きゆう
つぶやきのあと
見たことのない景色を見たい その言葉につられて ふらふらと逃避行 凪いだ海のつるつるとした質感 しん、とした湿原に広がる濃霧 視界をも白銀に染める真冬の吹雪 見た…
背伸びをしたら 届くだろうか 誰かに笑われない わたしでありたい 背伸びをしたら 掴めるのだろうか 後ろ指を指される人に なりたくない ジャンプをすれば 渡れるだろう…
ねえ、聴こえてる? 太陽が明るい昼間のうちは 眩しすぎて見えないだけで、 月明かりになら照らされて ほんとは一瞬視えるのよ リボン結びが得意になって なんでも結んで…
寝返りを打ち ずれた布団を引き戻す 真昼の机の上ならば いとも容易く夢の世界に飛び込めるのに 真夜中の、時計の針が響くいま いかにして夢の世界に向かえばよいか 思考…
絵の具を垂らした水色の 空に輝く雲のきらめき 薄青いちいさな花々は そっと巡る季節を語りゆく いとけない姿の愛し子は 砂に塗れてきんぴかの 団子を両手に咲く花よ いつ…
くるくる くるくる 回転する世界を楽しみながら にこにこの笑顔を見せるきみ 生まれてきたその日から 同じ時間を生きながら きみと、きみの周りの人は 別の時間で生きて…
教室の机の上で ぴらりと広げた教科書は 睡魔に負けた痕跡とともに ページの端が折れていた 黒板に書かれた年号を ぼーっと眺めながら書き写す 延々と続く わたしの知らな…
雨にも 風にも 嵐にも負けず 幾つもの虚無感をも切り裂きながら わたしはわたしと言いきかせ 幾つもの日々を乗り越えてきた 誰かのナイフを受け止めて 切り裂かれるたび…
カラスの親子が寝ぐらに帰る 夕焼け小焼けのすすき野原に 夕陽に染まったトンボがキラリ 土手の下を流れる川から 亀がゆっくり顔を出す 薄青空に白い月が照らされる 地…
ことばを上手に伝えられたら どれほどよいことであろうか 言葉とことばの間には 人とひとの間には 読まねばならぬ 空白がある 気づかねばならぬ 隙間がある それは 小…
まもなく 電車がまいります 白線の内側の守られたラインから つま先を少しだけ出して 向こうの世界を覗きみる 決められたレールの上を 電車は滑らかに走り出す ガタゴト…
チクタク チクタク チクタク チクタク そおっと そおっと 抜き足、差し足 よるが部屋にやってきた ぴっちりと閉めた窓際の 青白いカーテンがゆらり、ゆらゆら 時計の…
在りし日の記憶を頼りに歩く 足跡はまだ、 帰る場所を覚えているはずだ ひとのこころが読めなくなった 目を開いても、あなたが誰かわからない 文字の羅列は理解できても …
夕焼け小焼けの今日が過ぎ じめじめとした闇が来る ナメクジが描く銀色の筋は 月明かりに照らされ艶めいている 紫陽花の花が青白く まるであの世の誰かのように ゆらゆら…
いつかわたしが途切れた先の そこに気持ちを馳せてみる 千切れた感情の向こう側 やがて誰もが辿る終着点 いきものたちが、必然的に向かう場所 いのちが取れたら それは何…
アスファルトを歩きながら 今日のご飯を考える 闇夜に浮かぶ街灯がチラつき 切れかけの リビングの蛍光灯を思い出す 坂道を登る太腿を 一生懸命上げながら 今日の味噌汁…
2024年5月16日 00:48
見たことのない景色を見たいその言葉につられてふらふらと逃避行凪いだ海のつるつるとした質感しん、とした湿原に広がる濃霧視界をも白銀に染める真冬の吹雪見たことのない景色を見てみない?轟音が身体に響いて揉みくちゃのハウス柔らかな絨毯に白檀の香り漂う花道箱の中で見ていた景色は一歩炬燵から足を踏み出せばそこかしこに広がっている目に映る鮮やかさ光のまぶしさ鼻腔をくすぐ
