きゆう

そのへんにいるひと 思いついたときに詩を書きます 100本溜まったら本にしたい

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そのへんにいるひと 思いついたときに詩を書きます 100本溜まったら本にしたい

マガジン

  • #1〜#20 詩まとめ

    つぶやきのあと

最近の記事

#34 果てなきエール

背伸びをしたら 届くだろうか 誰かに笑われない わたしでありたい 背伸びをしたら 掴めるのだろうか 後ろ指を指される人に なりたくない ジャンプをすれば 渡れるだろうか 池に落ちて笑われる そんな人になりたくない ジャンプをすれば 宇宙の果てに行けるだろうか そんな果てのない大望をと 蔑まれるのが目に見える 邪魔をする世界の誰か 嫌われたら 笑われたら 失敗したら たられば論で埋め尽くされる 雑音ばかりの世の中で 誰がわたしを信じるのだろう 誰がわたしを支えるのだろ

    • #33 またいつか、同じ世界で逢う日まで

      ねえ、聴こえてる? 太陽が明るい昼間のうちは 眩しすぎて見えないだけで、 月明かりになら照らされて ほんとは一瞬視えるのよ リボン結びが得意になって なんでも結んでいるようだけど 背中のリボンはまだまだね。 エプロンが斜めに傾いている。 オムライスはね、卵を3つ ふわふわとろとろに包むには 2つじゃちょっと足りないの ねえ、届いてる? 風はからだを吹き抜けるけど ちゃんと干渉しているの カーテンを揺らしたのはわたし ちゃんと見てくれていたかしら テレビを見ながら笑

      • #32 明けない夜は無いとはいえど

        寝返りを打ち ずれた布団を引き戻す 真昼の机の上ならば いとも容易く夢の世界に飛び込めるのに 真夜中の、時計の針が響くいま いかにして夢の世界に向かえばよいか 思考の海で溺れだす ひとつ寝返りをまた打って くるまる布団と目を瞑る 吸って吐いて 吐いては吸って はて、今はどちらのタイミング 浮かんだ時にはまるで水中にいるように 布団の海で溺れだす ふたつ寝返りを打って 仰向けになり天を仰ぐ 今日は何年何月で 生まれてからは何年経って 寿命は果たしていつ頃か 逆算しなが

        • #31 行きし世界の備忘録

          絵の具を垂らした水色の 空に輝く雲のきらめき 薄青いちいさな花々は そっと巡る季節を語りゆく いとけない姿の愛し子は 砂に塗れてきんぴかの 団子を両手に咲く花よ いつしか消えた片方の靴 けんけんぱしながら帰り道 滲む紅、薄青に 宵の明星きらきらと 群青に染まる草ぐさは 流るる風の行き先を語る 指切り交わす紅葉の手 弾む心に巾着揺れる 空かしたお腹に白米を かき込む姿は愛し君 ご馳走様の姿に後光差す 濃紺のオリオン瞬く新月の 丑三つ時の宵闇に 息を潜めて風は凪ぐ いつ

        #34 果てなきエール

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        • #1〜#20 詩まとめ
          20本

        記事

          #30 あなたワールド

          くるくる くるくる 回転する世界を楽しみながら にこにこの笑顔を見せるきみ 生まれてきたその日から 同じ時間を生きながら きみと、きみの周りの人は 別の時間で生きている くるくる くるくる 延々と続く 陽気なダンス 天を仰ぎ きみは廻り続けてる きみが見つめる世界の色は いったいどんな輝きなの きみが喜ぶ世界の音は いったいどんな宝石なの くるくる くるくる 疲れては止まり また廻る きみは確かに、きみの周りの人よりも 歩幅は遥かに小さくて きみはどうしても、きみの

          #30 あなたワールド

          #29 わたしはいつしか歴史であった

          教室の机の上で ぴらりと広げた教科書は 睡魔に負けた痕跡とともに ページの端が折れていた 黒板に書かれた年号を ぼーっと眺めながら書き写す 延々と続く わたしの知らない世界の話 桜とともに 歳を重ねる 皺一つ無かった手のひらは いつのまにか刻まれた時を映してる あの教室のあの日から 時計の針は何百回も 同じ回転を繰り返すのに わたしは針が進むたび 過去という積み木を積んでいた ----- 折れ線のない真新しい教科書を ぴらりとめくる わたしの知っている世界が既に

          #29 わたしはいつしか歴史であった

          #28 両手ですくう、わたしを

          雨にも 風にも 嵐にも負けず 幾つもの虚無感をも切り裂きながら わたしはわたしと言いきかせ 幾つもの日々を乗り越えてきた 誰かのナイフを受け止めて 切り裂かれるたびに縫い合わせ 大丈夫、だいじょうぶ、だいじょうぶ 何度も手のひらに書いては呑み込んだ 雨にも 風にも 嵐にも負けず 背中に刺さるナイフはいつしか 痛みを忘れて貫通していた 縫い合わせたと思った綻びは 絶望を忘れるための幻覚だった あなたが適当に吐いた唾 あなたがむしゃくしゃして投げた石 あなたが何気なく捨

          #28 両手ですくう、わたしを

          #27 黄金色につながる世界

          カラスの親子が寝ぐらに帰る 夕焼け小焼けのすすき野原に 夕陽に染まったトンボがキラリ 土手の下を流れる川から 亀がゆっくり顔を出す 薄青空に白い月が照らされる 地面を這う羽虫たちは ぴゅう、と吹きつけた風で 一斉にあちらこちらに散らばった こぼれた枯葉の隙間から ころころダンゴムシが転がって 小さな秋が巡り出し 土の中からミミズが天を仰ぎ見る ミミズが見上げた果てなき宇宙 やがてそれは 銀河につながり 銀河の端の太陽光線は 秋の空につながってゆく そし

