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#28 両手ですくう、わたしを

雨にも
風にも
嵐にも負けず

幾つもの虚無感をも切り裂きながら
わたしはわたしと言いきかせ
幾つもの日々を乗り越えてきた

誰かのナイフを受け止めて
切り裂かれるたびに縫い合わせ
大丈夫、だいじょうぶ、だいじょうぶ
何度も手のひらに書いては呑み込んだ

雨にも
風にも
嵐にも負けず

背中に刺さるナイフはいつしか
痛みを忘れて貫通していた
縫い合わせたと思った綻びは
絶望を忘れるための幻覚だった

あなたが適当に吐いた唾
あなたがむしゃくしゃして投げた石
あなたが何気なく捨てたごみ

そのたったひと言は
フォークになって
ナイフになって
刀になって
剣になって

刺さる、刺さる、刺さって、

抜けない



地べたのわたしは誰がすくうの
息が苦しく
浅い呼吸しかできない
横たわる中で、脳味噌が叫ぶ

わたしは わたしを大事にしていたか?

私はわたしに手を差し伸べて良いのだ
誰かをすくうばかりで忘れていたが

雨にも
風にも
嵐にも

わたしを守るためなら、負けていいのだ
傷はまだ赤く塞がらないが
やわらかな毛布に包まれて眠るしあわせを
目を瞑りながら思い出す

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