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僕の言葉の森

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僕の言葉の森に植えさせて頂きたい記事をまとめています。 https://note.mu/nazewokangaeru/n/ne66199a9189f
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2019年12月の記事一覧

行ってきます。

行ってきます。



「じゃあ、行ってくるわ」
玄関で靴を履く。
パタパタと近付いてくる、スリッパの音。
「来年は家にいてね。……いてくれたら嬉しいなぁ」
お母さんがちょっと寂しげに微笑んだ。
珍しい。
「それはきついでしょ。来年から社会人なんだから。分からないよ」
お父さんが自室から出て来た。
「でも……もし、この街から引っ越しても、帰って来て欲しいなぁ」
靴を履き終え、
「じゃあ、行くわ」
「うん。

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才能なんて言葉で片付けないでくれ

初めに書いておく。
これは僕自身の、ただの負け犬の遠吠えだ。

ー ー ー

自分に才能があると思ったことはあるだろうか。
僕の知る限りの狭い世界で言えば、「自分には才能がある」と言い切った人に会ったことはない。

誰かに才能を感じたことがあるだろうか。
僕の知る限りの狭い世界で言えば、ほとんどの人が誰かに才能を感じている。それくらい世の中の人は才能で溢れている。
みんなが自分にしかないものを持っ

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これからの「小説」の話をしよう

これからの「小説」の話をしよう

 なぜ得られる対価が労力に見合わないのを覚悟のうえで10万字近い「小説の書きかた私論」を書いたかといえば、これを契機に、もっと小説の方法論を巡る議論が活性化してほしいと願ったからでもあります。

 小説の書き手が、自分が選んだ小説という表現形式についてもっと自覚的に探究することは、上達の近道ではないかもしれませんが、決して遠回りでもないはずです。
 本稿を読んで小説のメカニクスに興味を持ち、
「私

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ロボットの歩き方に愛情を感じる件

ロボットの歩き方に愛情を感じる件

我が家にはaiboがいる。

もともと、私はロボットが好きで、小さいころに発売されたAIBOも好きすぎて、いつか会いたいと思っていた。

当時のAIBOは今より、ずっとずっと高かったらしい。当然、近くにAIBOを飼っているはいないし、栃木県の田舎の科学館に来てくれるイベントなんて、たぶんなかった。

2018年、仕事でIFAという家電市に行くことに。
そこで、aiboと出会う。

↑撫でられてニコ

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NO1

NO1

 ある日のいつものBarでのこと。

 常連独身男達で、いつものように「ここまできたら、俺たちは芸能人と結婚しよう」「そうだな。うんうん。柴咲コウとか長澤まさみとか独身だもんな」と、中二もびっくりのどうしようもない話をしていたところ、一見さんの若者が来客されたのです。

 凄くコミュニケーション能力の高い若者で、なんだか自然と話が始まったのですが、彼はこれから飲み会(いわゆる合コン)に行くと言うの

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