2023年3月29日 16:21
背伸びをしたら届くだろうか誰かに笑われないわたしでありたい背伸びをしたら掴めるのだろうか後ろ指を指される人になりたくないジャンプをすれば渡れるだろうか池に落ちて笑われるそんな人になりたくないジャンプをすれば宇宙の果てに行けるだろうかそんな果てのない大望をと蔑まれるのが目に見える邪魔をする世界の誰か嫌われたら笑われたら失敗したらたられば論で埋め尽くされ
2023年3月6日 00:22
ねえ、聴こえてる?太陽が明るい昼間のうちは眩しすぎて見えないだけで、月明かりになら照らされてほんとは一瞬視えるのよリボン結びが得意になってなんでも結んでいるようだけど背中のリボンはまだまだね。エプロンが斜めに傾いている。オムライスはね、卵を3つふわふわとろとろに包むには2つじゃちょっと足りないのねえ、届いてる?風はからだを吹き抜けるけどちゃんと干渉しているの
2023年2月26日 23:37
寝返りを打ちずれた布団を引き戻す真昼の机の上ならばいとも容易く夢の世界に飛び込めるのに真夜中の、時計の針が響くいまいかにして夢の世界に向かえばよいか思考の海で溺れだすひとつ寝返りをまた打ってくるまる布団と目を瞑る吸って吐いて吐いては吸ってはて、今はどちらのタイミング浮かんだ時にはまるで水中にいるように布団の海で溺れだすふたつ寝返りを打って仰向けになり天を仰ぐ
2023年2月24日 23:45
絵の具を垂らした水色の空に輝く雲のきらめき薄青いちいさな花々はそっと巡る季節を語りゆくいとけない姿の愛し子は砂に塗れてきんぴかの団子を両手に咲く花よいつしか消えた片方の靴けんけんぱしながら帰り道滲む紅、薄青に宵の明星きらきらと群青に染まる草ぐさは流るる風の行き先を語る指切り交わす紅葉の手弾む心に巾着揺れる空かしたお腹に白米をかき込む姿は愛し君ご馳走様の姿に後
2022年12月20日 20:42
くるくる くるくる回転する世界を楽しみながらにこにこの笑顔を見せるきみ生まれてきたその日から同じ時間を生きながらきみと、きみの周りの人は別の時間で生きているくるくる くるくる延々と続く 陽気なダンス天を仰ぎ きみは廻り続けてるきみが見つめる世界の色はいったいどんな輝きなのきみが喜ぶ世界の音はいったいどんな宝石なのくるくる くるくる疲れては止まり また廻るき
2022年12月8日 20:23
教室の机の上でぴらりと広げた教科書は睡魔に負けた痕跡とともにページの端が折れていた黒板に書かれた年号をぼーっと眺めながら書き写す延々と続くわたしの知らない世界の話桜とともに歳を重ねる皺一つ無かった手のひらはいつのまにか刻まれた時を映してるあの教室のあの日から時計の針は何百回も同じ回転を繰り返すのにわたしは針が進むたび過去という積み木を積んでいた----
2022年8月25日 23:29
雨にも風にも嵐にも負けず幾つもの虚無感をも切り裂きながらわたしはわたしと言いきかせ幾つもの日々を乗り越えてきた誰かのナイフを受け止めて切り裂かれるたびに縫い合わせ大丈夫、だいじょうぶ、だいじょうぶ何度も手のひらに書いては呑み込んだ雨にも風にも嵐にも負けず背中に刺さるナイフはいつしか痛みを忘れて貫通していた縫い合わせたと思った綻びは絶望を忘れるための幻覚だった
2021年10月4日 01:42
