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伝説のつるぎ 大熊健司
2021年5月30日 00:54
「石嶺さん、お疲れ様です。」「青砥くん、お疲れ。」「コミュニティセンターって始めてきたかもしれません。」「ああ、なかなか来る機会ないかもね。」「いつもの公民館はダメだったんですか?」「うん、なんか今日は別の団体が入ってたんだってさ。」「そうなんですね。」 そんな他愛ない話をしながら俺は着替え始めた。「そもそも、公民館とコミュニティセンターって何が違うんですかね。」「どんな条例、法
2021年5月23日 00:18
日曜日、今日は家に一人きり。寝ころびながら本を読んでいると、家の前に大きな車が止まった音がした。インターホンが鳴る。何か届いたのだろうか、そう思った俺は起き上がってモニターを見た。するとそこには、宅配業者のトラックではなく、一台のキャンピングカーが鎮座していた。 慌てて外に出るとキャンピングカーの中にいたのはもちろん、じいちゃんとばあちゃんだった。「二人とも、どうしたの急に。」「いやあキ
2021年5月16日 00:54
放課後、今日もなんとかすべての授業が終わった。職員室で一通りの雑務を終わらせた僕は自分の居場所に戻る。「先生さよならー。」 そう声をかけてくる生徒たちに挨拶を返しながら、生物準備室へ向かう。生物準備室に着くとすりガラスから人影が見えた。いつものことだ。「え……」 しかし扉を開けるとそこにいたのは、いつものあの子ではなかった。長いブロンドをたなびかせた女性。といってもまだ若いのだろう、
2021年5月9日 00:12
最近陽介がよくスマホを見ている。別にそれ自体は構わないのだがとても熱心に見ているのだ。「陽介、最近やたらスマホと見つめあってるけどなんか面白いゲームでも見つけたの?」「いや違うんだよ。実はこれ……」 そう言いながら陽介はスマホの画面を俺に見せた。「漫画?」「そう、ウェブコミックとかウェブ漫画ってやつ。知ってる?」「ああなんか聞いたことはあるけど、よくは知らないなあ。」「まっつんでも
2021年5月2日 02:08
今日は父親が早く帰ってきたこともあり、三人で食卓を囲んでいた。「最近魚料理が多いよね。」 何気なく俺がそうこぼすと二人が露骨に固まったのが分かった。「いや別にいいんだけどね……」 何かただならぬ気配を感じた俺は静かに食事を続けることにした。 ついさっきまで両親ののろけた会話が食卓を飛び交っていたのが嘘のように、会話一つない水を打ったような静けさ。 その静寂を破ったのは父親が茶碗を強く