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#24 丑三時の一部始終

チクタク チクタク
チクタク チクタク

そおっと そおっと
抜き足、差し足
よるが部屋にやってきた

ぴっちりと閉めた窓際の
青白いカーテンがゆらり、ゆらゆら
時計の針は相変わらずに

チクタク チクタク
チクタク チクタク

鼓動とともに時を刻む

チクタク チクタク
チクタク チクタク

そおっと そおっと
背中によるがやってきた

だれかいる

ひやりとした気配に
目を開けた

チクタク チクタク
チクタク チクタク

背後でよるがあそんでる

チクタクチクタク

振り返れば 出会ってしまう

汗ばむ体は一気に冷えて
起きてませんよ、と寝たふりしながら
頭まですっぽり布団をかぶる

チクタク チクタク
チクタク チクタク

冴えた目を必死につぶりながら
あっちこっちに動く気配を感じとる

よるが歌をうたっていた
静かに不思議な旋律の
つめたい、あたたかな歌だった

チクタク チクタク

青白かったカーテンに
金色の光が輝いた

新聞屋さんのバイクの音が
ブウンっと鳴って
鳥たちがいっせいに騒ぎ出す



よるの歌はいつの間にか消え

目を覚ましたわたしは
よるの名残りを口ずさむ

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