「“ADHD”について」/ 一点集中型
前回の話はこちら▼
⑤マルチタスクができない
マルチタスクができない。
2つ以上のことを同時にできない。
“一点集中型”で、何か一つのことに集中すると、その他のことが一切見えなくなってしまう。
例えば、学校での授業中。
小学生の頃は特に、先生の話を聞くのに集中していると、同時にノートを取ることができなかった。
逆に、「ノートを取る」ことに集中すると、話をあまり聞けていなかったりする。
例えば、友達と会話をしている時。
友達と話している最中に、他の人からのLINEを開いてしまっても、返信を返すことができない。
「友達と話す」「LINEの返信を考える」を同時に行えないので、そのLINEは一旦既読無視のまま置いておくしかなくなる。
例えば、友達と一緒にご飯を食べている時。
話すのに集中すると、ご飯を味わう余裕がなくなり、味があまりわからなかったりする。
だから私は、「味に集中できるから」という理由で、1人でご飯を食べるのが好きだ。
例えば、楽器を演奏している時。
世の中には「ギターボーカル」と呼ばれている人たちがいるが、
私には、ギター・ベース・ピアノなどの楽器を弾きながら同時に歌うなんて、絶対にできるわけがない。
ギターを弾くのに集中すると歌えなくなる。
歌に集中するとギターが弾けなくなる。
例えば、ダンスをしている時。
大学でダンスの授業を取った際に感じたのは、「手と足で別の動きをすることができない」。
手の動きに集中すると、足の動きがわからなくなる。
足の動きに集中すると、手の動きがわからなくなる。
どちらか片方ずつなら完璧にできるが、どちらもになった瞬間、なにもできなくなる。
例えば、アルバイト中。
居酒屋の接客で、お客さんのオーダー取るのに集中している時、店長に呼ばれても返事を返すことができない。
お客さんを無視するか、店長を無視するか、しかなくなる。
例えば、教習所で車の運転をしている時。
障害物を避ける際、
ウィンカーで合図・前方や後方の安全確認・速度を落とす・ハンドルを切る などを、同時に行うことができない。
安全確認に集中している瞬間はその他のことはできないし、ハンドルの調節に集中している瞬間はその他のことはできない。
(一応免許は取れたが、それ以降乗っておらずペーパーになりかけている)
「頭の中を1つのことで埋め尽くされると、他のことを考える余裕が無くなる」というのもある。
例えば、発表やプレゼンなど、人前で話す時。
「人に見られている」という意識で頭の中が埋め尽くされてしまうと、
「話す内容を考える」ことができなくなる。
だから私は、人前で話すのがものすごく苦手だ。
電車の中によく忘れ物をしてしまうのもそう。
スマホに集中していたり、「この駅で降りなきゃ!」という考えに頭の中を支配されてしまうことにより、残されている脳の容量がなくなるので、「忘れ物」に気付けなくなる。
誰かと話している時、話しすぎてしまうのも、つい大声で話してしまうのもそうだ。
話す内容に集中し、楽しくなってしまうと、「周りを見る」ということに脳の容量を割けなくなる。
その結果、つい早口になったり、声が大きくなったり、話しすぎてしまったりする。
途中で誰かに注意されたり、後から思い出したりしてから初めて気づく。後悔するし、死にたくなる。
「もう二度と人と話したくない」というくらい落ち込むのに、次の日にはまた同じ失敗をやらかす。
何かあったらすぐに病んでしまうのも、その事柄で頭の中を埋め尽くされてしまうからだし
病んでもすぐに回復するのは、別の出来事が起こるとその事柄ですぐに上書きされ、「病んでいた内容」が完全に消え去ってしまうからだ。
「新しい情報が入ると、脳内がその情報で上書きされてしまい、それ以前の情報は消え去ってしまう」というのもある。
例えば、居酒屋でのアルバイト中。
店長に「あとで良いから〇〇やっておいて」と頼まれる。
頼まれてからしばらくの間は、忘れないように「〇〇をやる、〇〇をやる、」と頭の中で唱えるが、
結局、その後お客さんに呼ばれたり、他の作業をしているうちに頭の中から完全に消え去る。
また、これもアルバイト中。
途中までやっていた作業があったが、急にお客さんに呼ばれて、行ってから戻ってきた時。
さっきまで何をやっていたかわからなくなり、違う作業を始めてしまう。
しばらく経ってから「〇〇途中だった!忘れてた!」となる。
たまに自分でも怖くなるくらい、頭の中から完全に消え去って無くなる。本当に怖い。
こんなにも弊害が多い「一点集中型」という特性だが、逆に、「集中力がある」という長所に捉えることもできる。
私が、絵を描くことが好きなのも、美大に入ることができたのも、“集中力”がなかったらできていなかったと思う。
自分の長所だと思っていた“集中力”が「ADHDの特性」だと言われてしまったら、なんだか悔しい気もするが、まあこれはこれで良かったのかもしれない。
◯対策
これに対する対策は、まだあまりわかっていない。
現時点で、対処しきれていない。
強いて言うなら、例えば、
・「あとでやっといて」と言われた物でもその瞬間すぐにやるか、見えるところにメモしておく。
・2つのことを同時にやらなければならない時、どちらか片方はおざなりになってしまうが、全くやらないのではなく、できる限りの最低限の力でやる。
もう片方のメインとなる方は、長所である“集中力”を活かし、全力で集中する。
・2つのことを同時にやる時、「同時にやる」という考え方ではなく、「交互にやる」という考え方で行う。
例えば、授業中には、ある瞬間は「先生の話を聞く」のみを行い、また次の瞬間には「ノートを取る」を行う。
例えば、アルバイト中には、ある瞬間は「お客さんのオーダー取る」のみを行い、そちらをおざなりにしても大丈夫だなと思った瞬間に、「店長に返事」をする。(呼ばれてから少し時間は経ってしまっているが、しないよりはマシ)
こんな感じで、「同時に」ではなく、切り替えを多くしながら「交互に」行う。
片方が終わった瞬間すぐに切り替え、もう片方を行う。
これらが、今の私が思いつく限りの対処法である。
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