♯22 夜がはじまる
夕焼け小焼けの今日が過ぎ
じめじめとした闇が来る
ナメクジが描く銀色の筋は
月明かりに照らされ艶めいている
紫陽花の花が青白く
まるであの世の誰かのように
ゆらゆらふわふわ揺れている
昼間の傘はまだ濡れて
乾く気配もうかがえぬ
先端からこぼれる雫は
真下を歩く小さき蜘蛛に降り注ぐ
月光は
いつしか雲に隠れ
仄暗いスクリーンが降りる
忍足で地面を蹴る猫の影は
呑気な蛙に降り注ぐ
遠くでカラスがひと鳴きし
潰れた声がこだました
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