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「うん」って、言えなかった。〜夢を追いかけるために別れを選んだ話〜


15歳の時に持った夢は、
ディズニーのホテルで働きたい だった。

この本を初めて手にした時、私は、
将来、この本に載るホテルの一つで
働くことができるだなんて、思ってもいなかった。

当時の私は、ページをめくるたびに、
ただただ、心が躍っていた。
可愛いグッズ、可愛いお菓子、可愛いキャラクター。


夢の国。

そんな夢の国も、何回、行ったんだろう。
家族、友人、恋人、仕事の同期や先輩。
共に過ごす存在はさまざまだったけど
それぞれに楽しみ方と幸せがあったかなと思う。

今日はディズニーへいっしょに行ったことのある
自分にとって初めての彼氏と
付き合ってた日々のうち
いまも、忘れられないことを、書く。


というのも、なぜか最近3回くらい
別れてから6年ほど会っていない、
そしてこれからも会わないその彼のことを
要所要所で、思い出していて。
これはなにかのなにかかもしれない、と思っている。


制服ディズニー。

ディズニーデート。

昔はそういうイベントにも憧れていた部分もあった。

17歳の私。彼氏っていう存在自体初めてで、

彼氏ができたということにドキドキ、ウキウキしてたのもある。

でもそれ以上に

私は、毎日、すごく愛されていたと思う。


高校2年のとき、
私たちは出会ってお互いに一目惚れした。

けど私は勉強にバイトに忙しく、
学校でも当時だいぶモテていて←、
私の気持ちがふらふらしていたから、
すぐには付き合えなかった。

私がどうであれ、彼は1年半、
ずっと私のことを好きでいてくれたのは、嬉しかった。

高校3年の秋。2度目の告白をされて、
初めて彼氏彼女という存在になった。
お互い付き合うの初めてでドギマギしたけど、
それも全部良い思い出って今なら言えるよ。


彼もディズニーめっっっっっっちゃ好きだったから
ディズニー行けたらいいね、って
2人でずっと言ってたなあ。

それで付き合って半年。
まあこれは留学行く1ヶ月前とかなんだけど
初めて彼とディズニーへ行った。
夜行バスで夜遅くに出発して、
朝着いたらそこはもう舞浜。


いつか好きな人とディズニー来たいなって
それまで家族とか友人とディズニー来る度に
思っていたから、
本当にそうできたのも嬉しかった。

そもそも、地方から行くディズニーは
お金も時間もかけなきゃ行けない
特別な場所だったから、
本当に大切な人とじゃないと行かないのが
地方に住む私たちの決まりだった。

あと朝から夜まで、
というかその前日の夜から翌日の朝まで
ずっと好きな人の隣にいられるのも
純粋に嬉しかった。

当時は高校生だったから
2人、一緒にいられても半日。

尚且つ高校は別々だったから、会えても週に一回。

放課後、私が英会話スクールへ行く前の時間に
駅前に来てくれて、数分だけ、会ったこともあったな。



さて、ディズニー当日の天気は晴れ。

私は食べるのもわすれて
アトラクション楽しむ派だったんだけど
彼はしっかりワゴンフードやレストランフードを
制覇したい派で
初めて、あんなにゆっくり、ディズニーフードを味わうことの楽しさを知りました。
季節限定チュロスに、ソフトクリーム。

スプラッシュマウンテン近くの
丸太風のベンチとテーブルの上に
リトルグリーメンのポップコーンバケットと、
シェリーメイを載せて、
まるで彼と私と2匹でテーブルを囲むかのように。
3月上旬のポカポカ陽気のもと、
にぎやかなおやつタイム。



たまに、思うときがあります。
もしかしたら、その方とお付き合い続けていたら
もっといま安定して幸せだったかな?って。

自分に、とにかく尽くしてくれる方で。
モカとディズニーで結婚式あげるために
貯金頑張ってるんやってまじめに言ってましたし、
実際結構な額を貯めてくれていたらしい。


