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妄想 短編小説 ショートショート

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頭の中で妄想した少しだけぶっ飛んだ事を描いております。
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#日記

短編小説ショートショート 『溌剌颯爽(はつらつさっそう)』

短編小説ショートショート 『溌剌颯爽(はつらつさっそう)』

シンバルの照り返しに睨みを利かせながら、その瞬間(とき)を待っていた。

緊張感とワクワク感が交互に押寄せてよくわからない感情のまま、ステックを握り絞める。

いよいよだ。

後攻である大崎高校の攻撃が始まった。

「海〜よ〜♪!!」

一塁側では野球部員のひとりが、メガホンを口元に充て溌剌と歌い出した。

その陽に焼けた野球部員の肌は、パール色のドラムセット越しに良く映える。

時折、高音のパー

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★フォロワー400人到達記念作品★ 400文字ショートショート『午前0時の桃源郷』

★フォロワー400人到達記念作品★ 400文字ショートショート『午前0時の桃源郷』

世の中が反時計まわりに動き出し、陽気に踊りだした。

千鳥足でふらつく俺は石畳みの坂道を下ってゆく。

そして本日も扉を開くと、たちまち広がる別世界。

店内を見渡せばレトロなソファーや無駄のないカウンターにかけてのレイアウト。

一次会からのガヤガヤしていた高揚感を、一度ニュートラルにしてくてるこの店内の静けさ。

ソファーに座るなり、そっと出される小粋なもてなし。夏は冷奴、冬は熱々のおでん。こ

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妄想 短編小説 『面白いオジさんの選び方』

妄想 短編小説 『面白いオジさんの選び方』

(カツンッ、カツンッ、カツンッ・・・)

俺は天を仰いだ。

昇天させるべく挑んだこの闘いにて、今日もあっけなく昇天させられたからだ。

右手でハンドルを回したまま、無情にも空打ち音だけが鳴り響く。

給料が入ったその脚で、パチンコ店に向かい今月も見事に財布の中をスッカラカンにしてしまった。

俺は半月分の給料を、貰ってそのまま口座に入れず全て使い果たすという、見事なアリウープを決めパチンコ店を後

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妄想 超短編小説『海外で流行りの〇〇』

妄想 超短編小説『海外で流行りの〇〇』

 週末の夜子供も寝静まり、しばし憩いの時間。冷蔵庫から缶ビールを取り出しソファーに座る。「プッシュ」と同時にビールを流し込みテレビをつけた。

リポーター「本日は今、海外で流行りのあれこれを特集いたします!早速、流行のまち渋谷でお話しを伺いましょう」

(リポーターが若い女性3人組に近付く)

リポーター「こんにちは~。今日は何しに渋谷へ?」

女性「今日は友達と今海外で流行っている『泥付き生野菜

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妄想 超短編小説『マックス狩り』

妄想 超短編小説『マックス狩り』

8月25日 晴れ

 きょうは、ぼくとお父さんとお母さん三人でマックス狩りに出かけしました。お店につくと、お店の人がビニールハウスに案内してくれました。
お母さんがお金を払ってくれると、お店の人が「それでは1時間の狩り放題です」とはさみを渡してくれました。ぼくは、お父さんの後ろについて行き、中に入ると木にはたくさんのスニーカーがなっていました。
お父さんは「なつかしいなぁ、お父さんがお前くらいの頃

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