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読書感想文⑨というかメモ

本日の本はこちら》出世する武士しない武士

まるで出世欲がある女が読む本?
どうも、出世欲皆無Z世代社会人おのぼりです〜

最近歴史を学ぶのが結構好きで。人間の行動や歴史、国家が行なってきた政策などには必ず理由があって、過去の賢い人たちが試行錯誤してその時代を生き抜こうとする姿から学ぶことは少なくないな〜と感じるから。

AIやロボット、Web3や宇宙•••など未来のキラキラしたものに目を向けるのもワクワクして面白いけど、
過去あったことに目をむけて、線で現在を見ることもだいぶ面白い。

というわけで早速メモをまとめていく〜

イメージとは違う江戸時代


江戸時代というとチャンバラ、辻斬りなどの時代劇シーンを思い浮かべがちだが、リアルだとそうした場面はほとんどなく、今日私たちが「和風」「日本風」と呼ぶさまざまな文化や生活習慣、思考様式などが確立されたのが江戸時代だという。

江戸時代の武士
×戦場を駆け巡った「荒くれ者」ではなく、
〇平和で安定した世で司法、行政、財政などで地位を得たり失ったりした。また、江戸中期になると財政危機などに振り回されていたので基本的に武士は複業、内職体制。
今、財政危機に陥る日本で私たちはその多くを理解、共有できる!
とのこと。ふむふむ

江戸のサラリーマン事情
武士は固定給、大きな手柄や出世があればアップするが基本的には先祖の働きに応じた家禄のまま世の中の情勢に左右される事なく一定の米が支給されていた。勤労は忠義と同義で幕府や藩への忠誠心だけで仕事をしていた。(日本の年功序列制度を彷彿とさせるよね。。)

享保改革後の足高制により能力主義が導入
給料は米倉に自分で取りに行くスタイルで、江戸幕府の米蔵(現在の蔵前駅周辺)は、支給日には旗本や御家人たちの長蛇の列ができた。米蔵で米をもらって換金するまでを代行する業者(札差)という職業もあったらしい。

下級武士からの出世
幕末、下級武士から出世した人が多い理由には、現状維持を考える必要がなく、ゼロベースで新しい発想ができたから。(位が高い人や、守るものが多い人だと保守的になってしまうものだよね。。)
これは265年間の長い平和の中で教育が行き届き、自由な発想という教育がなされた「江戸時代」が到達した答えの一つ。例:吉田松陰や伊藤博文

下級武士出身の伊藤博文
例えば、下級武士から出世した例として日本初の内閣総理大臣を務めた伊藤博文が挙げられる。
彼は元々、周防(現在の山口県)の百姓の子として生まれ、その後父が長州藩足軽伊藤家に入ったため、父とともに下級武士の身分を得た。

その後、吉田松陰の松下村塾にて学び、徐々に頭角を表していくわけなんだが・・・。当初、内閣総理大臣は三条実美(公家出身)と伊藤博文の二人に絞られていた。しかし、留学や外交などを経て技術を磨いてきた博文が周りの推薦により内閣総理大臣に選ばれた。
その後外国と競い合うために力をつけていく明治政府は、議会政治導入を契機に、貴族政治から能力主義へ移っていった。

(まぁ実際は、薩長の忖度などもあっただろうし、当時のムーブメント的にも新しい政治のあり方が求められていたりと、いろんな要素が絡んではいたと思うんだけどね〜。それでも、来るべき時のために視野を広げ、学び、人脈を形成してきた伊藤博文は凄いなと私は思うし、成るべくして総理大臣になったんだろうと思う!)


