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夜の冒険 〜知らない道を行く〜

どうも西尾です。

今日の大阪の天気は晴時々曇・最高気温25℃の予報(Yahoo!天気より)で、昨日に続き、過ごしやすい1日となりそうです。

明日からは最高気温が28、29℃くらいにまで上がりそうですので、本格的にエアコンを稼働させなければいけなくなりそうです。

電気代も高騰する中で、あーヤダヤダ、となっております。


夜の冒険

知らない道を行く

昨日、夜の道を自転車で走った。

この道を自転車で走るのは初めてだった。

徒歩でなら通ったことのある道。

自転車で走るといつもと違った気分になった。

夜風に吹かれながら走る。

気持ちが良かった。

歩きならば毎回立ち止まってしまう横断歩道も、自転車ならすいすい進む。

さて、どうして夜に自転車を乗っていたのかというと、それは、スーパーのライフに売っているライフ特製のクロワッサンが無性に食べたくなったからだ。

バターのいい香りと甘さが溢れ出るクロワッサン。

夜風に吹かれながら散歩では無いが自転車で走るのも気持ちがいいし、ちょうど夜風にもあたりたかったところで、夜になりクロワッサンも割引されているだろうと考え、ライフへと向かうことにした。

私が住んでいる地域にはライフが2店舗あり、先ずは少し遠い方のライフへ向かった。

このライフへ自転車で行くのは初めてだった。

車のヘッドライトが眩しい。

テールランプの流れは遠くにいくにつれて小さな赤点になっていった。

テールランプの天の川、なんてあるのだろうか。

上空を見上げると伊丹空港へ向かって飛ぶ飛行機が見えた。

翼端の赤と緑のライトがよく目立つ。

暗闇に浮かぶ赤と緑。

ああ、あれ好きだな。

単純にそう思った。

アンダーパスを通る。

自動車の走行音がよく響く。

チリ〜ン。

自転車のベルを鳴らしてみた。

同じくよく響く。

何だか嬉しくなり、もう一度鳴らしてみようと思ったが、前を歩く通行人に対して鳴らしていると思われかねないのでやめておいた。

アンダーパスから地上へ出るときは足に力を入れて踏ん張る。

変速機無しのママチャリでは上り坂は堪えるがここぞとばかりに頑張る。

もうすぐしたらライフのクロワッサンが待っているのだから。

神社の横を走る。

鬱蒼とした木々が夜風に吹かれてワサワサと音を立てる。

少し背筋が硬ったような気がした。

自転車を漕ぎ続けて15分くらいで、少し離れた方のライフに到着した。

店内に入るとすぐそこにはパンコーナーがあった。

目当てのクロワッサンを探す。

クロワッサン、クロワッサン、クロワッサン、クロワッサン・・・

心の中でクロワッサンをひたすら呟く。

ない。

クロワッサンがない。

何故か分からないが昨日の夜はクロワッサンが完売していた。

チキショウ!、これまた心の中で呟く。

でも、大丈夫だ。

ライフはもう1店舗ある。

場所は分かっているが、そこへの道のりをどうするかが問題だった。

途中まで来た道を戻り、途中にある大きな交差点で左折し、小さな橋を渡り、踏切を渡れば着く。

スマホの地図アプリで道のりを確認した。

こういう時にスマホの地図アプリは役に立つ。

次のライフこそは、そう思いながら後にした。

別のライフへ向かって自転車を漕ぐ。

頭の中はクロワッサンでいっぱいになってきた。

早く行かなきゃ売り切れてしまうのではないだろうか、と心配になる。

逆に、早く着きすぎて未だ割引されていなかったらどうしよう、とも考える。

クロワッサンのことを考えながらライフへ向かう。

途中にある大きな交差点で左折する。

ここの道を通るのは初めてだ。

歩いたことも無かった。

こんな道があったのか、と楽しくなってきた。

夜の冒険だ。

冒険は楽しい、ワクワクする。

途中にインド料理屋さんがあった。

電飾が輝くお店に、美味しそうな料理が載った看板が目に入ったので、自転車を止めて看板に見入った。

どれも美味しそうな料理ばかりで、今度来てみようと思った。

おっと、いけない、いけない、インド料理屋さんに見惚れてしまった。

急がないと、クロワッサンが待っている。

片側1車線の小さな橋を渡る。

そして数メートル先には電車の踏切。

まさかの踏切に引っかかる。

遮断機の音が甲高く鳴り響く。

遮断棒が降り切っているのに電車が来ない。

スマホで時間を確認すると夜の8時半になっていた。

確認していると電車が通過する。

電車の車内は仕事帰りや学校帰りの人で混んでいた。

あの車内の中にも私と同じようにクロワッサンを楽しみにしている人がいるかもしれない。

クロワッサンでは無くとも、何かを楽しみにしている人がいるだろう、そう思った。

電車が通過し、遮断棒が上がり切るとまた自転車を漕ぎ始める。

少し走るとライフが見えた。

もう少しでクロワッサン、そう思い目一杯自転車を漕いだ。

2店舗目のライフに着いた。

店内に入ると野菜コーナーだった。

足早に店内を歩きパンコーナーへ向かう。

クロワッサンを探す。

まさかのまさかだった。

ここの店舗でもクロワッサンは売り切れ。

一気に体中の力が抜けていくような気分になった。

その場で腰が抜けそうになりながらも何とか耐える。

目から涙が流れることは無かったが、そんな気分で店内を歩き回った。

例の物があった。

そう、かりんとう。

クロワッサンの代わりと言っては何だが、かりんとうを購入した。

少し自暴自棄になっていた。

3袋も購入していた。

ライフを出て、空を見上げる。

お店の照明や街頭で夜空が白く霞んでいた。

横断歩道を渡る多くの人と、道路を行き交う多くの車と、クロワッサンにはまだまだ追い付けなかった私と。

かりんとう3袋を自転車の前カゴに積んで帰宅した。

クロワッサンだけでは無いが、欲しいと思った時に欲しい物が無くて、今は欲しくは無いと思っている時に、それが溢れている。

もしかしたら、私が本当に欲していたのはクロワッサンでは無く、知らない道を行く夜の冒険だったのかもしれない。




以上になります。

お読みいただきありがとうございました。


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