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「M and A」について

残念ながら、経済用語の略名ではありません(笑)

こんにちは。
皆さん、モンテッソーリ教育というのや、あるいはモンテッソーリ(1870-1952)という名前を耳にしたことはありますか。
私もぼんやりと聞いた事があって、読んでみようと思ってはいたけど一冊が中々に高級で手を出せなくて、引っ込んだ口でございます。Wikiや図書館があるでないかと思わるかもしれません。思った以上に見つからなかった、が収穫です。
これについて、詳しく見てみたいと思ったきっかけは「考えて、考えて、考える」(丹羽宇一郎氏、藤井聡太氏著)著者の対談でまさに「モンテッソーリ教育」というのが出てきたからです。対談されている藤井聡太さんは通われていた幼稚園が偶々それをベースにした園だったといいます。これを機に改めてそれについて調べてみようと思いました。本は相変わらず手に入れられてませんが、「6歳までに一生を支える力を育む モンテッソーリ子育て 15か条」(松浦公紀氏著)の目次の15か条を追いながら見てみました。

モンテッソーリ子育て 15か条
1.子どもとの間に確かな信頼関係を築きましょう
2.子どもの目線で、心地のよい環境を整えましょう
3.言葉で説明するのではなく、やってみせてあげましょう
4.「敏感期」に気づき、適切な働きかけをしましょう
5.集中している時は邪魔をしてはいけません
6.自分で間違いに気づくように促しましょう
7.子どもが諦める前に、最低限のサポートをしましょう
8.興味のない事は押し付けるのはやめましょう
9.子どもの要求に対して、いつでも聞く耳を持ちましょう
10.子どもを大人と対等な存在として尊重しましょう
11.急ぎたてるように、いつもなにかをさせるのはやめましょう
12.過剰に褒めすぎず、共感しましょう
13.謙遜だとしても、子どもを悪く言うのはやめましょう
14.得意なことや、良い所を見つけて、伸ばしていきましょう
15.子どもを心から信じて、できるようになるのを、待ちましょう

「6歳までに一生を支える力を育む モンテッソーリ子育て 15か条」(松浦公紀氏著)

どうでしょう。特別になにかしなきゃとという訳でもない事ですが、意外と落とし穴があったのではないでしょうか。これは、本の目次に実際に書かれてるので、興味があれば手に取ってみるのも一興だと思います。
ここを見た時に、私は「センス・オブ・ワンダー」(レイチェル・カーソン著)(1907-1964)はこれを生活に組み込んで甥君と一緒に過ごした記録を思い出しました。こちらの本も著者が学者であるからか、お手紙としても記録としても精密で丁寧で、叔母として柔らかい表現が詰まっています。二人の関わりの中で、レイチェルが甥の見つけてきた情報を補足したり、指摘したりしていません。ただ、彼が見つけた事を見守って過ごしていました。

自分の書いたのにもセンス・オブ・ワンダーがあります。

話を戻します。この15か条、もっと最近に見た気がしたなという既視感がありました。こういう、なんというか、「実践本」みたいなものがあったような、そうでないような、いややっぱりどこかで。と思った時、頭に「アスペルガー症候群」(岡田尊司著)がちらつきました。ペラペラ、ペラペラと捲っていって「アスペルガー症候群の子を指導する際のポイントとは」という表がありました。綴られ方は違えども、その汲み取るポイントは似ている近い点があるように感じました。偶然か否か、これも15項目ありました。

1.一日の流れを、決まったものにする。
2.明確なルールを作り、それを一貫させる。
3.ルールは、できるだけ具体的にする。
4.ルールや日課は可視化し、見えるところに掲示する。
5.一つの行動を行う前に、予めいつまでで終わりと見通しを与える。
6.活動と活動の変わり目では、前もって予告するなど工夫する。
7.お気に入りのことは、苦手の後でする。
8.否定的な言葉を使わずに、できるだけ肯定的な言葉を使う。
9.感情的に叱ることは慎み、どうすればよいかを客観的に伝える
10.よいことは、まめに褒めて強化する。
11.良くない行動を叱るより、良くない行動をしなかったときに褒める。
12.ご褒美は、一回分は控えめで、積み重ねられるものがよい。
13.本人の特性を活かす方法を考える。
14.本人の主体性、気持ちを尊重する。
15.問題行動に過剰に反応せずに、その背景を振り返る。

「アスペルガー症候群」(岡田尊司著)

いかがでしたか。項目の順番が違えども、意外と近しいように思われなかったでしょうか。
アスペルガーは規則やルールの整った事を好みます。私も規律の整っている方が落ち着いてくる質です。ASDを持っている方はシステムに強かったり、あと私が知る限り、結構多くが鉄道や時刻表に興味を惹かれる傾向が多いように感じられます。なんとなく、解る気もします。あの膨大な時間やレール、ルート、鉄道の情報がほぼ決められた通りに往来している、というのは本当に凄いと思います。
この15ルールの上位項目には、続けて「ルールの進行方法とその手順」に纏わることがあります。さて、似ていると思ったものの例として、例えばですが②「明確なルールを作り、それを一貫させる。」が、15か条では②「子どもの目線で、心地のよい環境を整えましょう」であったり、⑨「感情的に叱ることは慎み、どうすればよいかを客観的に伝える」は③「言葉で説明するのではなく、やってみせてあげましょう」に相当しているように感じられました。どちらも、安定したルールや明確な環境が安心感を生み出すからですことを指しているように思われます。モンテッソーリ教育とアスペルガー症候群の指導法が共通しており、信頼を基盤にして自己の育成を促すという目的が似ているように、私は解釈致しました。
他にも結び付く項目があるとは思いますが、よければ読者の皆様が、探してみて遊んでみてください。