冬、私が18歳になった頃、
一回、プロポーズちっくなことをされました。

彼にとっては、本気だったと思います。
4月から社会人になる彼と、
4月から半年カナダへ行く私。

物理的に遠くなるし環境も変わりすぎる。
そんな2人が、なんとか、離れないように、
彼なりに考えて、勇気を振り絞ってくれたんだと思います。

でもその時、私は、うんって、言えませんでした。

来月から、私は日本を離れる。

将来のことなんて、まだ、わからない。

自分がどうなるかなんて、わからない。

私、将来ディズニーのホテルで働きたいって
思ってたから、英語をもっと、勉強したかった。


もし結婚するってなったら、

きっと私は、夢を諦めなきゃいけない。

いや、本当に夢を叶えられるかどうかなんて

わかんなかったけど、

でも、もし、叶えられたら。

私は千葉へ行くことになるだろうから

一緒には住めないしもっと会えなくなる。

そんな未来が予想できてしまう。


たしかに彼のこと、好きだった。
一緒にいて幸せも感じていた。

彼は春から
県内の大手企業に勤めることになっていたから
なんとなくの将来の安心感もあった。

だけど。


「うん」、って、言えなかった。


4月。
物理的に離れ離れになったものの、
なんとか、別れてはいなかった。


日本とカナダ。


でもやっぱり、遠かった。

私は、
カナダでの留学生活に適応しなくてはいけなかったし

彼は、
社会人生活に適応しなくてはいけなかった。

カナダでは金曜日の夕方、日本では土曜の朝に
毎週ライン電話することにしていた。

私はしっかりホームシックになり
自分に自信もどんどん失くしていたので
最初は弱音ばっかり吐いていた。


彼も彼で、慣れない生活、社会人1年目独特の辛さ、
そういうので、弱音を吐くようになっていた。

それでも、週に1回、自身との電話を
凄く楽しみにしてくれていたらしい。

でも、私の留学の目的は、
あくまでも
英語を上達させること。

カナダにいながらも、わざわざ日本語を話す意味が
どんどんわからなくなってきていたのと

日本で誰かに流された噂で彼が私を疑い始め、
なぜか傷つけ合うということが増えてきてしまい

結局、別れた。


別れたことによって私はもう少し
カナダ生活に集中できるようになったけど

それでも私はカナダ留学中ずっと自信を持てずにいて、

彼は日本で社会人一年目のプレッシャーと日々闘っていた。

8月の半ば。日本へ帰国した。

私は4月と比べて体重が6キロは増えていて、
顔が丸く、目は小さく、足も太く、
腕も太く、身体が重かった。
見た目に自信なんか持てるわけがなかった。

そして心の内側でも、
自信なんてひとかけらもなかった。


何も達成できなかったな。
思ったより英語は上達させられなかったし、
元気に過ごすことすらままならなかった。
日々不安感とともに生きていて、
ただその場をやり過ごすだけで精一杯だったなと。

