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75.大切にしようね!人の心と著作権。

1.著作権って何?

「著作権」って一体何だろう。

この言葉は誰しも耳にしたことがあるはずです。
また、近年、マルチメディアの急速な発展とともにこの著作権に関する関心が高まっています。

今、インターネットのホームページは花盛り。
誰もが自由に自分の考え方や意見を表現できる時代となり、誰もが著作物を簡単に自由に創作できるようになりました。

かつて、このような著作物(創作物)を創る者は、専門家や技術者または芸術家、音楽家といったように特殊な技術、才能、教育によって特定の人たちの独占的な権利でしたが、今や数多くの人が、パソコン、インターネット、デジカメ、スマホ、複写機といった創作手段、利用手段、技術を手に入れている。

同じ、知的財産権の中で特許等の工業所有権の場合は、専門家、技術者を対象としたプロの世界のものだが、著作権は、著作物を創作するすべての人を対象とした、大きな違いがある。

つまり、著作権は一切登録や出願する行為はなく、その「著作物を創作した時点で自動的に権利が発生する」(著作権法第十七条二項)。

そしてこの著作権という権利は、有名・無名、専門家、素人と一切関係なく、さらに上手、下手も関係なく、そこに創作されたもののすべてに自動的に権利が発生している。

これは小さな子どもたちが描いた絵やイラスト、わたしたちが日常利用している手紙やメールにも創作性のあるものすべてに、この権利が発生している。

「権利、権利なんていうけれど、そんなに権利を主張されてしまったら不自由になって自由がなくなってしまう……」。

確かにこのような考え方をする人も多い。
しかし、自分の創作したものが知らないところで公表されていたり、公表したくないもの、見せたくないものを勝手に公表されてしまったらどうだろう。

それでも気にしないという人もいるかもしれないが、ほとんどの人は嫌な気分に陥ってしまったり、深く傷つく人もいる。

たとえば、自分の意と反する政治や思想、宗教団体のホームページに自分の写真(肖像)や文章が掲載されていたとしたらどうでしょう。

自分が望んでいることであれば気にもならないことだが、無断で自分が知らないところで利用されていたらどうでしょう。

ただ笑って済む問題なのでしょうか。

もし一言相談があれば、丁重にお断りしていたかもしれないし、こうしてもらいたかったという希望を出したかもしれないし……。

このように無断で写真や人の肖像を利用することによって、深く人を傷つけてしまう場合もあるからです。

今、スマホや、SNS投稿、このnote記事も同じ、このようなトラブルが続出。

たとえば、写真を載せれば、その撮影した人に著作権が発生します。
その写真には他人の肖像が写されているため、「著作権」と「肖像権」の二つの権利があり、撮影した人がこの写真を自由に使用してもかまわないといったからって、何にでも自由に利用できるわけではありません。

つまり、写された肖像者にも確認を取る必要があります。

また、肖像者がこの写真を自由に使用してもかまわないといっても、撮影したカメラマンには著作権があります。

このように有名人の場合にはパブリシティー権が発生しますが、無名な一般の人にはプライバシー権もあり、両者の確認が必要なわけです。

今、スマホ等のSNS投稿やこのnote記事などを見ると、日本全国の市町村、市民活動団体やボランティア活動団体、企業、個人を含めて、確認つまり本当に了承を得て掲載しているのかという疑問も残ります。

一般の人はもちろん、個人のホームページやSNS投稿などに有名人の写真や数多くの肖像写真が掲載されています。

また、人気キャラクターや他人のつくったキャラクター、絵や写真など数多く登場していますが、訴えられたらどうするのでしょう。

また、今は小学生までも自作のホームページを作成したり、このnote記事に小学生や中学生が参加しています。

それを勝手な方法で加工したり、部分的に利用したりしてnote記事に掲載している人たちもいます。

公表されているnote記事を紹介することは悪いことではありませんが、自分のnote記事に加工して使用することは著作権侵害となります。

確かにnote記事は簡単にコピーすることができてしまいますが、お互い著作権を持つ著作者なのですから、敬意が必要です。

さらに、ビデオやCD、DVDなどでも「私的複製」を認めていますが、この私的複製という意味も大きく誤解されている。

これは「個人または、家庭内その他これに準ずる限られた範囲内であれば著作権者等の許諾を得なくても複製を行うことができる」(著作権法第三十条一項)という定めがあるが、「あくまでも個人的または家庭内に準ずる限られた……」範囲であり、自分のホームページとしてインターネット経由で公衆に送信することは不特定多数に公表することであり、この私的複製はホームページなどには一切あてはまりません。