ではここからは、本で取り上げられている歴史上の人物の中でも、気になった人をピックアップ↓

【大きな政府を目指す改革者】8代将軍:徳川吉宗

・下がった米のレートの引き上げを行うために酒造りを推奨したり市場に出回る米の量を減らしたりして米価の安定化に努める米将軍

・学問所を支援、医療所を開くなど庶民の生活基盤も固める

・儒学を広めて主従関係や親子関係社会の秩序を重んじる思想で社会を安定させようとする

・足高の制(各役職に相応しい役高を決め、任命された人の家録が足りない場合は差額を支給するシステム)を採用し、家柄に捉われず優秀な人材を登用できるようにした

江戸前期は世襲制の政治だったが社会不安が大きくなり、威厳だけでは立ちいかなくなった江戸中期に「能力登用」という身分を超えた人事システムに。その後黒字を増やしたが、緊縮政策によるデフレと増税で庶民生活を圧迫。庶民の不満が渦巻いた

・明暦の大火の焼け野原から復興したあと、火事対策のために「いろは四十七組(町人が自分たちで町を守るシステム)」を作る

・格差拡大による貧困層の増加が問題に
→社会不安につながっていたため、吉宗は無料の診療所を作る
@小石川薬園(今の小石川植物園)

…すごい。学問にも力を入れながら、経済についても考え、貧困解消にも努めたんだ…とても視野が広く、賢い、そして動きが早い人なんだなぁ。
検討総理とは大違いだ…(おっと口が滑ってしまった)
「能力登用」という流れができているのも、現代との共通点になるかも。
当時の策が成功に収まったとは言い難いが、この人が能力登用に乗り出さなければ、日本はもっと個人の能力が認められるのが遅い国になっていたかもしれないよね。

【前例にとらわれないアイディアマン】老中:田沼意次

・米以外の収入に目を向けた

・新貨幣の鋳造→関東が「金」遣い、関西が「銀」使いと貨幣が統一されてきなかったところを、素材が銀貨、金貨の名目を持つ関東、関西共通の貨幣として導入された江戸開府から約170年ようやく統一貨幣が生まれる

・開府以来の伝統的な「重農主義」から「重商主義」へ。
間接税の徴収→土地から上がる年貢米以外の収入源が生まれる→賄賂政治へと繋がる→他の幕臣たちや庶民は反感を高める

・東北で起きた天明の飢饉や浅間山の噴火で米の値段が跳ね上がり意次失脚

その後
・寛政改革、天保改革などと幕府は改革を行っていくが、江戸経済は高騰の大暴落を繰り返しことごとく失敗

・下級武士たちは能力を認められて役職に就ける日を待つ間、内職に勤しむ(この頃からマルチワークだったのね!)

・重商主義になっても「武士」の給料は相変わらず米支給で、米の価格変動や収穫量によって収入にブレがあり、一応の職はあるが、十分な仕事がなく、金もないと言う状態が続いた。武士にとっては苦しい時代。。

江戸時代末期
・武士は生活に耐えきれず、御家人株を売って離散してしまう家も出るほど困窮→この株を買って新たな武士たちも登場

江戸時代は能力主義の下剋上時代へ!


・藩校(官僚になるための学校、儒学が基本)が設置され、武士たちの教育水準が一様に上がったため、優秀な人材が多く育つようになり、ポスト争いが激化→能力主義の下剋上時代に

・より高度な学問を学ぶために私塾も広がる(吉田松陰の松下村塾など)

・幕末に「尊王攘夷」「公武合体」などのさまざまな思想が生まれ、広まったのも教育のおかげ
→人々の教育水準が上がり、自分たちで政治を考え動かしたい!と考えるようになった

・江戸中期〜後期は能力主義だったため、貧富の差も激しくなった。
→時代劇を通して武士のヒエラルキーを見てみるのも面白い

庶民たちの時代!元禄バブル到来


江戸幕府265年で1番景気が良かったのが元禄時代(5代目綱吉)
→しかしその頃に明暦の大火が起こり、幕府は開府以来溜めてきた著財を使って復興を急いだ→お金なくなる
→勘定吟味役の荻原重秀が手持ちの金を増やす為に既存の小判を回収して質を落とした元禄小判を大量に造幣→社会はインフレ状態に
→元禄バブルの始まり
→元禄バブルは米中心の武士の生活を直撃し、武士は困窮。しかし貨幣経済の庶民は好景気に乗って豊かに→庶民たちの文化を形成→元禄文化

・元禄文化
担い手は主に上方(京都 や 大阪 を始めとする近畿地方)の庶民。
それまでは武士層のものだった絵画や陶芸の世界に庶民が進出し新たなジャンルが生まれる
→尾形光琳の風神雷神図屏風
→井原西鶴

