きゆう

そのへんにいるひと 思いついたときに詩を書きます 100本溜まったら本にしたい

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  • #1〜#20 詩まとめ

    つぶやきのあと

記事一覧

『ブラン・ニュー・スカイ』

見たことのない景色を見たい その言葉につられて ふらふらと逃避行 凪いだ海のつるつるとした質感 しん、とした湿原に広がる濃霧 視界をも白銀に染める真冬の吹雪 見た…

きゆう
8日前

#34 果てなきエール

背伸びをしたら 届くだろうか 誰かに笑われない わたしでありたい 背伸びをしたら 掴めるのだろうか 後ろ指を指される人に なりたくない ジャンプをすれば 渡れるだろう…

きゆう
1年前

#33 またいつか、同じ世界で逢う日まで

ねえ、聴こえてる? 太陽が明るい昼間のうちは 眩しすぎて見えないだけで、 月明かりになら照らされて ほんとは一瞬視えるのよ リボン結びが得意になって なんでも結んで…

きゆう
1年前
3

#32 明けない夜は無いとはいえど

寝返りを打ち ずれた布団を引き戻す 真昼の机の上ならば いとも容易く夢の世界に飛び込めるのに 真夜中の、時計の針が響くいま いかにして夢の世界に向かえばよいか 思考…

きゆう
1年前
2

#31 行きし世界の備忘録

絵の具を垂らした水色の 空に輝く雲のきらめき 薄青いちいさな花々は そっと巡る季節を語りゆく いとけない姿の愛し子は 砂に塗れてきんぴかの 団子を両手に咲く花よ いつ…

きゆう
1年前
2

#30 あなたワールド

くるくる くるくる 回転する世界を楽しみながら にこにこの笑顔を見せるきみ 生まれてきたその日から 同じ時間を生きながら きみと、きみの周りの人は 別の時間で生きて…

きゆう
1年前
1

#29 わたしはいつしか歴史であった

教室の机の上で ぴらりと広げた教科書は 睡魔に負けた痕跡とともに ページの端が折れていた 黒板に書かれた年号を ぼーっと眺めながら書き写す 延々と続く わたしの知らな…

きゆう
1年前
1

#28 両手ですくう、わたしを

雨にも 風にも 嵐にも負けず 幾つもの虚無感をも切り裂きながら わたしはわたしと言いきかせ 幾つもの日々を乗り越えてきた 誰かのナイフを受け止めて 切り裂かれるたび…

きゆう
1年前

#27 黄金色につながる世界

カラスの親子が寝ぐらに帰る 夕焼け小焼けのすすき野原に 夕陽に染まったトンボがキラリ 土手の下を流れる川から 亀がゆっくり顔を出す 薄青空に白い月が照らされる 地…

きゆう
2年前

#26 視えない空気

ことばを上手に伝えられたら どれほどよいことであろうか 言葉とことばの間には 人とひとの間には 読まねばならぬ 空白がある 気づかねばならぬ 隙間がある それは 小…

きゆう
2年前
3

#25 あしたは続くよ、どこにでも

まもなく 電車がまいります 白線の内側の守られたラインから つま先を少しだけ出して 向こうの世界を覗きみる 決められたレールの上を 電車は滑らかに走り出す ガタゴト…

きゆう
2年前

#24 丑三時の一部始終

チクタク チクタク チクタク チクタク そおっと そおっと 抜き足、差し足 よるが部屋にやってきた ぴっちりと閉めた窓際の 青白いカーテンがゆらり、ゆらゆら 時計の…

きゆう
2年前
1

#23 消えた世界のその先に

在りし日の記憶を頼りに歩く 足跡はまだ、 帰る場所を覚えているはずだ ひとのこころが読めなくなった 目を開いても、あなたが誰かわからない 文字の羅列は理解できても …

きゆう
3年前
4

♯22 夜がはじまる

夕焼け小焼けの今日が過ぎ じめじめとした闇が来る ナメクジが描く銀色の筋は 月明かりに照らされ艶めいている 紫陽花の花が青白く まるであの世の誰かのように ゆらゆら…

きゆう
3年前
1

♯21 ニライカナイと蓬莱と遥か遠くの天国へ叫ぶ

いつかわたしが途切れた先の そこに気持ちを馳せてみる 千切れた感情の向こう側 やがて誰もが辿る終着点 いきものたちが、必然的に向かう場所 いのちが取れたら それは何…

きゆう
3年前
1

#20 のりたまかける、しあわせを

アスファルトを歩きながら 今日のご飯を考える 闇夜に浮かぶ街灯がチラつき 切れかけの リビングの蛍光灯を思い出す 坂道を登る太腿を 一生懸命上げながら 今日の味噌汁…

きゆう
3年前
1
『ブラン・ニュー・スカイ』

『ブラン・ニュー・スカイ』

見たことのない景色を見たい

その言葉につられて
ふらふらと逃避行

凪いだ海のつるつるとした質感
しん、とした湿原に広がる濃霧
視界をも白銀に染める真冬の吹雪

見たことのない景色を見てみない?