          #27 黄金色につながる世界

          #26 視えない空気

          ことばを上手に伝えられたら どれほどよいことであろうか 言葉とことばの間には 人とひとの間には 読まねばならぬ 空白がある 気づかねばならぬ 隙間がある それは 小さな煌めきもなく 波打つガラスでもなく 手をかざしたってすり抜ける 空想するのだ 想像するのだ 妄想するのだ 読まねばならぬ 空白は 気づかねばならぬ 隙間は 見えないからこそ 描いた世界は変化する いま、君が投げた言葉を 受け取るわたしは どんなことばを返せばいい いま、君に投げた言葉は 彩あふれ

          #26 視えない空気

          #25 あしたは続くよ、どこにでも

          まもなく 電車がまいります 白線の内側の守られたラインから つま先を少しだけ出して 向こうの世界を覗きみる 決められたレールの上を 電車は滑らかに走り出す ガタゴト揺れることはあるが スピードさえ守っていれば 無事に終着点へと辿り着く 決められたレールといったって かたちはひとつな訳じゃない 真っ直ぐ一本だってあれば 右に左に分岐があって カーブの形もさまざまだ だから それでいいやって、思ってた 線路を飛び越えたりなんて いのちが幾つあっても足りないし レールのな

          #25 あしたは続くよ、どこにでも

          #24 丑三時の一部始終

          チクタク チクタク チクタク チクタク そおっと そおっと 抜き足、差し足 よるが部屋にやってきた ぴっちりと閉めた窓際の 青白いカーテンがゆらり、ゆらゆら 時計の針は相変わらずに チクタク チクタク チクタク チクタク 鼓動とともに時を刻む チクタク チクタク チクタク チクタク そおっと そおっと 背中によるがやってきた だれかいる ひやりとした気配に 目を開けた チクタク チクタク チクタク チクタク 背後でよるがあそんでる チクタクチクタク 振

          #24 丑三時の一部始終

          #23 消えた世界のその先に

          在りし日の記憶を頼りに歩く 足跡はまだ、 帰る場所を覚えているはずだ ひとのこころが読めなくなった 目を開いても、あなたが誰かわからない 文字の羅列は理解できても 書かれた言葉は読み取れない いま、わたしが進むべき道は 右か左か、はたまた上か? 頭の中でこだまするわたしの叫びに わたしの身体は答えない 歩みを進める意味さえも 一歩進む毎に溶けてゆく 積み上げてきた月日はまるで 砂の城のように地面に還る 家の戸を開けるとあなたが待っていた おかえり、と掛けられた声に

          #23 消えた世界のその先に

          ♯22 夜がはじまる

          夕焼け小焼けの今日が過ぎ じめじめとした闇が来る ナメクジが描く銀色の筋は 月明かりに照らされ艶めいている 紫陽花の花が青白く まるであの世の誰かのように ゆらゆらふわふわ揺れている 昼間の傘はまだ濡れて 乾く気配もうかがえぬ 先端からこぼれる雫は 真下を歩く小さき蜘蛛に降り注ぐ 月光は いつしか雲に隠れ 仄暗いスクリーンが降りる 忍足で地面を蹴る猫の影は 呑気な蛙に降り注ぐ 遠くでカラスがひと鳴きし 潰れた声がこだました

          ♯22 夜がはじまる

          ♯21 ニライカナイと蓬莱と遥か遠くの天国へ叫ぶ

          いつかわたしが途切れた先の そこに気持ちを馳せてみる 千切れた感情の向こう側 やがて誰もが辿る終着点 いきものたちが、必然的に向かう場所 いのちが取れたら それは何処に向かうのだろう 真っ暗闇の宇宙の果てか はたまた濃紺に染まる海溝か かつて歩みを進めた人は ひとり残らずベールの向こうへ消えてった どんな偉人も英雄も、悪虐非道の俗人も ひとり残らず辿っていったその道は 果たして何処に続くのか この世の誰も知りはしない 今世のわたしは未知数の 来るべき日に向かって歩む

          ♯21 ニライカナイと蓬莱と遥か遠くの天国へ叫ぶ

          #20 のりたまかける、しあわせを

          アスファルトを歩きながら 今日のご飯を考える 闇夜に浮かぶ街灯がチラつき 切れかけの リビングの蛍光灯を思い出す 坂道を登る太腿を 一生懸命上げながら 今日の味噌汁の具を考える 深夜遅くにごくろうさまと コンビニの明かりが出迎える 人の少ない店内を 右から左に徘徊し 今日のおかずを考える 横目に入った菓子パンを 明日の朝ごはんと手に取った 寒さが和らぐ今日この頃 雲の合間からたまに出てくる 月の光に照らされて コンビニの白いビニールが 1枚3円なりの鈍い輝きを見せた

          #20 のりたまかける、しあわせを

          #19 見ざる言わざる、着飾る 春

          背中に感じる熱い視線 振り返ることはしない首 髪の毛を 掬うフリして塞ぐ耳 下駄箱にしまう 靴の間に 挟まるメモを 知っていた 休み時間に喋る彼らが ざわめく訳を 知っていた 変わらぬ時を求める わたし 変わる日々を求める あなた わたしは世界の有象無象 されど あなたの世界の一輪桜 青葉の下で挨拶交わし 揺れた瞳に 気づいてた リノリウムの廊下を鳴らし 近付く足音 気づいてた 校舎に響くキンコンカン 別れの合図 鳴り響く はらりとスカート 名残惜しげに席を立つ

          #19 見ざる言わざる、着飾る 春