マガジンのカバー画像

通訳ガイドのこぼれ話

86
通訳案内士の経験からのエピソードや外国人案内に役立つ話をまとめてあります
運営しているクリエイター

#通訳案内士

日本は終わってないよ。自己紹介代わりに。

日本は終わってないよ。自己紹介代わりに。

通訳ガイドのぶんちょうです。
正式名称は「全国通訳案内士」です。外国から日本に来た旅行者に付き添って各地を案内する仕事をしております。

この職業はあまり知られてないようなので、ざっと書いておきますね。

ガイド期間は、数時間から数週間位まで。案内人数は、1人から数百人位までと色々です。あまり人数の多い場合はガイドが複数つきます。徒歩と公共交通機関の組み合わせや、専用車のみでの移動、団体を率いて大

もっとみる
平和 通訳ガイドの役割

平和 通訳ガイドの役割

通訳ガイドのぶんちょうです。
ガイドって必要ですか?

スマホさえあれば、観光地の情報も行き方も簡単に得られる時代です。ガイドって要らないでしょと考えるのも納得です。

ある日のツアーのこと。ツアーデザイナーさんからの指示で朝1番にスカツリーに行くことになっていました。

スカイツリーには展望台があり、晴れた日には遠くまで東京とその近郊の都市を一望にできる気持ちのいい、とても人気の場所です。

もっとみる
通訳ガイドの春夏秋冬

通訳ガイドの春夏秋冬

春の書入れ時

通訳ガイドのぶんちょうです。通訳案内士にとって一番の繁忙期は桜の咲く春。各国から「あの有名な日本の桜を見ようじゃないか」とやってきます。インバウンド業界の書き入れ時と言えるのが3月から4月にかけてでしょう。

ガイドは出払い、エイジェントも予約のタイミングの遅いゲストはツアーを断わらざるを得ません。知り合いのガイドいたら紹介してとエイジェントが悲鳴をあげる季節です。

エイジェント

もっとみる
全国通訳案内士試験

全国通訳案内士試験

今週末は全国通訳案内士試験という国家試験が行われます。私もこの資格でガイドの仕事をしているのですが、世間一般には、あまり知られてい試験ですよね。

試験科目は五科目。「外国語」(私は英語です)「地理」「歴史」「一般常」「通訳案内の実務」です。1次試験は全て筆記で、科目によって差がありますが、目安として7割くらい取れると合格です。1次に合格すると2次試験に進めます。2次試験は口述(面接)のみです。2

もっとみる
通訳ガイドは何でも屋さん(団体編)

通訳ガイドは何でも屋さん(団体編)

外国人のガイドをしているとよく「添乗員さーん」とか「ツアコンさーん」とか「通訳さーん」と呼ばれます。厳密には全く違う職業なのですが、ガイドは添乗員の仕事も通訳者の仕事も兼ねています。

添乗員はツアーコンダクターとも言い、資格は「旅程管理主任者資格」が必要です。通訳者になるには必須の資格はありません。旅程管理主任者資格はバスなどで団体を案内するときに必要な資格なので、おそらく多くのガイドは通訳案内

もっとみる
ガイドの食事場所選び

ガイドの食事場所選び

通訳案内士としての大事な仕事の一つはレストラン選びです。しかも、これが結構、難しい時もあるのです。好み、アレルギー、宗教による制約、場所、さらに人数が多いほど、これをクリアする条件に合うレストランは絞られていきます。そして、なるべく和食を選ぶようにします。

例えば、4人家族の案内をしている場合、お父さんは肉だめ。お母さんは エビ、カニなどのは甲殻類だめ。息子ナッツアレルギー。娘ベジタリアン。など

もっとみる
外国人の好きなランチ、ベスト3

外国人の好きなランチ、ベスト3

来日外国人の一番人気の食事は何か、一通訳ガイドとして勝手にベスト3を選んでみました。ちなみに私の場合は欧米の方が多いです。

来日の目的が「食べること」という人はかなり多く、特に若い人の食に対する期待は高いです。「食べ倒して帰るぞ」という意気込みを感じます。それだけ日本食はバラエティに富んでいるのですね。