轟音が身体に響いて揉みくちゃのハウス
柔らかな絨毯に白檀の香り漂う花道

箱の中で見ていた景色は

一歩炬燵から足を踏み出せば
そこかしこに広がっている

目に映る鮮やかさ
光のまぶしさ
鼻腔をくすぐ

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#34 果てなきエール

#34 果てなきエール

背伸びをしたら
届くだろうか
誰かに笑われない
わたしでありたい

背伸びをしたら
掴めるのだろうか
後ろ指を指される人に
なりたくない

ジャンプをすれば
渡れるだろうか
池に落ちて笑われる
そんな人になりたくない

ジャンプをすれば
宇宙の果てに行けるだろうか
そんな果てのない大望をと
蔑まれるのが目に見える

邪魔をする世界の誰か
嫌われたら
笑われたら
失敗したら
たられば論で埋め尽くされ

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#33 またいつか、同じ世界で逢う日まで

#33 またいつか、同じ世界で逢う日まで

ねえ、聴こえてる?

太陽が明るい昼間のうちは
眩しすぎて見えないだけで、
月明かりになら照らされて
ほんとは一瞬視えるのよ

リボン結びが得意になって
なんでも結んでいるようだけど
背中のリボンはまだまだね。
エプロンが斜めに傾いている。

オムライスはね、卵を3つ
ふわふわとろとろに包むには
2つじゃちょっと足りないの

ねえ、届いてる?

