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2024年2月の記事一覧
【400字小説】左右
横断禁止の四車線の車道を渡ろうとカズマは。
車が来ないから渡ろうとした、その時、
スマートフォンが鳴って確認するとナナからの着信だった。
出るなりナナは「今、大丈夫?」と訊いた。
その直後、中央分離帯の低い段差に
足を引っかけてしまい、見事に転倒。
そこへさっきいなかったはずの
白い軽トラックが向かってくる。
腕に鈍痛が走って、起き上がれない、
轢かれることを覚悟。
軽トラックも危険を察知、
【400字小説】水平
天秤座のタカヒロは青葉市子に夢中で
B’zが好きなマユを愛してはくれない。
マユはバカにされてるのも知ってる。
ただ、愛することだけに徹する。
昨夜、マユはバンドの練習中に豚汁を差し入れて、
からかわれていたタカヒロが、
とりあえず「ありがとう」と言ってくれたことに昇天。
「メンバーもおいしかったって言ってた」という
LINEが来ないか期待、
でもいつまで待っても来ない。
豚汁の入っていた鍋
【400字小説】五輪
長野五輪、他人事で済ませていた
ヨシイは、長野県民なのに。
1998年、開催年だけは言える。
でも、誰が活躍したのかは
リアルタイムでは知らなかった。
あまのじゃくでテレビも持っていなかった、
当時、一人暮らし。
NHKの受信料を徴収されるのを拒んでいた。
実際、テレビ見てなかったんだもの。
それで徴収に来るおじさんと
喧嘩になることがあって、
仕方なく彼女のキヨミヤが間に入って、
白黒テレビ
【400字小説】夕方
大学のジャズ研究部に入ってからというもの、
スピリチュアル・ジャズにハマってしまった。
そんなヤナギダはサックスを50万円で買った、
2年生の夏に、バイトでコツコツとお金を貯めて。
なかなかのイケメンだったが、
恋人ができなかったのは当然だろう。
暇さえあれば音楽のサブスクリプションを
聴いていたからだ。
ところが気まぐれで友人と
夏に海に行った際、逆ナンされて、
まんまと恋に落ちて、夜の営み
【400字小説】撮影
カズキはポーズが多彩。
素人の友だちはもちろん、
モデル仲間からも一目置かれている。
所謂《ジョジョ立ち》をして
カメラに収まっても全く違和感がない、
それでいてオリジナリティ。
まるで東京スカパラダイスオーケストラの
個々のパフォーマンスみたいな感じ。
出る時は出る、引く時は引いて、
前面に出たメンバーをひき立てる、そんな。
しかし、実力は運を味方にするのもそれで、
カズキは売れないモデル。