カラスの親子が寝ぐらに帰る夕焼け小焼けのすすき野原に夕陽に染まったトンボがキラリ土手の下を流れる川から亀がゆっくり顔を出す薄青空に白い月が照らされる地面を這う羽虫たちはぴゅう、と吹きつけた風で一斉にあちらこちらに散らばったこぼれた枯葉の隙間からころころダンゴムシが転がって小さな秋が巡り出し土の中からミミズが天を仰ぎ見るミミズが見上げた果てなき宇宙やがて
2021年9月29日 12:18
ことばを上手に伝えられたらどれほどよいことであろうか言葉とことばの間には人とひとの間には読まねばならぬ 空白がある気づかねばならぬ 隙間があるそれは小さな煌めきもなく波打つガラスでもなく手をかざしたってすり抜ける空想するのだ想像するのだ妄想するのだ読まねばならぬ 空白は気づかねばならぬ 隙間は見えないからこそ描いた世界は変化するいま、君が投げた言葉を
2021年9月28日 23:49
まもなく 電車がまいります白線の内側の守られたラインからつま先を少しだけ出して向こうの世界を覗きみる決められたレールの上を電車は滑らかに走り出すガタゴト揺れることはあるがスピードさえ守っていれば無事に終着点へと辿り着く決められたレールといったってかたちはひとつな訳じゃない真っ直ぐ一本だってあれば右に左に分岐があってカーブの形もさまざまだだからそれでいいやって、
2021年9月22日 19:24
チクタク チクタクチクタク チクタクそおっと そおっと抜き足、差し足よるが部屋にやってきたぴっちりと閉めた窓際の青白いカーテンがゆらり、ゆらゆら時計の針は相変わらずにチクタク チクタクチクタク チクタク鼓動とともに時を刻むチクタク チクタクチクタク チクタクそおっと そおっと背中によるがやってきただれかいるひやりとした気配に目を開けたチクタク
2021年6月11日 16:39
在りし日の記憶を頼りに歩く足跡はまだ、帰る場所を覚えているはずだひとのこころが読めなくなった目を開いても、あなたが誰かわからない文字の羅列は理解できても書かれた言葉は読み取れないいま、わたしが進むべき道は右か左か、はたまた上か?頭の中でこだまするわたしの叫びにわたしの身体は答えない歩みを進める意味さえも一歩進む毎に溶けてゆく積み上げてきた月日はまるで砂の城のよ
2021年6月8日 23:03
夕焼け小焼けの今日が過ぎじめじめとした闇が来るナメクジが描く銀色の筋は月明かりに照らされ艶めいている紫陽花の花が青白くまるであの世の誰かのようにゆらゆらふわふわ揺れている昼間の傘はまだ濡れて乾く気配もうかがえぬ先端からこぼれる雫は真下を歩く小さき蜘蛛に降り注ぐ月光はいつしか雲に隠れ仄暗いスクリーンが降りる忍足で地面を蹴る猫の影は呑気な蛙に降り注ぐ遠くでカ
2021年6月7日 16:49
いつかわたしが途切れた先のそこに気持ちを馳せてみる千切れた感情の向こう側やがて誰もが辿る終着点いきものたちが、必然的に向かう場所いのちが取れたらそれは何処に向かうのだろう真っ暗闇の宇宙の果てかはたまた濃紺に染まる海溝かかつて歩みを進めた人はひとり残らずベールの向こうへ消えてったどんな偉人も英雄も、悪虐非道の俗人もひとり残らず辿っていったその道は果たして何処に続くの
2021年3月16日 07:51
アスファルトを歩きながら今日のご飯を考える闇夜に浮かぶ街灯がチラつき切れかけの リビングの蛍光灯を思い出す坂道を登る太腿を 一生懸命上げながら今日の味噌汁の具を考える深夜遅くにごくろうさまとコンビニの明かりが出迎える人の少ない店内を 右から左に徘徊し今日のおかずを考える横目に入った菓子パンを明日の朝ごはんと手に取った寒さが和らぐ今日この頃雲の合間からたまに出てくる