人物から学ぶ出世する人の特徴

長谷川平蔵
火附盗賊改だった。ギャンブラーで下には好かれ上には嫌われた。目明しを使って検挙。目明しの更生にもなった。人の道を踏み外した人であっても差別することなく接していった。
人足寄場(軽犯罪者や無宿人たちの自立を支援する施設)を作るよう定信に提案。寛政の改革に組み込まれる。
→労働を与えるだけではなく生活指導と思想教育もセットで行った
→しかし質素倹約な定信は人足寄場に満足な予算を与えなかった

平蔵は幕府からの給付金を元手に山場で増やしたりした
→それがさらに定信を嫌いにさせ、出世ができなかった

▶︎どんなに仕事ができて協力者が多くても組織の中では「組織内の政治」もうまくないと出世はできない

豊臣秀吉
・惣無事(一才の争いを私戦として禁止)、自力救済を否定し刀狩りや兵農分離を進めて、武力の国家的集中を目指す→ある意味共産主義的?
→実践の場を失った武士…武術はやがて武芸(武士が嗜むべきスポーツ)となった

島原天草一揆…日本史上最大の一揆で天草四郎時貞を指導者とするキリスト教信者の反乱…関ヶ原の戦いから37年、大阪の陣から22年が過ぎていて実践を知る人間が少なくなっており、対応が後手後手に回って被害が拡大。

▶︎出世した後でも、起こりうるリスクを洗い出し、対策を先んじて打つ必要がある

伊能忠敬
元々は商人だったが、鋭い目利きと商売勘で伊能家を成長させ、コツコツ働いて貯めた資金が日本地図プロジェクトの資本になる。幼い頃から算術が得意で、暦算や天文学に興味があったが、田舎では学問がままならないので55歳で江戸に出てき、31歳の天文学者に弟子入りする。
その後地図を作るという名目で蝦夷地へ渡航。(本当は地球の外周の長さを知りたかった)→忠敬幕府の測量士としてデビュー

※幕府は調査費の一部を負担してくれたものの、事業は赤字だったため忠敬の私費で行われていた。自分の資産を投げ打ってでもやり遂げたいという強い気持ちがあったから。
→その後、最終的な地図の作成に入ったが完成を見ずに死去…。地図は弟子たちによって完成。その地図があまりにも精密だったため幕府は秘蔵とするが、この地図を国外に持ち出そうとするオランダ商館の医師シーボルトの事件につながる

▶55歳からやりたかったことを始め、自分よりも20歳以上も年下の人物に弟子入りする志の高さと、地元を出て大都会江戸へ向かうフットワークの軽さ。いつの時代だって出世する人は「行動」と「好奇心」が伴っている!
一気に伊能忠敬が好きになったな〜

感想&まとめ

信長、秀吉の時代は高度経済成長期。信長は楽市楽座をして誰でも商売できる場を与えることで経済が盛り上がる…等
→経済と絡めて歴史を説明してくれるから納得しやすいし面白い!社会科目が全部繋がる感じ、気持ちええ〜〜
学校じゃ単語しか教えてくれないこと多いけど、これなら理解が深まる。

おのぼりのマトメ:歴史上の人物から学ぶ出世する人たちの特徴

・情勢がコロコロ変わる中で、変化についていくために色んな事に興味を持ち、学んだ人たちが最終的には出世している

・与えられた仕事を実直にこなす+αのことをスピード感を持って行う

・自分と違う立場や年齢、身分であっても偏見を持たずに話を聞く視野の広さを持っている

・ほとんどの人にロールモデルや師匠がいる!

そして何より、彼らは自分の置かれた環境を嘆いたり恨んだりするのではなく、それをバネにして克服し、自らの人生や組織、社会の未来を切り開く努力を続けた人たちである。(これは本文中の言葉なんだけど、これに全てが詰まっている気がしたのでシェア。)

自己啓発本じゃないのに、凄くやる気が出た本。とてもいい本に出会えたな〜この調子で2022年も乗り切っていくぞ〜!ということでおしまい。

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