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25.【江戸屋敷 : テントウ虫と七三分け】


迷路街の近くに【江戸屋敷】と呼んでいる建物がある。

そこはマネキンショッピングセンターと同じように、昼と夜が重なる位置にあるので、同じ建物の中や外で昼の場所もあれば、夜になっている場所もある。
建物の外観は時代劇に出てきそうな長屋がよく出てくる。

ある日の夢では、忍者のように屋根の上を走り、屋根裏の中で隠密行動。
またある日の夢では、刀を振り回しながら勇敢に闘っていたり。
時には遊女になって……

江戸屋敷での夢は、恥ずかしくなるぐらい昔風な設定が多い気がする。


ある日の夢は、江戸屋敷の二階にある六畳ぐらいの和室から始まった。
部屋の中には、アタシと他にたくさんの男の人達が狭そうに座っていた。
みんな七三分けの髪型で黒ブチメガネをかけていて、和服姿をしている。

今回はアパートのような設定なのだろうか……。

開いている部屋の引き戸から廊下と下りの階段が見える。
廊下の床も壁も階段も焦げ茶色で少し暗い。
他の部屋だろうか。
廊下に沿って同じような引き戸がいくつか並んでいた。

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視線を部屋に戻すと、近くにいた男の人が声をかけてきた。

「ここは男ばかり。むさ苦しくて何にも無い所だから、お嬢さんにはつまらないでしょう? 酒が飲めるなら騒ぎたいけれど、まだ昼間だしなぁ。そうだ。ここの裏に飴やカンザシが売っている店があるから行ってみるかい?」

カンザシ? 時代を感じるなぁ……。

そう思いながら男の人を見ていたら
「ほら! ここから見えるんだよ」と彼は立ち上がって勢い良く部屋の障子を開けた。

開けた瞬間、外から物凄い羽音と共に人の顔ぐらいありそうな巨大なテントウ虫が三匹入ってきた。
そのままこちらに向かって飛んでくる!
男の人達が追い払おうと部屋にあった本や座布団を持ってドタバタ走り回るけど、部屋が狭いから大混乱。

そんな中、障子を開けた男の人が揉みくちゃになりながら近づいてきて、「外に出よう!」と大きな声で言ってアタシの手を取った。
一緒に階段を駆け下りて、そのまま外に出ると自転車が置いてあった。
この自転車もレトロなデザインだった。

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「さぁ、乗って!」

言われるがまま後ろに座ってみた。
二人乗りで一本道を進んでいくと、辺りが段々と日差しで真っ白になっていく。
凄く眩しくて目を開けていられなくなったアタシは、男の人の背中に顔を埋めていた。
少しすると、石の跳ねる音や乗っている感覚で砂利道を走っているのがわかった。
そっと顔を上げてみると、目の前には見覚えのある坂道が見えてきた。
それは神社公園の奥にある、木のトンネルに囲まれた広い坂道だった。

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緩いのか急なのかわからない下り坂。
神社公園の夢を見た後から、この坂は時々夢に出てくるようになった。
坂を下りると大草原学校の近くにある森林に繋がっている。

このまま大草原の方に向かうのかな?)

そう思っていたら、木の葉が顔にベチベチ当たって痛い。
思わず顔を伏せた瞬間――
目が覚めて起きてしまった。

あのまま目覚めなかったら、彼はアタシをどこに連れて行こうとしていたのだろうか。

気になる夢でした。


別サイト初回掲載日:2011年 01月16日


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