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倍率100倍の企業の内定と引き換えに腸を切断した話

※ここから先は、決して人身売買をした話ではありません。でも、ノンフィクションです。

初めに簡単に自己紹介を。
都内の大学に通う大学4年生で、昨年の9月から1年間休学をしています。昨年の就活では日系大手から内定を頂いたものの、内定を辞退し、もう一度就活をやり直しました。結果、2回目の就活では、当初から第一志望だった業界で内定を頂きました。選考の最後に、倍率は120倍を超えていたことを人事の方が教えてくれました。

就活留年を決断した背景はこちらで触れています。

今回のNoteは、就活をリスタートしてから内定を頂くまでの道のりを言語化し、自身の思い出として昇華するとともに、その中でどんな考え/価値観を大事にしてきたのか、言語化し内省することを目的としています。
この「言語化し、アウトプットする」作業自体に大きな価値があると思っています。
大事なことは大抵めんどくさいことかもしれません。

「考える」とは思考を言語化することです。
うーーーーーんってしているうちは「考える」には入りません。偏った思考をできるだけフラットに客観視する、複雑な物事を構造化して考える、こうした時に文章が支えてくれます。


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冒頭で少し触れておくとすれば、最終的に腸を切断し、永遠に消えない大きな傷をお腹に残すことになったわけですが、20年間のたくさんの経験/知識、人との出会いのなかで広がった価値観/考え方、全てを詰め込んで、悩みに悩んで両親の大反対を押し切った末、おばあちゃんからもらった成人祝い100万を挑戦資金に、人生最大の決断によって新しく作り出した本来はなかったはずのボーナスステージはとても幸せな時間でした。

人生は選択の連続です。
自分が選択しなかった方の道が、どんな風だったか知ることは絶対にできません。
選んだ道を自分で正解にしていくことが大事だと思っていますが、同時に、人生の岐路に立った時、どれだけ自分の中で多くの選択肢を持てるのか、言い換えればどれだけ多くのプランBを思い描けるかも極めて重要だと思っています。
「人生の豊かさ」とは、「選択肢の多さ」にあると考えるからです。

例えば、今日の夜ご飯何にしよっかな〜〜〜って考えた時、主食として、ご飯でもパンでもパスタでもピザでもそばでもうどんでもラーメンでも、何でも選べる自由が当たり前のように日本人にはあります。
一方で、南米を訪れた時、彼らの選択肢は1つしかないことを目の当たりにしました。彼らは常にいもを主食としています。芋と魚、芋と肉、ワンプレートで構成されたそれが彼らの当たり前です。

AでもいいしBでもいい、抽象化するなら自分の常識/考え方/価値観にどれだけ幅を持たせられるかが豊かな人生を送るために大事な要素だと考えています。
「仕事」という観点から切り取るとすれば、今の会社で働いてもいいし、転職してもいい、独立してフリーランスでもいい、起業してもいい、はたまたFIREでもいいし、思い切って仕事を辞めて世界一周でもしてみるか!とか、円で稼いで外貨で暮らす、のように常に自分の頭の中で多くのプランBを思い描くことで、結果として現状への満足度も上がっていくはずです。

当たり前ですが、人は知らないことからは選択できません。
様々なオプションを持ちながら、それを俯瞰して吟味し、最後は他の誰でもない自分の意思で力強く決断していく。
選択した先の人生は、時にうまくいかないこともたくさんあるかもしれませんが、こうしたプロセスそのものが「後悔のない人生」に結びつくと思うんです。

この学校がいけなければすぐどっかへ行く覚悟でいたから、狸も赤シャツも、些とも恐ろしくはなかった。
(夏目漱石/坊ちゃんの一節から)


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人生はたった一度きり。
現在の医療では一生治らない難病を患っているからこそ、そう強く思うようになりました。
人生は有限であることを自分の感覚として理解しているつもりです。

だからこそ、最後死ぬ時、「あ〜〜〜〜、楽しかった!!」って気持ちで死にたいなって純粋に思うし、
少し大袈裟な表現かもしれませんが、自分の最期から逆算して長期的な視点で人生を思い描けるようになりました。
そのためにはどこで、誰と、何をして、どんな風に生きていけばいいんだろう、って生まれて初めて本気で考え出したのが2回目の就活だったように思います。


就活に向き合うのではなく、
自分の人生に向き合ってください
(前田祐二/実業家)

前田祐二さんの言葉です。
1回目の就活は、就活という目先のゲームに囚われ、いかに攻略するかばかり考えていましたが、
2回目の就活では人生というもっと大きくて重要な視点から就活に取り組むことができました。


