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2021年3月の記事一覧
48. 知恵を借りる
審判を取り下げる代わりに家族の再構築をする。話し合いはそこから。
裕太の出した条件は私を深く悩ませた。
1人で考えるとどうしても感情が入り、偏ってしまうので、弟の夏生に来てもらい、母を含めた3人で話し合う事にした。
夏生は賢いので、冷静かつ心理戦に長けている。母は流石の年の功で、裕太の考えや今後の展開がある程度読めていた。そんな2人に相談すると気付かされる事が多くあったし、何より何日もかけて
47. 夫との再会と交換条件
駅前の喫茶店の窓側のテーブル席に座っていると裕太がやってきて、お茶を頼んだ。裁判中とは違い、ラフな格好をしている。
何を言われるかと身構えていたけど「歩いてきたの?」なんて軽く雑談を始めたので、少し拍子抜けした。
裕太は「もう大変だよ、俺、裁判のせいで痩せちゃったよ。」なんて言う。私はどのように返していいかわからず、苦笑いをした。苦労したのはこっちなんだけどなぁ。
昨日まで書面で罵り合っていた
46. 書面に込めたメッセージ
審判に提出する書面にどうしても入れて欲しい言葉があって、浜田弁護士に頼み込んで数行だけ、シンプルにする事を条件に許可をもらった。
浜田先生の書面はいつも「長くても裁判所の人たちは読まないから」と5枚ほどにまとめられていた。
それまで、色々提案しても残念ながら却下される事が多かったけど、(離婚調停から円満調停に切り替える、など)審判に移行するにあたって、どうしても裕太に伝えたい言葉があったのだ。
39. ママのお人形遊び
俊平くんは、再会してからいつも、毎週のように電話をくれた。放っておくと私が自殺してしまいそうで心配だったのかもしれない。
当時、私の頭の中には「裁判に負けたら死のう。」という言葉が浮かんでは消えていた。
そうする事でしかこの苦しい現実から逃れられる方法はないと思っていたし、魂になったら可奈に会いに行ける、可奈はまだ子どもだから気付いてくれるかもしれない、と考えていた。
真実はいつか、夏生に伝
38. 母子手帳とアイデンティティー。
1日でも早く可奈に会えるようになるために、調停を早く進めるために、スケジュールはなるべくフレキシブルにしておきたかった。そのためには、職場や周りの理解が必須だ。
バイト先のスタッフは快くシフトを代わってくれ、調停の次の日にはどうだったかと心配して、文字通り心身ともに助けられていた。
私の職場は、レストランなのか植物園なのか分からないくらいに緑の多いお店だったので、いるだけで自然に癒されていたし、
35. 「片親疎外」という児童虐待
まるで嫌がらせのように、追加の書面が調停直前に届いた。書面は1回の調停につき何回出してもいい事を私は初めて知った。
次の調停は週明けなので、反論書類を書いている時間は浜田先生が休みの週末しかなかった。
戦略的に札を出す・・まるで、勝つか負けるかのゲームをしている様だ。
家裁で話し合うことは親権と監護権であり、係争なのだけど、今後の可奈の人生に大きく関わるものであり、取り合いをするゲームではない筈