マガジンのカバー画像

妄想 短編小説 ショートショート

20
頭の中で妄想した少しだけぶっ飛んだ事を描いております。
運営しているクリエイター

2023年7月の記事一覧

妄想 短編小説 『面白いオジさんの選び方』

妄想 短編小説 『面白いオジさんの選び方』

(カツンッ、カツンッ、カツンッ・・・)

俺は天を仰いだ。

昇天させるべく挑んだこの闘いにて、今日もあっけなく昇天させられたからだ。

右手でハンドルを回したまま、無情にも空打ち音だけが鳴り響く。

給料が入ったその脚で、パチンコ店に向かい今月も見事に財布の中をスッカラカンにしてしまった。

俺は半月分の給料を、貰ってそのまま口座に入れず全て使い果たすという、見事なアリウープを決めパチンコ店を後

もっとみる
妄想 短編小説 『この町でのルール』

妄想 短編小説 『この町でのルール』

この町は閉鎖的だ。

近所の住民にあいさつを交わすと、皆が俺の事をシカトする。

おまけに漁港で魚のお溢れを頂く三毛猫さえも、そっぽを向いてくれる。

俺はこの海が見渡せる高台の土地に一目惚れをした。

そして、足繁く下見に通う事半年。

雨の日や風の強い日、はたまた日中の日当たり、夕日の入り具合、全ての条件を念入りにチェックして、このマイホームを建てた。

まぁ、人生で3回は家を建てないと「本当

もっとみる
★フォロワー300人到達記念作品★ 300文字ショートショート『虚構の船』

★フォロワー300人到達記念作品★ 300文字ショートショート『虚構の船』

それは突然の事だった。

地元民は勿論、造船所の従業員でさえ知らされていない。

造船所岸壁より約300メートル先、回遊する青物を狙う海鳥達もびくりと一斉に舞い上がった。

次の瞬間「海が割れる」と表現するには荒々しく、対岸に向かって巨大な一筋の滝の道が出来た。

そこから姿を現した船は、何ともメカメカしいSF映画などで見る宇宙船のようだった。

この船が、いつ何処で、何の為に、建造されたのかは謎

もっとみる
妄想 短編小説 『勝利へのルーティーン』

妄想 短編小説 『勝利へのルーティーン』

俺は43歳で実家暮らしのフリーター

若い頃は、いわゆる「パチプロ」だった。

今日は7月7日

行きつけである近所のパチンコ店では、年に一度何かを期待させるゴロが良い大勝負の日である。

巷では七夕なのだが、そんなものは俺にはカンケーない。

今日もバイト代を握りしめて、朝イチ抽選の列に並ぶ。

抽選結果は258番

前列の集団は、スロットに流れるとして何とかパチンコには座れるか・・・

時刻は

もっとみる
妄想 短編小説 『集中線』

妄想 短編小説 『集中線』

世の中には、幾つもの情報が溢れている。

その幾つもある情報を個人がアンテナを張り巡らせて、必要な情報のみを取り入れる。

パラボナアンテナの様なでっかい利き耳を立て、何でも情報を取り入れる人。

はたまた、か細いラジオアンテナを立て必要最小限の情報のみを取り入れる人。

勿論、アンテナを張張らずとも生活をしていれば自ずと情報は入ってくる。

・・・しかし、それは取るに足りない情報だったりもする。

もっとみる