カナダ留学にかけたお金と時間が、
もったいなくて、親に申し訳なくて、
なにかを得るというよりかは、喪失して帰国した私。


自身を色に例えるならば、間違いなく、
無機質な灰色。
これが当時の自分にぴったりの表現だった。


そんなとき、彼から。

「おかえり。もう一回会おう。」

とラインが。自己肯定感が超低かった私。
どうせ付き合うことはないし、
留学先でラインで振ったのも良くなかったなとは
思っていて、それを断らなかった。

その日の夜、家まで、ひとまず会いに来てくれた。

まるまると太った別人みたいな私を
まじまじと見つめてから、
以前と変わらぬテンションで、抱きしめてくれた。


「おかえり。

ずっと、こうしたかったんよ。」

って。

彼は、社会人になる前と、全然変わらなかった。

でも、私は、
こんな自分を受け入れてくれる人の存在を
素直に喜んでいいのか、
やっぱり関わらないほうがいいのか、
わからなかった。

その日はすぐにバイバイして、
もやもやした気持ちで、家に戻った。

今度また遊ぼうって言われて、
どうしようって思って。

でも結局、断る理由が、私にはなかった。

だって当時の自分、
稀に見る人生史上最低レベルの
自己肯定感の低さ。
本当に、本当に、日本に帰っても、しんどかったから。


ああ、ここまで書くとことごとく私の弱さが文面に表れていて結構気持ち悪いな。笑

でも、わかるなー。笑
普通に当時の自分に、共感もできてしまうんよなー。

ここで吹っ切れて、一人でまた夢を
追いかけられるほど、全然強くなかったし、

心を抉られるようなダメージを留学で受けて
帰国した直後だったから、まあ、
彼がずるいっちゃずるいけど真っ当といえば真っ当。

そして彼は、やっぱり私と結婚したいと、
そういう意志で私に関わってくれていたから、
それは彼にとって、いたって真っ当な行動だったのだ。


後日、会った。
途中で、花束を渡された。

それはそれは、色とりどりの、
春と夏を掛け合わせたみたいな色のお花。

ピンク、白、オレンジ、黄色。
ところどころにある向日葵がアクセントになって
お花がギュッと束ねられている
大きい、丸みのある、ブーケ。


「もう一回、付き合ってください。」

という言葉と共に、渡された。

受け取れない、、、

私、これは、受け取れないや、、、

どうしよう。

そう思っている隙間に
沈黙の時間が流れていた。

沈黙に耐えきれないかのように、
彼、ポロッと言った。

「これ、モカをイメージして選んだんだよね。」


え?
なんて?
私を??
イメージしたって???
この、可愛すぎる眩しすぎる色味?


私は自身を灰色と見なしていた。
自身に希望なんて、一ミリも持てていなかったけれど

あなたの目に私は、こんな風に映っているの。



そんな想いを言語化する間もなく、
気づくと涙が溢れ、
私は、嗚咽を吐くように泣いていました。

彼、慌てはじめました。

嫌だったかな
やっぱり俺嫌われたかな

って思ったらしい。

そうじゃない。


私は、嬉しかったのだ。

本当に本当に、嬉しかったのだ。


目の前の彼なら、この先どんなことがあっても
私を受け入れてくれると、思ったのだ。

まるまる太った体と顔。泣きに泣いて
もっともっとブサイクになる私。

梅雨はじめのあの日の夜、
あなたが一目惚れしてくれた私なんて

もうそこにはいなかったのに。


そんなことお構いなしに、私をなだめだす彼。

それで結局私は
花束を受け取ることができた。
その日はなんだかずっと、恥ずかしいのと
嬉しいのとで、泣いていた。


家に帰って、花瓶に飾った。

その花を見るたびに、
自身は安心感に包まれるような感覚に陥った。



でも、結局。

その次の春。彼とは別れることを、選んだ。

「もう、遠くにいかないでほしい」

と言われたことが心に引っかかってしまった。

当時、私は就活を始めなくてはいけなかった。

その時私は、夢を諦めるわけにはいかないと
ディズニーホテルにも応募しようと思っていた。

受かる自信もないけど、でも挑戦はしたい。
15歳のときから心に思い描いてきた夢。
挑戦しないと後悔するのは、わかっていた。

でも、彼のその言葉。

それを私は

夢を諦めてほしい

という意味だと受け取った。

出会った時から、私の夢、知ってたやん、、、。

遠くに行って欲しくないから、今更、
夢を応援できないってこと、、、。

だから、私は、別れた。
「うん」ってやっぱり、言えなかったのだ。

この決断は簡単なことではなかったけど、
私にとっては、自分の夢を追えないことのほうが
辛いかなと思ったし、
夢に向かって頑張ってきた過去の自分に対しても
そこで挑戦できないことが、失礼だと思った。

引力に逆らうように
別れを選んだ部分もあるんだけど

そこにはちゃんとわたしの意志があったと思う。

し、それでよかったと、
きっとよかったんだと、思っている。

まあ、たまーーーに、弱い自分が出てきて、
いまも彼と付き合ってたら、、、とか考える時が
たまーーーーにだけ、あるんだけどね。あはは、、、。


それは自分が、まもなく26歳を迎える独身の女だから。

そして周りは結婚とか出産とか、
新しい人生を着実に歩み始めているから。


でもね、どうだろう。

夢を追ったことあるって魅力的じゃない?

って、ふと思うんだよね。

私の周りにそういう女性があんまりいなくて、、

というか夢を追って生きている人って
あんまりいなくて

生き方を周りと共感できないんだけど。

周りと分かり合えねー、
とか思いながら過ごしてて
そんな自分が結婚できる気もしてない、という現実。

もう夢を追う私は、ここにはいないのに。





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