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2024年3月の記事一覧

最高の日 ショートショート

今日は最高の日だった。何が最高かというと、頭から卵は降ってくるし、水たまりにはまって足が泥べちゃになるし、色鉛筆はぶちまけて派手な色と音を教室に響かせてしまったからだ。まったく、最高に面白い。私はこういうハプニングが大好きなんだ。
頭から降ってきた卵はナイスキャッチしてもとに戻したし、泥べちゃを水道で洗うと夏の水は気持ちがいいし、色鉛筆を拾っていたら君が一緒に拾ってくれたんだ。
人生あざなえるなわ

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おおきなそらが やさしくなったわけ

おおきなそらが やさしくなったわけ

むかしむかし あるところに

おおきなそらが ありました。

おおきなそらには とっても じしんが ありました。

「わたしは あめも ゆきも にじも つくれるんだよ。わっはっは。わたしが いちばん すごいんだ」

そらにはなんでも できるんだ って

いつも おたかくとまっていました。

あるおかに

うさぎさんがいました。

うさぎさんは そらをながめて

おもいました。

「ぼくは にんじん

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貧乏な彼にはしかし夢があった。ある日彼は大金を手に入れた。彼は夢を買ってみた。その手に掬うと夢は現実になった。ところが彼はたいそう落胆した。なにかがちがった。空っぽの手。見つめていた手に小さな光がともった。それは愛する人の温かな涙であった。やっとみつけた。さて彼は何をみつけたか。