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そっち系の小動物の恩返し

 いないと思いきや意外といるのが動物です。それは都会でも同様です。朝はスズメやカラスの声が聞こえ、暖かな日には虫がそこらじゅうを歩き回ったり飛び回ったりしている。

 もうちょっと大きな動物を見かけることもあります。私の地元は歩いて5分で獣道を歩けるような田舎ですが、野生のタヌキは東京に来て初めて見ました。人間は人間でたくましいですけど、動物も動物でたくましいようで、都会でも何だかんだ生き延びているみたいです。

 そんなある日、いつものように職場へ行こうと玄関のドアを開けると、足元にドングリが5つ転がっていたんです。どれも棚に並べておきたいくらい状態がよく、表面はピカピカで綺麗です。

 私は不思議に思いました。周囲には実をつけるような木がないからです。事実、今までこんなところでドングリを見つけた経験はありません。私の部屋は突き当りにあるため、部屋の前を通り過ぎた誰かがうっかりドングリを落とすことも考えづらい。そもそもドングリをポロポロ落としながら歩く人って何なんだって話ですが。

 そこで私は思い出しました。おとぎ話では動物を助けると、その動物が恩返しをしてくるパターンがちょこちょこ見受けられます。その恩返しは主に助けた人を何らかの窮地から救うタイプと何らかのプレゼントをくれるタイプの2系統に分かれている気がします。全然調べずに書いてますけど、たぶんそんな感じです。

 どうやら私は知らないうちにリスかヤマネかムササビか、そっち系の小動物を助けたみたいです。そうでなければこのドングリの説明がつきません。ありがとう、リスかヤマネかムササビか、とにかくそっち系の小動物さん。生憎、小動物でない私にはドングリの活用法が思いつかないためその辺に捨てちゃいましたけれども、お気持ちだけは受け取っておきます。また、知らないうちに助けると思いますので、その際は玄関に10億円を5個くらい置いといてくださると本当に助かります。またよろしくお願いいたします。

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