり、今ではヨーロッパ中からわざわざ訪れるお店となりました。

・無垢のラーメン

無垢のラーメンは7年弱の出店期間の中で、常に進化を遂げておりました。オープン時はシグニチャーメニューである「無垢ラーメン」、本店の人気メニュー「焦げ味噌ラーメン」、ドイツの食文化と融合した「無垢ツヴァイテラーメン」の3種類でスタート。

2014年スタート時のメニュー

その後、「無垢ラーメン」を「無垢ラーメンNull」として新たな無垢ラーメンが誕生。最後の1年は、日本で得た技術と知識を注ぎ込んだ「醤油ラーメン」や「塩ラーメン」もリリースしました。
今回の出店は無垢の原点でもある「無垢ラーメンNull」を進化させた2023-2024年度バージョンを中心に、期間中、様々な無垢の進化したメニューを提供する予定です。

無垢ラーメンNull(2017年撮影)

先に述べたように無垢の麺は、限られた環境の中で、欧州全土の様々な粉を試した中で辿り着いた唯一無二の麺です。ピザ用の小麦粉と、パスタ用の小麦粉をブレンドし、日本では使用しないような雑穀なども加え、独特の風味と食感を持ち合わせています。

限られた環境の中で生まれた唯一無二の麺

無垢のメニューは全て化学調味料を使用せず、自然界からの源泉を、無垢な想いと培った技術・知識でお客様に安全・安心を提供しております。

このコラムを書く時点では「無垢ラーメンNull2023-2024」の全貌はわかりませんが、進化した無垢ラーメンが味わえることは間違いありません。
どのようなラーメンが誕生するのか、オープンが近くなったタイミングでSNS等で紹介させていただきます。

・無垢本店概要

MUKUフランクフルト本店

住所:Dreieichstraße 7,60594 Frankfurt am Maingoogle
電話:+49 (0) 69 4844 5153
営業
lunch(木曜日~日曜日)12:00~14:00
Dinner(水曜日~日曜日)18:00~22:00
定休日は月曜日・火曜日
HP:https://www.muku-ramen.com/

無垢ツヴァイテは、2020年に発生した新型コロナウィルスのまん延により、新横浜ラーメン博物館の休館中に卒業をする形となりました。
本来であれば皆様に卒業を告知したうえで最終日を迎えたかったのですが、上記のような理由により果たせませんでした。
今回は、短い期間ではございますが、皆様の前で進化した無垢ツヴァイテを披露いたします。この機会に是非お召し上がりください。
出店期間は2023年12月12日(火)~2024年1月10日(水)の4週間です。※2023年12月31日(日)~2024年1月1日(月)は当館の休館日です。
皆様のお越しをお待ち申し上げております。

無垢ツヴァイテ店主 山本真一さん

・第27弾の発表は2023年11月20日!!

第27弾の発表は第24弾 旭川「蜂屋」さんの最終営業日となる2023年11月20日(月)に発表予定です。
新店舗のスケジュールはいち早くLINE公式アカウントで発表します!!
是非登録してください♪





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