新卒カードは人生で一回しか使えない極めて貴重な機会です。
外銀でも外コンでもいい、商社マンになってもいい、銀行員になってもいい、整体師でもいいし、近所でパン屋を開業してみてもいいかもしれません。
何の肩書きもないまっさらな状態だからこそ、人生で最初で最後の何にでもなれる期間だと思っています。
だから、周りからは少し遠回りに見えるかもしれないけど、丁寧に使う道を選びました。


安定とは対局に、リスクたっぷりの道を自ら選択した2回目の就活。
「今」が苦しい時もたくさんありました。
でも、振り返れば、期待通り濃密で色鮮やかな時間でした。
そんな約1年間の軌跡をここに書き残します。

目次
1.人生はひょんなことから動き出す
2.ゴウくんからの一言
3.就活と闘病
4.仕事の選び方マニュアル
5.「幸せに生きる」とは


1.人生はひょんなことから動き出す

最初にぼんやりと就活留年を考えるようになったのは、昨年8月、動画クリエイターのArataさん(早稲田大学国際教養学部卒)のYoutubeライブを本当にたまたま見たことでした。
詳細な内容は忘れましたが(笑)、やりたいことのために休学をした自身の経験を踏まえてお話しされていたことに、当時、感動して。

彼の代表作。バチバチにかっこいい。
この動画、実は一度作った後にデータが全部飛んでしまったらしく、、
そのデータを修復するには40万。
修復するか迷ったものの、この一本の動画がのちの人生を変えるものになると確信していた彼はたった一本の動画を修復するために40万いろんな人から掻き集めたとか。
同世代でありながら、大きなリスクをとってでも挑戦する姿勢にすごく心動かされました。

人生、本当にひょんなことから動き出すものだと思います。
小学校6年生の時、担任の先生から「生きていれば自分の人生を劇的に変えてくれる出会いが必ず訪れる」と教わりました。当時はその言葉の意味がいまいち理解できず、ポカンとしているだけのアホな少年でしたが、この年になってようやくその言葉の意味を噛み締めるように理解できるようになりました。
あの時のあの決断は、あの人のおかげ、と思うことが何度もあります。

人生は運と縁、それとタイミングでできているものだと感じます。
たぶんチャンスはゴロゴロ転がっていて、気付く人は気づいてチャンスをものにすることができるけど、毎日をただぼんやりと過ごしていては、例え目の前に大きなチャンスが転がっていたとしても、それに気づかずチャンスは通り過ぎてしまいます。

ノーベル物理学賞を受賞された小柴昌俊さんは、東京大学を退官する1カ月前の観測で、超新星が発する素粒子ニュートリノをとらえる科学史上の快挙を生みました。その強運を指摘されると「運はだれにでも等しく降り注ぐが、つかまえる準備をしているのか、いないのかで差がつく」と反論しました。

環境は大事です。
良い環境にいれば、良い影響をたくさん享受できます。
でも、最終的に自分の人生を創れるのは紛れもなく自分しかいません。

動き続けなければパスは回ってこない
(マイケルジョーダン/元NBA選手)


2.ゴウくんからの一言

前回のNoteを公開してから、ありがたいことにたくさんの方々から激励のメッセージを頂きました。
ただ一方で、唯一厳しい意見をくれた人がいました。
ゴウくん。1回目の就活、日系メーカーのインターンで出会いました。その時は自分が就活留年をすると思ってもいませんでしたが、彼が就活留年中であることを別れ際に教えてくれました。

「レンくんがこれからやろうと思っている就活留年は俺がやっていた時とは全く状況が違う、だからよく考えた方がいい」
あれから1年経って、ゴウくんから電話越しに告げられた言葉でした。両親を除けば、唯一就活留年を引き止めてくれる言葉をかけてくれたのがゴウくんでした。
机上の空論ではなく、経験者だからこそずっしりと言葉に重みがあり、グサッと心の奥に突き刺さりました。
厳しくもあり、その裏にはゴウくんの優しさが見え隠れしていたように感じます。

ちょうどコロナによって就活のあり方に大きな変化が起こることを見越しての発言だったと思います。
自分でもわかっているつもりではありました。
21卒として経験した1回目の就活と比べれば、これからやろうとしている22卒としての2回目の就活はもっと厳しいものになるであろうことを。

自分の心の中で思っていたことを、初めて他人の言葉で自分に向けられた時、ハッとさせられました。
でも、そうした厳しい言葉のおかげで、それでもやるんだっていう情熱と揺るぎない覚悟を持って2回目の就活をリスタートすることができた原点の気持ちが、苦しい時/辛い時/逃げたくなった時、確かに支えてくれたように思います。

最も大事なのは、自分の直感に従う勇気を持つことです。直感はあなたの本当に求めることを分かっています。あなたが本当に求めていることはすでに心の中にあります。
(スティーブ・ジョブズ/Apple創業者)


