詩 『七月末のバルプロ酸錠剤』

僕は弱気な赤に飛びこむ。
カミソリの音が聞こえて生きていく。
いつも人が多くて孤独を感じる駅のホーム。
線路に向かって身体をふわっと。
今日も助手席からいつもの病院が見える。

きっと未来は大丈夫だとか。
環境のせいだ、病気のせいだとか。
藁をもすがるネットの試みだって。

僕は教室の前で怖くなる。
ひとつの希望が見えたトイレの中、
血だらけの腕で壊していく。
きっと僕の心は犯罪者と変わらない。

きっと未来は大丈夫だとか。
環境のせいだ、病気のせいだとか。
藁をもすがるネットの試みだって。

クラスメイトは数学の授業。
僕は精神異常者の待機所。
清潔な床には僕にしか見えない小人たち。
仲良くしたい。でも
「関わっちゃいけない。あなたを壊すから。」
ああそうか、かけがえのないそれが
いきなり豹変して襲ってくるから。

きっと未来は大丈夫だとか。
環境のせいだ、病気のせいだとか。
藁をもすがるネットの試みだって。

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