ガイドの苦労のひとつが食事場所選びです。それについての記事はこちらです。https://n

もっとみる
もっと遊んでおけばよかった

もっと遊んでおけばよかった

これはガイドになった時に思ったこと。通訳案内士は神社仏閣、日本庭園、伝統文化などのお堅い系だけでなく、カラオケ・猫カフェ・ゲームセンター・パチンコ屋・メイドカフェなどの場所や知識も求められます。

人生どちらかと言えば、真面目に、別の言葉で言えば、退屈に生きてきてしまったので、B級な文化にあまり縁なく来てしまいました。学校の帰りや会社帰りは、せいぜい友達とお茶かご飯をするくらい。あー、もったいない

もっとみる
日本で盗難にあってしまった外国人

日本で盗難にあってしまった外国人

東京でアメリカ人の新婚さんをガイドしたときのことです。最終日、銀座の有名寿司店にお送りして案内の仕事を終えました。本当に幸せそうなカップルでした。

翌日、オフで自宅にいた時に一本の電話がかかってきました。私の下の名前を言ったきり無言です。でも発音から外国人であることはすぐにわかりました。英語で応対すると、きのう、お別れをした新婚さんでした。どうしたのか聞いてみると「自分たちがどこにいるのかわから

もっとみる
日本文化 ラッシュアワー

日本文化 ラッシュアワー

通訳ガイドのぶんちょうです。外国人観光客と一緒に行動を共にするのがガイドである私の仕事ですが、ラッシュ時の東京の電車に乗らざるを得ないことがあります。普段あまり電車に乗らない、特に欧米の方々は見知らぬ人と身体が接触するのを嫌がるのでラッシュはなるべく避けるのですが、その日は「それは是非乗ってみたい!」という反応でした。

そもそも、ラッシュ時の他人との接触はすごいレベルですよね。身内でもほとんどな

もっとみる

伝統文化① なぜ歌舞伎役者は男だけなの?

こんにちは。通訳ガイドのぶんちょうです。

ガイド中に歌舞伎座の建物が目に入ると、必ず外国人観光客に説明するのが歌舞伎についてです。現存の建物は銀座・大阪、共に建築家、隈研吾氏の手がけたものでインパクトがあります。

歌舞伎ファンの方は結構たくさんいらっしゃる一方で、一度も歌舞伎を見たことがない方も多いと思います。外国人に聞かれるかもしれない歌舞伎のこと。一度は見ておくことをおすすめします。

もっとみる
伝統文化② 歌舞伎メイク 隈取り

伝統文化② 歌舞伎メイク 隈取り

こんにちは。通訳ガイドのぶんちょうです。
今日も私の視点で、初心者さん向けに歌舞伎について紹介します。前回の記事はこちらで、歌舞伎がどのように生まれたのかについて書いてあります。

皆さんは歌舞伎の演目に、どちらのイメージをお持ちですか?
1 二枚目の役者さんがなよっとした感じで演じる
2 すごい形相で顔に模様のついた役者さんが「てやんでぇ」風に演じる

1に近いイメージの方は「和事」2の場合は「

もっとみる
伝統文化③ 江戸時代の歌舞伎の楽しみ方

伝統文化③ 江戸時代の歌舞伎の楽しみ方

通訳ガイドのぶんちょうです。今日も私の視点で歌舞伎を知らない方に向けて書いていきます。前回は「見得」という独特の演出方法について触れました。

見得はクライマックス、感情が最高潮に達したときに役者が首を少し回してからにらみを効かせるのですが、この瞬間に合わせて、舞台の右手に置いたツケ板が拍子木で勢いよく打たれます。この音で場に緊張感が走り、観客は今まで以上に役者の表情に釘付けになります。

また、

もっとみる

折り紙ができるのは実はすごい

通訳ガイドのぶんちょうです。

外国人観光客に折り紙を教えることがあります。新幹線の中ですることが多いです。車やバスの中では酔っちゃいますからね。

折り紙と言えば「鶴」が定番で、これなら私も自信を持って折れる唯一の折り紙です。でも、初めて折り紙をする外国人には難易度が高すぎるのです。つきっきりで教えてもできる人は一握りです。

中には上手にできる人もいますが、「四角い折紙を三角形になるように半分

もっとみる