風はからだを吹き抜けるけど
ちゃんと干渉しているの

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#32 明けない夜は無いとはいえど

#32 明けない夜は無いとはいえど

寝返りを打ち
ずれた布団を引き戻す

真昼の机の上ならば
いとも容易く夢の世界に飛び込めるのに
真夜中の、時計の針が響くいま
いかにして夢の世界に向かえばよいか
思考の海で溺れだす

ひとつ寝返りをまた打って
くるまる布団と目を瞑る

吸って吐いて
吐いては吸って
はて、今はどちらのタイミング
浮かんだ時にはまるで水中にいるように
布団の海で溺れだす

ふたつ寝返りを打って
仰向けになり天を仰ぐ

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#31 行きし世界の備忘録

#31 行きし世界の備忘録

絵の具を垂らした水色の
空に輝く雲のきらめき
薄青いちいさな花々は
そっと巡る季節を語りゆく

いとけない姿の愛し子は
砂に塗れてきんぴかの
団子を両手に咲く花よ
いつしか消えた片方の靴
けんけんぱしながら帰り道

滲む紅、薄青に
宵の明星きらきらと
群青に染まる草ぐさは
流るる風の行き先を語る

指切り交わす紅葉の手
弾む心に巾着揺れる
空かしたお腹に白米を
かき込む姿は愛し君
ご馳走様の姿に後

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#30 あなたワールド

#30 あなたワールド

くるくる くるくる
回転する世界を楽しみながら
にこにこの笑顔を見せるきみ

生まれてきたその日から
同じ時間を生きながら
きみと、きみの周りの人は
別の時間で生きている

くるくる くるくる
延々と続く 陽気なダンス
天を仰ぎ きみは廻り続けてる

きみが見つめる世界の色は
いったいどんな輝きなの
きみが喜ぶ世界の音は
いったいどんな宝石なの

くるくる くるくる
疲れては止まり また廻る

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#29 わたしはいつしか歴史であった

#29 わたしはいつしか歴史であった

教室の机の上で
ぴらりと広げた教科書は
睡魔に負けた痕跡とともに
ページの端が折れていた

黒板に書かれた年号を
ぼーっと眺めながら書き写す
延々と続く
わたしの知らない世界の話

桜とともに
歳を重ねる

皺一つ無かった手のひらは
いつのまにか刻まれた時を映してる

あの教室のあの日から
時計の針は何百回も
同じ回転を繰り返すのに

わたしは針が進むたび
過去という積み木を積んでいた

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#28 両手ですくう、わたしを

#28 両手ですくう、わたしを

雨にも
風にも
嵐にも負けず

幾つもの虚無感をも切り裂きながら
わたしはわたしと言いきかせ
幾つもの日々を乗り越えてきた

誰かのナイフを受け止めて
切り裂かれるたびに縫い合わせ
大丈夫、だいじょうぶ、だいじょうぶ
何度も手のひらに書いては呑み込んだ

雨にも
風にも
嵐にも負けず

背中に刺さるナイフはいつしか
痛みを忘れて貫通していた
縫い合わせたと思った綻びは
絶望を忘れるための幻覚だった

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#27 黄金色につながる世界

#27 黄金色につながる世界

カラスの親子が寝ぐらに帰る
夕焼け小焼けのすすき野原に

夕陽に染まったトンボがキラリ

土手の下を流れる川から
亀がゆっくり顔を出す

薄青空に白い月が照らされる

地面を這う羽虫たちは
ぴゅう、と吹きつけた風で

一斉にあちらこちらに散らばった

こぼれた枯葉の隙間から
ころころダンゴムシが転がって

小さな秋が巡り出し
土の中からミミズが天を仰ぎ見る

ミミズが見上げた果てなき宇宙

やがて

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#26 視えない空気

#26 視えない空気

ことばを上手に伝えられたら
どれほどよいことであろうか

言葉とことばの間には
人とひとの間には

読まねばならぬ 空白がある
気づかねばならぬ 隙間がある

それは
小さな煌めきもなく
波打つガラスでもなく
手をかざしたってすり抜ける

空想するのだ
想像するのだ
妄想するのだ

読まねばならぬ 空白は
気づかねばならぬ 隙間は

見えないからこそ
描いた世界は変化する

いま、君が投げた言葉を

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#25 あしたは続くよ、どこにでも

#25 あしたは続くよ、どこにでも

まもなく 電車がまいります

白線の内側の守られたラインから
つま先を少しだけ出して
向こうの世界を覗きみる

決められたレールの上を
電車は滑らかに走り出す
ガタゴト揺れることはあるが
スピードさえ守っていれば
無事に終着点へと辿り着く

決められたレールといったって
かたちはひとつな訳じゃない
真っ直ぐ一本だってあれば
右に左に分岐があって
カーブの形もさまざまだ

だから
それでいいやって、

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#24 丑三時の一部始終

#24 丑三時の一部始終

チクタク チクタク
チクタク チクタク

そおっと そおっと
抜き足、差し足
よるが部屋にやってきた

ぴっちりと閉めた窓際の
青白いカーテンがゆらり、ゆらゆら
時計の針は相変わらずに

チクタク チクタク
チクタク チクタク

鼓動とともに時を刻む

チクタク チクタク
チクタク チクタク

そおっと そおっと
背中によるがやってきた

だれかいる

ひやりとした気配に
目を開けた

チクタク 

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#23 消えた世界のその先に

#23 消えた世界のその先に

在りし日の記憶を頼りに歩く
足跡はまだ、
帰る場所を覚えているはずだ

ひとのこころが読めなくなった
目を開いても、あなたが誰かわからない

文字の羅列は理解できても
書かれた言葉は読み取れない

いま、わたしが進むべき道は
右か左か、はたまた上か?
頭の中でこだまするわたしの叫びに
わたしの身体は答えない

歩みを進める意味さえも
一歩進む毎に溶けてゆく

積み上げてきた月日はまるで
砂の城のよ

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♯22 夜がはじまる

♯22 夜がはじまる

夕焼け小焼けの今日が過ぎ
じめじめとした闇が来る

ナメクジが描く銀色の筋は
月明かりに照らされ艶めいている

紫陽花の花が青白く
まるであの世の誰かのように
ゆらゆらふわふわ揺れている

昼間の傘はまだ濡れて
乾く気配もうかがえぬ
先端からこぼれる雫は
真下を歩く小さき蜘蛛に降り注ぐ

月光は
いつしか雲に隠れ
仄暗いスクリーンが降りる

忍足で地面を蹴る猫の影は
呑気な蛙に降り注ぐ

遠くでカ

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♯21 ニライカナイと蓬莱と遥か遠くの天国へ叫ぶ

♯21 ニライカナイと蓬莱と遥か遠くの天国へ叫ぶ

いつかわたしが途切れた先の
そこに気持ちを馳せてみる

千切れた感情の向こう側
やがて誰もが辿る終着点
いきものたちが、必然的に向かう場所

いのちが取れたら
それは何処に向かうのだろう

真っ暗闇の宇宙の果てか
はたまた濃紺に染まる海溝か

かつて歩みを進めた人は
ひとり残らずベールの向こうへ消えてった
どんな偉人も英雄も、悪虐非道の俗人も
ひとり残らず辿っていったその道は
果たして何処に続くの

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#20 のりたまかける、しあわせを

#20 のりたまかける、しあわせを

アスファルトを歩きながら
今日のご飯を考える
闇夜に浮かぶ街灯がチラつき
切れかけの リビングの蛍光灯を思い出す

坂道を登る太腿を 一生懸命上げながら
今日の味噌汁の具を考える
深夜遅くにごくろうさまと
コンビニの明かりが出迎える

人の少ない店内を 右から左に徘徊し
今日のおかずを考える
横目に入った菓子パンを
明日の朝ごはんと手に取った

寒さが和らぐ今日この頃
雲の合間からたまに出てくる

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