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【400字小説】林

林のなかでハヤシくんがしていたのは不法投棄。
ブラック企業で働かされているハヤシくんに
とっては断りがたい仕事。
言いなり、投げやり、結局は思いやりが自分に足りない。
廃タイヤを軽トラックから何十本と下ろして、投げ捨てる。

入社して8ヶ月。
体重は12㎏痩せた。
蝕むように削られるメンタル、
思いっきり食べることだけが
ストレス発散方法。

相当食べているのに、太るどころか、
転がるように痩せていっている。
誰にも心配されなくて孤独だから。

一仕事終えて、腹が減って、車内で
コンビニ弁当を冷えたままで食う。
時間は夜10時をまわっている。
仕事はまだまだ続く。
便意を催して、トイレットペーパー片手に
初めてではない野糞を。
屋外での排泄行為はなんとも言えない背徳感。

恍惚に酔っていたら、後ろから
「何してるの!」と女性の声がして驚いて尻餅。
ふたりの警察官だった。
懐中電灯で糞を照らすなり、
「臭えな」と言われて、ハヤシくんは、笑い出してしまった。

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