これに気づいて、モンテッソーリ教育とアスペルガーの生活ルールって近かったのかなと思いました。
初めて親になる、旧思考法なら親がやってきたみたいにすれば大丈夫だとか誰かの真似をすればいいと、準備も勉強もしなくてぶっつけ本番でこんなはずじゃなかったと精神が滅入ってくるのも想像が着きます。残念なことに、意外と家庭だけでなく、学校も先生の言う事聞けば、問題ないと思われている環境も少なくないようです。正直、気味が悪いと思いました。
子育ては、未だこれまでで浸透した怒声、罵倒や暴力、謙遜で自分の子を見下げた物言いをする、人として見ない、言うこと聞かないのを無理矢理従わせようとする、兄弟親戚、あるいは友人で比較して過剰に褒めたり貶したりなどなど何かしら心当たりのあるのではないでしょうか。仮にそれで「いい子」が出来上がったとしても、自分で克服する力がなくなってしまっているのなら、大きくなってから最初から全部自分で築き直すのは育ったのと同じくらいの時間を目安としなくてはならないかもしれませんね。
日本は物資もシステム、文化などが秀でていることもとてもたくさんありますが、いつか小泉八雲が指摘したように教育においては、令和でも不十分な点が多いのではなかろうかとも感じました。
20代に海外でお世話になっていた時、見かけた反抗期の子がスーパーの中でまさにその歪みに苦しんで大声で泣いて蹲っていたのをみました。概ねその子は中学生くらいだろうかという気がしました。叫び声でほとんど内容は聞き取れませんでしたが、親は腕を強く引っ張って怒りをぶつけていたようでした。場面は印象的でしたが、細部はもうほとんど覚えていません。国は関係なく、大人が子をどう見ているかにだけなんだろうと感じました。
アスペルガーはたまに、見方によっては大人びた子どもに見えると言われます。それは言い方を変えれば、ロボットみたい、あるいは人を小馬鹿にしているという言われ方です。本人にその意図があるかどうかはさておき、同意します。相手との距離感がわからない、接し方も知らないがために起こってしまう一つのパターンで、それの育て方のルールがはっきりしていない為に起こる「あるある」な行動と思います。アスペルガーも言い方は好みませんが、発達障害や自閉症と呼ばれます。それは奇しくも6歳までに負の遺産で、「どうせ」や「自分には無理」を受けて育つに育たなかった結果なのかもというのが私の引っかかるところではあります。

もちろん、違う点もあります。モンテッソーリ教育はすべての子どもに向けた教育方法ですが、アスペルガー症候群に対する指導法は特定のニーズに応じたものです。なので完全一致という訳ではありません。こちらも例えを出すとすれば、モンテッソーリ教育の⑫「過剰に褒めすぎず、共感しましょう」は、アスペルガー症候群の方に相当するのは⑩「よいことは、まめに褒めて強化する。」⑪「良くない行動を叱るより、良くない行動をしなかったときに褒める。」だと思われます。アスペルガーの特徴を持つ子へは褒めるのや褒美をという具体的な対策として挙げられています。モンテッソーリの中では定期的に既に少しずつ刷り込まれている項目で書かれてないのかもしれません。

子どもたちの役に立つ本をと思って探していましたが、まさか自分を立て直すのが先だと教わることになってくるとは思いも寄りませんでした。自分もその重度傾向について書いたので、ご存知の方も多いかもしれません。私の課題は「自分で自分の間違いに気づく、促す、客観的にどうすればいいかを知る伝える」という事だと思います。うっかり「それは違う」ともはや指摘してしまうので、この伝え方はよかったのかなとそれこそたまに引きずってしまうことがあります。
ごくありふれた結論ですが、自分がちゃんと深く成熟していないと子どもたちにそれを伝えて、倣わせてよりよくしていくのに連鎖していくなんて、それこそ無理そのものですね。自分が自分の親になり、子と見直していくために必要な規律なんでしょう。先人たちの著書の多くや先の対談本に感謝です。
大人でもアスペルガーがコントロールされないまま、持ち続けて後で「しまった」と思い出して、じわりじわりと後悔が押し寄せてくることもあるだろうと思います。その差や間隔が少しでもリカバリーを早く、かつ一回を小さくできるようになれたらいいなと思います。ここまで、お読みいただきありがとうございます。
自分を見守るのも、誰かを見守るのも数行もいらないくらいで終わってしまう一言が、人生を懸けて途方もなく難しく長いですね。


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