3.就活と闘病

振り返れば、激動の2021年上半期でした。
頑張りたい気持ちと逆行して持病の症状が悪化し続けたからです。外来に行ってはその場で入院を告げられる緊急入院も就活中に何度もありました。
体調が優れず、面接を泣く泣く辞退しなければならないこともありました。
体が限界を迎え、悲鳴をあげていることは自分でもよくわかっていました。
そして最終的には腸を切断しなければならないほど病気は体を蝕んでいきました。

思えば、かつても似たようことがありました。
高校3年生秋、受験期も終盤に差し掛かり、みんな第一志望合格に向けて必死こいて勉強している中、ひとり病室にいました。

「なんでいつもこうなんだろう」
病室のベットで、無機質な天井を眺めながらつい思ってしまいます。
大事な時に限って、病気が悪化していきます。
頑張りたいのに、なかなかうまくいかないことがあります。
「トントン拍子」という言葉とはほど遠い、不器用な男です。

同時に、少し頑張りすぎてしまう性格なんだとも思います。
中学の頃も、大学に入ってからも、家族からも、就活でお世話になった社会人の方からも、バイト先の上司からもあんま頑張りすぎないように言われることに最近気づきました。

自分の頑張りや努力は誰かに見せるためのものではありません。だからいつもみんなからは見えないように努力してきたつもりです。病気のことも、友達からは気づかれないように努力し、ずっと隠してきました。

〇〇だから〇〇できないという概念が嫌いです。
高校時代の部活動では、県上位を既に中学から活躍していた選手が独占する世界において、無名中学から進学、高校入学後、部内ビリからスタート、それでも全国大会出場を最初から本気で目指しました。
結果、県団体優勝もレギュラーとして経験させてもらえました。
難病を患っているけど、大学時代には世界20カ国訪れ、イギリス留学も経験しました。

何かを諦めることは簡単です。
やりたいと思ったことをやらないで逃げることも簡単です。
でも、いつだって自分の可能性を自分で諦めてはいけないと思うんです。
自分には無理だと諦める必要はどこにもありません。
何かを始めるのに遅すぎるということもありません。
先入観は可能を不可能にします。

Working 16 hours a day, 7 days a week, 52 weeks in a year and people still calling me lucky.
(イーロン・マスク/テスラ創業者)


4.仕事の選び方マニュアル

「熱狂せよ」
1回目の内定者時代に、頭の片隅から離れなかった言葉です。
大学3年生の時、孫正義さんの講演を聞いたことがあります。

熱狂せよ。
変化が激しい時代において自分の仕事が熱狂できるテーマであれ。
(孫正義/ソフトバンク創業者)

1日24時間、そのうち8時間仕事、8時間睡眠、残りの8時間は自由な時間と、ざっくり大別した時、人生の1/3を仕事に費やすことになります。
ただなんとなく、お金を得る手段として働くのではなく、会社を使って自分がやりたいことをやれるとしたらどんなに楽しいことだろう、働く目的があって、そのために働けるとしたらどんなに幸せなことだろうって考えたのが2回目の就活でした。
もっとも、自分にとってキラキラして見えた社会人の方々の共通点は、遊ぶように働いていたことでした。
プライベートと仕事の境目が曖昧で、「働くこと」を純粋に楽しんでいる姿に、憧れるようになりました。

尊敬するオトナの1人に、山口周さんという人がいます。新卒で電通に入社してからBCGに転職し、今は独立研究家/著作者/パブリックスピーカーとしてご活躍されています。ベストセラー『ニューライプの時代 ー新時代を生き抜く24の思考・行動様式ー 』では次の時代に求められる「優秀さ」とは「感性」だと論じています。

そんな山口さんとたまたま会食にご一緒させていただく機会が大学3年の時にありました。
ちょうど1回目の就活の時です。
「どんな仕事につけばいいですかね〜」
思い返せば、本当にアホ丸出しの質問をしてしまったポンコツ大学3年生でしたが、返ってきた答えは極めてシンプルでした。
「いやー、好きなことすればいんじゃん?」

めちゃくちゃに賢い大人から、それっぽい正解のようなもの(笑)が返ってくる事を期待して質問した当時の自分は山口さんの返答に物足りなさを感じていましたが、今になってようやくこの言葉の意味を深く理解できるようになりました。まさに本質です。言葉は違えど、孫さんと似たようなことを言っているように思います。

何をやるにもGoogleで検索してその通り行動しようとする。
誰かが出した正解をなぞるように生きる。
そうではなくて、自分が面白いと思うものを追求し、没頭する。
自分が価値を発揮できる場所にポジショニングしていく。
いつの間にか他人に合わせて他人と同じように横並びで生きていく生き方から脱線して心のトキメキに従う。

