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エッセイらしきものばかり

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何がエッセイなのかよく分かっていない人が書いたエッセイらしきものです。
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2022年11月の記事一覧

黒猫の衝突

黒猫の衝突

 いないと思って近くにいるのが猫なんです。どこにでもあるような住宅地だろうが、荒地多めの里山だろうが、毎日のようにうろついているとやがて猫の姿を見かける。模様は様々で首輪はつけてたりつけてなかったり。独りで静かに道を歩いている時もあれば、広場で他の猫と喧嘩をしている時もある。

 見かけるのは外出時とは限りません。1階にある自分の部屋で窓を開けてぼんやり動画を見ておりますと、外の柵を忍び足で進む黒

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座席の透明糞

座席の透明糞

 どうでもいい発見をしてませんか。気づいたところで得も損もないし、深く掘り下げたところで何も出てこなさそうな発見を。私はたまにします。そしてすぐ忘れます。理由はどうでもいいからです。でも、何度も発見してるとさすがに記憶が定着してくるのか、「これこの間も発見したな」とか思ってくるんです。

 例えば、電車で起きる現象です。電車に乗ると、人は席に座る傾向が極めて強いです。まあ当然ですよね。席が空いてい

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ワールドカップと研究者たち

ワールドカップと研究者たち

 ワールドカップという大会があることは知っていました。開催期間はニュースでバンバン報じていましたし、地元はサッカーが盛んな土地柄ということもあって周辺にサッカー好きが多い環境でしたので、直接サッカーと関わりのない生活をしていてもどの国が強いだの日本代表がどうだのという話はチラホラ耳にしてはいたんです。

 ワールドカップがどうやらものすごい大会らしいと思い始めたのは大学生になってからでした。大会が

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適量の毒

適量の毒

 漫画家の白土三平さんは毒キノコとして有名なベニテングタケを食べていたそうです。理由は「うまいから」。特に毒の成分がうまいと言ったとか言わないとか。何とも豪快な話です。

 日本における毒キノコの代名詞とも言えるベニテングタケですけれども、毒性自体はそこまで強いほうではないようで、死亡事故も少なく、何なら調理法によっては食用にできなくもないという情報が出てきました。しかし、ウィキペディアによると腹

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1周年で記憶の限界を超えていく

1周年で記憶の限界を超えていく

 昔は個人個人がホームページを作ってネットに上げ、好きなように情報発信していました。有用な情報を上げる人もいれば自作のイラストや音楽を上げる人もいましたし、無意味と知りながら無意味なものを上げる人もいました。私は断然、無意味側の人間でした。今と大体同じことを書いては自分のホームページに載せていたんです。当時は今以上に何にも詳しくありませんでしたから、何だかよく分からない文章ばかり世界に公開していま

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そっち系の小動物の恩返し

そっち系の小動物の恩返し

 いないと思いきや意外といるのが動物です。それは都会でも同様です。朝はスズメやカラスの声が聞こえ、暖かな日には虫がそこらじゅうを歩き回ったり飛び回ったりしている。

 もうちょっと大きな動物を見かけることもあります。私の地元は歩いて5分で獣道を歩けるような田舎ですが、野生のタヌキは東京に来て初めて見ました。人間は人間でたくましいですけど、動物も動物でたくましいようで、都会でも何だかんだ生き延びてい

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貧乏揺すりとひとり遊び

貧乏揺すりとひとり遊び

 その日も職場へ向かうため、駅のホームで電車を待っていました。時刻通りにやって来た電車に乗りますと、車内がいつもより混んでいて、入口付近にも結構な人が立っています。しかし、奥を見ると座席の前のつり革辺りに結構なスペースがある。どうせ終点まで乗るわけだし、と思ってスペースの奥まで行ったんです。

 つり革を掴んだ時に気づきました。目の前に座っている初老の男性がなかなか特徴的だったんです。パーカーの襟

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サイの綺麗な八つ当たり

サイの綺麗な八つ当たり

 生き物が好きで、年に数回は必ず動物園や水族館に行っています。普段見ない生き物を見られるのはもちろん魅力ですけれども、人と明らかに違う行動を見ているだけでも楽しいんです。人っぽい行動を見せる瞬間も楽しいですけど。

 上野動物園でサイを見ていた時のことです。調べたらヒガシクロサイと呼ばれる種類のようで、柵を挟んでオスとメスが隣同士で暮らしています。

 近年になって、サイに遊び道具と思われるものが

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人知れず毒殺を覚悟した話

人知れず毒殺を覚悟した話

 以前に勤めていた会社は中で食事ができなかったので、いつも食べに出かけていました。と言っても、ひとりでどこかの店に入っていてはなんか気が休まらない。そんなわけで、コンビニで適当なお弁当を買い、近くの広場でベンチに座って食べていました。

 そこは一言で広場と申しましても、そばには図書館から運動場から美術館まで、いろんな公共施設が集まっている場所でした。そのせいなのか自販機のラインナップがやたらと充

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同じ額でも印象は違う

同じ額でも印象は違う

 本を読んでいたらこんな短歌が出てきました。

 ネットで調べると表現の細部が異なる亜種短歌がそこそこ出てきますけれども、おおよその意味は共通しています。手を叩く音が聞こえると、鯉は餌だと思って水面付近にやってきて口をパクパクさせ、鳥は「でけえ音がしたぞ、こりゃやべえ逃げんぞ」と思う間もなく反射的に飛び立ち、お手伝いさんは「はいはい、お茶ですね。ちょっと待ってなさいな」と思ってお茶を用意する。同じ

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思ってた散財と違う

思ってた散財と違う

 先日、誕生日だったんです。パッと贅沢に散在するにはいい言い訳です。ちょうど休日だったこともあり、買い物などの用事ついでにおいしいものを食べるなり冬物の服でも買うなりしてしまおうかと思いました。

 とりあえず、まずは図書館に本を返しまして、それから保湿クリームや掃除用洗剤を買うために薬局へ。ついでに何かお菓子でも大量に買って家で食べまくってやろうかとも思いましたが、良さげなお菓子がなかったので、

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理想と違ったらしいウッドデッキ

理想と違ったらしいウッドデッキ

 友人から聞いた話です。

 友人は最寄り駅までの道のりで、新しく戸建ての家ができたんだそうです。その家はウッドデッキがあり、木製の机と椅子が設置されていました。

 休日にお出かけをした友人がたまたまそのウッドデッキハウスの前を通ると、そこに住んでいると思しき女性がウッドデッキに設置された椅子に座っていました。机の上にはお皿とマグカップが置かれ、ちょうどサンドイッチを食べようとしていたそうです。

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みんなどこかで言い間違い

みんなどこかで言い間違い

 日本語はどれくらいの単語があるのか軽く検索したら、日常生活だと数万語、難しいものも含めると数十万語という情報が出てきました。とにかくたくさんなのは確かなようです。

 これだけたくさんあればいくらネイティブスピーカーだろうと、間違って覚えている言葉がどうしても出てくるというものです。その昔、小論文の書き方を教わったことがあるんですけれども、その先生は言葉の意味を間違えないよう気をつけなさいと何度

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