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感情のエッセイ

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2019年8月の記事一覧

びしょ濡れの僕らと飲み干せない友情

びしょ濡れの僕らと飲み干せない友情

盆に友達四人で宅呑みをした。場所はいつもの、山小屋みたいなアパートだった。

暑い日差しの昼過ぎ。皆が揃うと、時間などお構いなしに宴は始まった。ローテーブルに買い出ししてきた惣菜を雑に広げ、グラスにビールを注ぐ。

一人一人とはたまに遊べても、中学校の友達4人が全員揃うタイミングは少ない。こうして集まって、皆の顔をみながらグラスを鳴らせることがとても嬉しい。
前は肉ばかり並んでいた机に、いまはゴ

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嫌いなままでいさせてくれよ

嫌いなままでいさせてくれよ

介護士は別に優しくない。端から見ればその職についているだけでという感じだけど、当事者に言わせればむしろ冷たくないとできない仕事だと思う。僕のような施設勤務の人は、特に。

なにせ老人というのは弱っていく。
まるで花が枯れるような速度で、昨日のあの人が過去になっていく。
歩けていた人が歩けなくなり、覚えていたことを忘れ、我慢できていたことが我慢できなくなる。

それを目の当たりにしながら、他人事だと

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心の棚に灯りともして

心の棚に灯りともして

そういえば、夏休みに入ったんだなぁ。noteを読んでいてぼんやりとそう思った。

僕たち夫婦に子供はいないので、そういう季節感があまりない。いつだって僕らは2人で、暑い寒いといいながら思い出に色を添えている。
心の棚に飾られたそれらを眺めながら「また2人が彩られたね」と確かめ合う日々。

写真が並んでも埋まらない空白は、子供ができたら埋まるのだろか。

なんて思いながらも、目に見える多忙の毎

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