孫正義が若者に伝えたかったこと

                                 ー熱狂せよー        孫正義

2時間にわたる講演において何度も出てきた言葉だった。大学の講義をサボって参加したソフトバンクキャリアLIVE。めちゃくちゃ感動して最後泣きそうになった(笑)半端なくかっこいいおじさんだった。

「登れる山を決めれば人生の半分は決まる」そんな導入Vから始まって、小さなおじさんが舞台袖から出てくる。おそらく僕と同じ時間を同じ空間で過ごす機会は皆さんにとってほとんどの人が初めてでしょう、同時にほとんどの人にとっては最後でしょう、そんな前置きからスタートする。

最初に出てきたのはニューヨーク五番街の話。1900年と1913年、当時の五番街の写真が二枚並んで出てきた。道ゆく9割が馬車の時代から9割が自動車の時代への変化が映し出されていた。この間、たった13年。たった13年間で劇的に五番街の景色が変わっていった。1908年、T型フォードの発売がスタートする。5年の間に世の中の前提が変わった。まさにパラダイムシフトが起こったのだった。

では、今から15年後どうなるのか。孫さんはAIによる自動運転の世界が訪れると予測している。今ある交通事故のうち99.9%がAIによってなくなる未来を予想している。実際にそうなった社会のモデル動画を見たが、信じられないものだった。でも、確実にその時代があっという間に訪れるんだろう。

「熱狂せよ」 変化が激しい時代において自分の仕事が熱狂できるテーマであれ。

幕末から明治にかけて、日本は大きく変わった。その原動力となったのは坂本龍馬をはじめとする日本の若者だった。当時の若者の熱狂が日本の未来を変えた。

「志高くあれ」 

志と似たような言葉に夢がある。高級車が欲しい、と言えば夢があるとはいうけど、志があるとは言わない。志は夢と似たようでいて、実際には違う。夢はあくまで個人の願望、志は多くの人の願望を叶えたいという気持ちだと孫さんは語る。

現代を振り返ってみると、農業革命があって次に産業革命があり、そして現在、情報革命のフェーズに突入した。信じがたいことに100年前、日本の労働者の9割は農業に従事していた。それが今では5%になった。若者の比率でいえば1%を切っているだろう。言うまでもなく残り8割の人は農業をやめて職を失ったわけではない。人々は新しく生まれた職に従事した。これからの時代、あらゆる産業がAIの発展によって再定義されていく。人類史上最大のパラダイムシフトがまさに訪れようとしている。

だからこそ、熱狂できるテーマであれ。

ソフトバンクはarmという会社を3.2兆もの現金で買収した。年換算で1600億の企業を借金してまで買収に踏み込んだ。実はこのarmという企業はスマホのCPU市場でほぼ独占状態にある。みんなが持っているスマホにはほぼ100%、もっと言えば世界中のスマホのほぼ全てにこのarmが関与していることになる。そしてこの企業はスマホだけではなく、IoT市場のシェアも50%ほどに拡大する見込みだという。2030年、一兆個ものIoTデバイスで世界中から情報を集められるようになる。これは単なる仮説ではない。

AIによって人間よりはるかに高い精度で推論できるようになった。今日の20時、新宿東口に雨が2mm降ると予想されている時、何人がタクシーを必要とするのか。こんなことをAIが計算してくれる時代になった。人間が作ったものにも関わらず、いつしか人間を超えてしまった。また、ここにはヒートマップやダイナミックプライシングなんかが関わってきたりする。

GDPに占める小売の割合は6%。普段スーパーで買い物したり、コンビニで飲み物買ったり、デパートで洋服買ったり。全部含めてもたったの6%。その2倍以上の15%占めるのが物流。softbankはnuroの筆頭株主だ。このnuroは無人配送ロボットを扱う会社だ。従来、荷物を出す時、500円くらいかかる。アメリカでも同様に5ドルくらい。インドや中国でさえ1ドルくらいはかかる。日本で500円で配達しても、クロネコヤマトの収入はほんの僅か。それだけ物流はコストがかかる世界。しかし、このnuroを使えば20円で物を運んべる時代がやってくる。新しい世の中の当たり前を作るこの会社はソフトバンクの傘下にある。毎年約900万人が亡くなるがんの早期発見技術でアメリカ市場シェア100%の会社の筆頭株主も、従来の野菜栽培に必要な土地や水を99%削減できる技術をAIによって可能にした会社の筆頭株主も、softbankだ。そのほかにも70もの世界シェアNo.1の会社の筆頭株主にsoftbankはなっている。それを可能にしたのはsoftbank vision fundだ。世界中のグローバルVCの総額7兆円よりも多い10兆円をたった1つの会社で集めて世界一位のシェアを誇る企業をグループでまとめて軍戦略をとっている。20年前から孫さんが構想していたカタチがやっと資金が調達できる会社になって実現したのだという。30年前、時価総額世界TOP10にIT企業が1つしかなかった時代から、今ではTOP10を占める7つもIT企業へと変わった。次はAIの企業がとる時代だと力強く語る。世界のユニコーン企業TOP4も実はソフトバンクグループの一員で、それぞれ時価総額6兆円くらいある。一方で就活生の人気ランキング上位にあがる全日空とか総合商社は1兆円くらい。1つの会社で1つの事業で成功するのは30年まで。でもsoftbankは軍戦略をとることで今や300年続く企業になった。

熱狂せよ

新しい革命がやってくる。熱狂が革命を起こす。一度きりの人生、どう生きるのか。熱狂できる会社を選べ。

深々と丁寧におじきをして小さなおじさんはまた舞台袖へと戻っていく。拍手はしばらく鳴り止まなかった。


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