日本には400万社ほどの会社があります。
世の中には、自分が知らない仕事がたくさんあります。
やりたい仕事が見つからない、のではなくて、まだ出会っていないだけかもしれません。

自分自身、今の内定先は2回目の就活で初めて知りました。「あ、こんな仕事あったんだ!まさにこれだ!!!」見つけた時、心からそう思えました。


前述したように、人は知らないことから選択できません。
だからこそ「知る」ことは重要で、知ろうとして「学ぶ」ことは面白いことです。

無知の知
(ソクラテス/哲学者)

「知らない」ということを「知る」こと、そして「知ろう」とすること。

<参考>
いつの間にか「好きなことをしていい」時代から、「好きなことをしないと豊かになれない」時代に変わった

20代の皆さんへ伝えたい 「自分の力で道を切り拓き、生きること」 〜私の20代を振り返る〜 (安宅さん/Yahoo! CSO)


5.「幸せに生きる」とは

みんなからほんのり塩素の匂いがして、何人かは疲れて爆睡していて、たまに風が窓際の何人かのノートをバラバラめくってきて、朗読の声がスッと響いていたあの時間は世界でいちばん穏やか場所だったとおもう(@KUJIRABA)

この前、美しい文章を見つけました。
2016年に投稿されたこのツイートには5万を超えるいいねがついていました。

「おかれんは自分のセンスの中で生きているよね、あんま他人のこととか気にしてなくて」
ベトナムで初めて出会い、今でも親交がある友達から旅行の帰り道に言われたことです。
世界を旅したことで、いろんな幸せのカタチがあることを実感しました。いろんな生き方があることも、少しだけ垣間見ることができたし、まさにそれが旅の1番の醍醐味だと思っています。

旅人の友達がいます。
日本を飛び出して出会った彼ら/彼女らは総じて、自分の人生がとても幸せそうに見えます。
なんでも面白がれる力が高いことに加えて、他人のモノサシのなかで生きていないからです。

4人兄弟の末っ子として生まれ育ち、幼少期からプロサッカー選手を目指してプロの下部組織に属して、本気で努力していた兄2人を横目に育ち、つい誰かと比較してしまう癖がありました。
恥ずかしながら幼い頃から、無意識に他人を意識し、比べながら、生きていたように思います。
でも大学時代、意図的にいろんなコミュニティに属して、いろんな価値観に触れて、他人と比べることは無意味であることをココロから理解できるようになりました。

自分にとっての理想の人生や理想の人物像が、全てお金や社会的地位などの客観的指標で定めることができるものであるならば、世の中の全ての人の幸せのかたちはテンプレート的になっているはず。
でも、お金を持っていても不幸な人は山ほどいるし、お金を持たずとも幸福な人も山ほどいるでしょう。
この事実が幸せは客観ではないことの証明になっていると考えます。

幸せは主観です。
理想は主観です。
なりたい人物像は主観です。
そこに自分の生き方や生き様が隠れています。

自分の人生を幸せだと感じられるのは自分しかいないし、
同時に自分の人生を不幸にするのもまた、自分です。

大好きな人とのおしゃべり
心からの大笑い
やりきった日の湯船
ポカポカした日の散歩
夕食が大好物
夜、コンビニまでアイスを買いに行く

子供の頃は感じていたささやかな幸せも、大人になって、忙しい毎日に忙殺されてどこかに忘れてしまったりします。
何気ない幸せは至るところに転がっています。
でも、そうしたささやかな幸せを感じるには、人生に余白が必要かもしれません。

人生はロールプレイング。人生の主人公はあなただから。あなたを幸せにするのは、あなたしかいない。あなたが主人公で面白い物語をしてください。誰かの人生の脇役じゃない。人の目を気にしないで、ちゃんと自分で生きればいいんじゃないかと。人と比べたりしないで。
(堀井雄二/ドラクエ生みの親)


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人それぞれにそれぞれのストーリーがあります。
そして、それぞれの人生に優劣などありません。
個々人が自分の尺度で幸せに生きることを通して、その周囲の友人/家族/恋人、ひいては社会に少しでもポジティブな影響を与えることができれば、はなまるだと思うんです。

ここまで読んで下さり、本当にありがとうございました。
最後に、元マッキンゼー日本支社長の大前研一さんの言葉を。

人間が変わる方法は3つしかない。1番目は時間配分を変える。2番目は住む場所を変える。3番目は付き合う人を変える。この3つの要素でしか人間は変わらない。最も無意味なのは「決意を新たにする」ことだ。
(大前研一/経営コンサルタント・起業家)

大事なことは「おっしゃ!明日から頑張ろう!」と思うことではありません。行動を起こし、そして継続することです。
ここまで読んでくださったみなさんにとっても、何かのきっかけ/小さな気づきがありますように。


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レールにハマらずに、これからもワクワクする方へ。



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