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海月と、男と、女と。

2023.1.13

13日金曜日。私は母と江ノ島へ行きました。ありがたいことに、新江ノ島水族館の入場券を2枚ギフトで頂いていたのです。この日は冬時期としては珍しく暖かな陽気だったので、行くことにしました。

江ノ島まで約2時間半。私は移動中の電車で、千早茜さんの「神様の暇つぶし」を読んでいました。これは大切な人から薦められた本でした。私は働き始めてから、あまり読書に没頭できていなかったのですが、この本は、まだ終わってほしくないと願う気持ちとともに、没頭して読んでいました。本の感想は、また後半に書きたいと思います。

本を読み、音楽を聴き、そんなことをしているうちに、藤沢駅に着きました。あと江ノ島までは電車一本で着きます。小田急線で片瀬江ノ島まで行く予定だったのですが、なぜか江ノ電のホームへ。あれれ、これじゃ片瀬江ノ島までは行かないよ、となり、駅員さんに事情を説明し、小田急線へと引き返しました。どうやら私は江ノ電が好きすぎるようでして(笑) 江ノ電に乗りたすぎて、勝手に身体が動いておりました。

そんなこんなで、片瀬江ノ島へ。着いたのが、お昼前だったので、早速お昼ご飯を。前もって調べて気になっていた“江ノ島・小屋”というお店へ。

お店の入口にあったなんかかわいいの。
まかない丼。

私はまかない丼を注文しました。母はホロホロ丼を注文していました。いやあ、美味しかった。一口目に生姜の香りが広がって、あときゅうりが凄くいいアクセントになってました。メインで乗っかっている、なめろう。私はお魚に詳しくないので、何のなめろうか、わからないのですが(笑)
でも美味しかったので、いいってことで!締めはお茶漬け風にして食べました。いいお味でした。

満腹になったところで、新江ノ島水族館へ。たっくさんの生き物たちを見ることができました。母は水族館が大好きで、私よりも楽しんでいるようにみえたので、良かったです。

私も私で楽しんでいたのですが、なんだかぼーっと考える時間も結構あって。生き物たちを、人間が見ている。生き物たちは、狭い場所に居て、私たち人間は、それを外から眺めている。その光景を客観的に見たとき、なんだか不思議な感じがしてしまいました。生き物たちは、どんな気持ちで過ごしているんだろう、って。人間の方が、偉いみたいな感じがして。それは違うよな、って。

私って、人間って、凄く自分勝手だな、って思いました。仕事で疲れて、人に疲れて、その疲れを癒して欲しいと、生き物に、植物に、自然に触れる。自然は、ただそこに居てくれるから。それに私は甘えているんだな、って。それが悪いとかそういうことを言いたいのではなくて、もっと、聴こえない、見えない、届かない、想いを知りたいと思いました。何かを知ったからといって、私にできることって何もないのだけど、でも知ることで、自然の力と人の力が共鳴する瞬間が、この地球上で、もっと生まれたらいいなと想いました。

だって、ほら。私の好きなクラゲちゃん。人類が誕生するよりもはるか昔に、クラゲは地球上に現れたんだって。人よりも、クラゲの方が、この地球のことをよく知ってるってこと。凄いですよね。この地球上での生き方を、きっと私たちよりもたっくさん知ってるよね。ちゃんと、学ばせていただきたいと想います。気づかせてくれて、ありがとうございます。

水族館のあとは、海でお散歩。今年初の海でしたが、やっぱり落ち着きます。波の音、風の音、空を舞う鳥、全てが優しかったです。今度は一人で海に行って、美味しいご飯食べて、カフェで本を読んで、そんな旅をするのもいいなと想いました。

念願の江ノ電。鎌倉高校前から見た海。

好きすぎる江ノ電に揺られ、藤沢駅へと戻りました。たくさん歩いたので、カフェでケーキを食べて暫しの休憩。ケーキも美味しかったなあ、疲れた後の甘いものは最強です。

あっという間に、空が暗くなり、光がまぶしいくらいに輝く時間となりました。行きと同じように、約2時間半をかけて自宅の方へと帰りました。駅についた頃には、20時近くなっていたので、夜ご飯も外で済ますことに。かっぱ寿司へと向かいました。

回転寿司、、そういえば大切な人とも行ったな、あん肝を2回も頼んでいたな、と想い出していました。江ノ島の旅でも、何度想い出したのだろうか。もし水族館に一緒に居たら、大きくて温かい手に触れて、クラゲを見て、静かに語り合っていたのかな。海のお散歩は、映画でも撮れるんじゃないかってくらいに、2人だけの世界に浸ってたのかな。そんなことを、ふと想い出しては、自分の中に優しく温めていました。

江ノ島への移動中に読んでいた、千早茜さんの「神様の暇つぶし」。本の背表紙に書かれているあらすじを、こちらにも引用します。

親を亡くし一人になった20歳の夏、父よりも年上の写真家の男と出会ったーーー。男の最後の写真集を前にあのひとときが蘇る。妙に人懐っこいくせに、時折みせるひやりとした目つき。臆病な私の心に踏み込んで揺さぶった。彼と出会う前の自分にはもう戻れない。唯一無二の関係を生々しく鮮烈に描いた恋愛小説。
千早茜「神様の暇つぶし」

今日この本を読み終えたこと、江ノ島での出来事を話したくて、帰宅後の落ち着いた時間に、大切な人と電話をしました。

本を読んだ感想を聞かれました。大切な人は、この本の2人の関係を、私たち2人の関係と重ねながら読んでいた部分があったと言っていました。それを聞き、私も本に描かれていたものを想い出していたら、なんだか淋しさを感じ、涙が溢れてきました。(泣いているのを気づかれないように、電話してたんだけど、大丈夫だったかな。)

20歳の女の子は、藤子という名前なのですが、その藤子の気持ちが少しだけわかるような気がして、複雑な気持ちになっていました。誰かを好きになるって、とってもとっても幸せなんだけど、目の前から居なくなってしまう怖さがあるから。会えば会うほどに、一緒に過ごした時間が増えるほどに、愛と、そして孤独の深みが増しているように感じるから。

ここまで書いてきて、何を書きたいのか繋がりがよく分からなくなってしまいました。でも、本の中で響いた言葉があって、それだけ紹介させてください。

「みんな自分の恋愛だけがきれいなんだよ。不倫してようが、歳の差があろうが、略奪しようが、自分たちだけの恋愛が正しくて、あとは汚くて、気持ちが悪い。」
千早茜「神様の暇つぶし」(p.207)

私は、大切な人のことを、こうやってnoteに日々のカケラとして残しています。彼氏、恋人、恋愛、そういった言葉を使わずに。きっと、私の中では、彼氏、恋人、恋愛という、ありふれた言葉で片づけたくない。もっと私が感じているのは、きれいなものだから。こんな風に思っているから、大切な人という言葉の表現を使っているのかなと想いました。

たぶん、きっと、これからも、お互いに、彼氏、恋人、恋愛という言葉はあまり使わないように思うし、私は自分たちの関係を美しくきれいなものとして、noteに残していくと想います。そして、美しくきれいなものの奥には、裏には、何が眠っているのか、それも知っていくのだと思います。

江ノ島の旅について書くはずが、なんだかいろんな要素を散りばめた日々のカケラとなりました。

儚く、脆く、強く。
これからもよろしくお願いします。

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