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#20 のりたまかける、しあわせを

アスファルトを歩きながら
今日のご飯を考える
闇夜に浮かぶ街灯がチラつき
切れかけの リビングの蛍光灯を思い出す

坂道を登る太腿を 一生懸命上げながら
今日の味噌汁の具を考える
深夜遅くにごくろうさまと
コンビニの明かりが出迎える

人の少ない店内を 右から左に徘徊し
今日のおかずを考える
横目に入った菓子パンを
明日の朝ごはんと手に取った


寒さが和らぐ今日この頃
雲の合間からたまに出てくる
月の光に照らされて
コンビニの白いビニールが
1枚3円なりの鈍い輝きを見せた

家路に着いても部屋は暗い
洗濯物もそのままで
格闘した朝の名残も変わらない

冷蔵庫に残したご飯茶碗
買ったばかりのハンバーグ
いっしょくたにレンジに放り込む

お湯が沸いた鍋の中には
ハサミでネギとお揚げを切って放り込み
味噌を溶かしてかき混ぜる

ネギの香りに癒された頃
チンとレンジが呼びかける

ほくほくごはんを眼前に
いただきます、と手を合わせ
白米に のりたまをかける
口に広がるしょっぱさと
ご飯の甘みが共鳴し
至福の時が訪れる
この瞬間を待っていた

今日の全てはこの時のため
日々のしあわせご飯にふって
明日をまた、生きてゆく







✳︎のりたまご飯は美味しい。なによりも。
という話。

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