マガジンのカバー画像

OKOPEOPLE - お香とわたしの物語

115
OKOCROSSING が運営する、香りにまつわる「わたしの物語」を編み集めるプロジェクトです。https://oko-crossing.net/okolife
運営しているクリエイター

#エッセイ

オープン・フェア・スロー──お香と社会の3つの「隙間」

オープン・フェア・スロー──お香と社会の3つの「隙間」

こんにちは、お香の交差点OKOCROSSINGを運営している麻布 香雅堂代表の山田です。

お香をはじめとする和のかおりの専門店・香雅堂を手伝い始めておよそ10年が経ちました。思うところがあって初めてこのような文章を書くに至っています。みなさまにあまり馴染みのないと思われるお香業界の今をさまざまな観点で紹介しながら、お香の未来について考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

香木・香

もっとみる
OKOLIFEのサービスサファリ

OKOLIFEのサービスサファリ

はじめまして!京都の大学院でデザインリサーチを学んでいる林と申します。このたび、編集者の瀬下翔太さん経由で、広く現代のお香文化を探求するデザインリサーチのご依頼をいただきました。これから連載エッセイの形式でリサーチプロセスを発信していきます。今回はその連載第1回となります、どうぞよろしくお願いします。

お香を焚くってなんだろうはじめに簡単な予備調査として、香雅堂のスタッフのみなさんへのヒアリング

もっとみる
香が灰に変わる静けさの中で
--In this  tranquility of the incense turning into ashes--

香が灰に変わる静けさの中で --In this tranquility of the incense turning into ashes--

#1
詩を読むのが好きだ ー さまざまな事柄が細かく解説された様な長い文章や物語を読むよりも、言葉一つ一つを噛み締めながら読む詩という形式が好きだ。

I like reading poetry - where I can read each word by word, rather than a long sentence or story explaining various things i

もっとみる
圧力鍋とお灸

圧力鍋とお灸

「私たちの年代が怖いと思い込んでるものって、圧力鍋とお灸じゃない?」という話になった。サロンで同世代のお客様と向き合いながら、毎回たわいもない話をする。

どんな話題からその話になったのかは覚えてないけど2人で顔を見合わせて「たしかに〜!」ってなった。1970年後半生まれ。

使い古された、でも綺麗に手入れがしてある台所で祖母はいつも忙しく何かを作っていた。自分の畑で取れた作物を丁寧に下処理して一

もっとみる
桜が咲いても、春の香りを感じない。

桜が咲いても、春の香りを感じない。

春が来て、桜が咲きました。暖かくなり、日が長くなりました。でも、まだ春の兆しを感じません。

あたりを見渡すと、みんなマスクをしています。僕もマスクをしています。そうです。僕たちは、香りを失ったのです。

僕は昔、春があまり好きではありませんでした。雑木林などから漂うあの独特な匂いに耐えられなかったからです。小学生のころ、学校に通うまでの間、あの匂いに出会うと小さな手で鼻を押さえ息を止め、小走りで

もっとみる
ものを作る家族と、喪失の香り

ものを作る家族と、喪失の香り

編集部より:シンガーソングライターのしずくだうみさんにエッセイを寄稿いただきました。もの作りの家に育ち、やがて表現活動へと導かれていったしずくださん。お香のかおりは、そんな家族を喪う記憶とともにありました。お香にふたたび出会い、自身のもの作りと家族の関係を振り返った記録。

お香の匂いが苦手だった。

私が産まれた時、曽祖母二人が生きていた。どちらも父方で、頻繁に顔を合わせるわけではなかったが、曽

もっとみる