これは、公衆に送信することは著作権者の公衆送信権や実演家・レコード制作者などの送信可能権が適用されるため必ず許諾が必要となり、許諾がなければ、著作権侵害になります。

また、営利、非営利も一切関係なく、必ず著作権者の許諾が必要となります。

2.シャッター・チャンスと著作権

さて、これはただの雲の写真。
このような写真はたくさん発表されていますが、同じ写真は存在しませんね。
そう、雲は角度や天候によって様々な形に変化してしまいますから、その時点でのシヤッター・チャンスしかありません。
ですから同じ写真を撮るのは不可能に近いものですね。
でも、写真は創作性のあるものです。
何が、創作部分だといえば、シャッター・チャンスはもちろんのこと。
レイアウト(構図)、角度、そして感性に著作物として著作権のあるものだからです。

確かに、雲自体にはありませんが、撮影した人は著作者となり、著作権者となりますね。

この雲の写真を見て、どう感じるでしょう?
時間をかけて、意識しないと撮れませんし、なかなか特に狙って撮らないと撮れるものではありません。自己満足的な感動はありますが、その価値を決めるのはその写真を必要とする人がいるかどうか、ですね。

何のたわいのない写真でも、このシヤッターチャンスが写真のいのちだと思うのです。

みなさんもスマホでシヤッターチャンスを狙ってみませんか?

そして、「著作者」「著作権者」になるのです。

©NPО japan copyright association Hiroaki
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3.著作権法の意味

さて、著作権はその著作物を作成した人を保護する権利です。

そして、その著作権によって保護されるものが著作物(創作物)であり、文章や小説、論文や絵や写真、音楽や映像などは著作物であることはわかった。

しかし、レストランのメニューや新聞広告、チラシ、ポスター、会報やデザインなどはどうなのだろう。
それに駅構内の料金表や単なる図、単なる事実などは著作物とはいえないが、著作権法で保護される著作物は何を基準として決められているのだろう。
だが、著作権法には著作物の定義があり、その定義によって決められている。

著作権法は著作物について「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法第二条一項一号)と定義している。

では、この定義の意味は何だろう。四つに分解してみるとわかりやすい。

 ①「思想又は感情を……」とは、自分の考えや気持と考えればよい。思想または感情と聞くと何か特別な思想的な論文や小説のような気がするが、むずかしく考える必要はない。

 ②「創作的に表現したもの……」とは、自分のアタマで考え出し、作り出したもの。他人によって作られたものではなく、独自に考え、作り出したもの。

 ③「文芸、学術、美術又は音楽の範囲……」、文芸とか学術という言葉に一切こだわる必要はありません。人間の知的、精神活動の所産というぐらいの意味。

 ④「属するもの」とは、たとえば本でいえば、「本」という物体そのモノではなく、その本の中に表現された文章を保護するのが著作権、本そのものの物体は所有権の働きがあり、それぞれ別の働きをする。このように著作物の本質は本やレコード、映画フィルムなどの物体ではなく、その中に表現されている無体のもののことをいいます。

本日もここまで読んでいただき、感謝します。

人は何かモノをいただいた時は「ありがとう」といいます。
また、何かのモノをお借りする時は「お借り致します」というはずです。

そして、その言葉の裏側には何かしらの感謝の気持ちがあったり、思いやりだったりします。

しかし、そのモノをいただいたり、お借りするモノに感謝があるのではなく、その気持ちや思いやりに感謝しているはずです。

このように著作権は、たとえ無形なモノであっても、最低限の人と人との心のつながりや、思いやり、感謝の気持ちは大切にしているはずです。

そこにわたしたちの生活や仕事の中で身近なルールを守る大切な思いやりとして著作権が存在しているのです。

大切にしましょう!人の心と著作権。

©NPО japan copyright association Hiroaki

※おまけ みなさん、走っている人に見えませんか?
これもシャッター・チャンスです。




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