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夏目ジウ 掌編・短編小説集

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これまでnoteに掲載した小説をまとめてみました。
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#純文学

ひとまわり【掌編小説】

ひとまわり【掌編小説】

※本文3,605字。
※本作品はフィクションです。

 「これ、だぁれ」
 僕は小学生のころ知らないものを見ると指を差す癖があった。母はまたいつものように僕の名前を呼んではこっちに来るように手招きをする。
 「・・・シゲヤのお姉ちゃんだよ」
 「えっ!?」
 母の声はいつもの厳しさとは真反対のトーンで優しくどこか懐かしかった。
 「閲子(えつこ)って名前で、みんなからエッちゃんって呼ばれていたよ」

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追憶【ショートストーリー】

追憶【ショートストーリー】

 拳の記憶よりも、愛の追憶は遥か深い。
 ボクシング世界タイトルマッチで僅か1R59秒で惨敗を喫した松下タツヤは絶望の淵にいた。
 古びた病院の個室にはユリがずっと付き添っている。両親のいない彼はユリ無しでは生きられない。この試合に勝てばプロポーズをするつもりだったのだ。そんな絵に描いたような幸せを目前にしたまさかの出来事・・・一命は取り留めたが、医師からは引退勧告を受けざるを得なかった。
 「タ

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ぼくの白いおかあさん【掌編小説】

ぼくの白いおかあさん【掌編小説】

※2,622字数。
※本作品はフィクションです。

 小学校時代の親友だったタケシ君のママは美しい人だった。たしか23歳とかだったか。不思議と、鮮明に覚えている。目鼻や顔だちがはっきりした沖縄美人で、見た目は中学生くらいに見えた。小柄で、いつも白のエプロンを着ていた。僕にとっては初恋だった。
 母親がいないせいかもしれなかった。あんなキレイなママがいたら毎日楽しいだろうなとか、授業参観で自慢するだ

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ちぎり【短編小説】

ちぎり【短編小説】

※2,170字数。
 本作品はフィクションです。

 ーあたし、アイドルになるからもう会えない。元恋人のマナは3年前そんな風に別れを告げて僕の元を去った。いつもよりも仲睦まじく地元の文化会館で成人式に参加した帰路の途中だったから、今でもその時の光景は鮮明に覚えている。
 「でも、30歳になったら必ず迎えに行くから」マナの青々しい後ろ姿に向かって僕は声を振り絞った。たぶん、聞こえていなかったかもしれ

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