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#25 あしたは続くよ、どこにでも

まもなく 電車がまいります

白線の内側の守られたラインから
つま先を少しだけ出して
向こうの世界を覗きみる

決められたレールの上を
電車は滑らかに走り出す
ガタゴト揺れることはあるが
スピードさえ守っていれば
無事に終着点へと辿り着く


決められたレールといったって
かたちはひとつな訳じゃない
真っ直ぐ一本だってあれば
右に左に分岐があって
カーブの形もさまざまだ


だから
それでいいやって、思ってた


線路を飛び越えたりなんて
いのちが幾つあっても足りないし
レールのない道なんて
まして走れるかさえも分からない
知らない道を行くくらいなら
無事にゴールを目指したい


だけど
ある日、ふと思ったんだ

この白線の外側は、
レールのない、道なき道は
線路を飛び越えた先には
宇宙の果てと同じくらいの
わくわくが詰まってるんじゃないかって

敷かれたレールの上なんて
絶対走ってやるもんかって
反発してた過去の記憶がよみがえる

思い立ったが吉日だから
知らない電車に乗ってもいいし
電車から降りて歩いてもいい

窓の外には知らない景色
ゆるくたなびく雲がやさしく
燦々と晴れやかな陽射しが
駅のホームに降り注ぐ


今日も明日に向かって電車は走る
道なき道も
振り返れば足跡の描く線路ができる

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