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映画、ドラマの感想

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「アメリカン・フィクション」の感想(ネタバレあり)

「アメリカン・フィクション」の感想(ネタバレあり)

Amazonプライム・ビデオ配信限定作品。
今年のアカデミー賞に何部門かノミネートされていてとても気になっていたし、インテリ作家が本が売れないからいかにも悲劇的なベタベタな黒人物語を書いたらバカ売れしてしまうという、観る前から聞いていたおおまかなストーリーがもう面白い。

そんな感じでもっとブラックで笑える作品なのかなと思いきや、観始めると主人公の家族の問題とかがかなりリアルなディテールがあってあ

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「私が熟れた季節」の感想(ネタバレあり)

「私が熟れた季節」の感想(ネタバレあり)

「星の時」という小説で日本翻訳大賞を取った女性作家クラリッセ・リスペクトルの小説をもとにした文芸官能ドラマ。
以前映画監督の三宅隆太さんが2022年の年間ランキングでチャンピオン枠に選ばれていたので気になってAmazonプライム・ビデオで鑑賞。

物語自体は一人の孤独を抱えた女性が一人の男との交流によって藻掻きながらも前向きに生きていくことができるのか?というシンプルな話のはずなのに全体的にとても

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「見えざる手のある風景」の感想(ネタバレあり)

「見えざる手のある風景」の感想(ネタバレあり)

Amazonプライム・ビデオ配信限定作品。

宇宙人に侵略された未来を舞台にしたディストピアSFなのだけど、設定がいちいちフレッシュで面白かった。

宇宙人が侵略しにきた所が描かれるのではなく、宇宙人の侵略はもう終わり地球が完全に植民地化された状態から映画は始まる。

主人公が絵を描く事が好きなのだけど、彼の幼い頃から描いた絵を写すことで段々普通の世界から何かが起こって日常が壊れていった事を示し、

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「カサンドロ リング上のドラァグクイーン」の感想(ネタバレあり)

「カサンドロ リング上のドラァグクイーン」の感想(ネタバレあり)

Amazonプライムビデオオリジナル配信限定作品。
実在のレスラーであるサウル・アルメンダリスの生き様を描いた実録モノの映画作品。

レスラーでエクソティコというのが「変わり者」という意味らしくてこの映画ではヒーロー役とか悪役とかと違う色物系のキャラクターみたいな描かれ方になっている。そしてこのエクソティコが試合をすると負け役なのがセオリーになっている。
元々は悪役レスラーを覆面でやっていたわけだ

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「夜明けのすべて」の感想(ネタバレあり)

「夜明けのすべて」の感想(ネタバレあり)

主演が松村北斗という事でSixTONESファンっぽい人達や、もう1人の主演である上白石萌音との「カムカムエヴリバディ」での夫婦役の2人の再共演という事で朝ドラファンっぽい人達もいるのか、かなり客席は埋まっていた印象。

ただ映画ファン的には何と言っても三宅唱監督の新作という事でめちゃくちゃ期待していたけど、今回もやはり傑作になっていたと思う。

三宅唱監督の優しい目線

「ケイコ目を澄ませて」と同

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「哀れなるものたち」の感想(ネタばれあり)

「哀れなるものたち」の感想(ネタばれあり)

ヨルゴス・ランティモス監督最新作。
観る前に「自殺した身重の女性の死体にその赤ん坊の脳を埋め込み蘇生させる」という大まかなストーリーを知って観たので、めちゃくちゃ重くて悲劇的な話だと思っていたのだけど、ギリギリの倫理観でめちゃくちゃ笑えるブラックコメディ映画にしているのは流石ヨルゴス・ランティモス監督だと思う。

主人公ベラの出生に関してはそりゃ倫理的にはダメなのだけど、その出生を知っても呪う事無

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「アクアマン/失われた王国」の感想(ネタバレあり)

「アクアマン/失われた王国」の感想(ネタバレあり)

「アクアマン」の続編にして「マン・オブ・スティール」から始まったDCエクステンドユニバースの最終作。
この先はジェームズ・ガンプロデュースによりDCユニバースとして仕切り直しになる訳だけど、今作はこれまでのDCEU映画をまとめる要素とかはほぼ無いので、観終わっても特にこれまでの感慨とかも感じず、最後がパトリック・ウィルソンがゴキブリ食って終わるラストシーンで笑った。

冒頭の海賊が巨大コンテナ船を

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「Saltburn」の感想(ネタバレあり)

「Saltburn」の感想(ネタバレあり)

「プロミシング・ヤング・ウーマン」のエメラルド・フェネル監督最新作で、Amazonプライム・ビデオオリジナル配信限定作品。

監督前作「プロミシング・ヤング・ウーマン」に引き続き主人公の企てがどう展開していくのかがハラハラしたし、どこまでが計画なのか?観ているこちらをも欺くクライマックスに痺れる。

とても映画的な演出があるし、役者の微細な表情の変化とかが重要な作品なので映画館で観れるのが一番だと

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「サンクスギビング」の感想(ネタバレあり)

「サンクスギビング」の感想(ネタバレあり)

「グラインドハウス」内に収録されたイーライ・ロス監督によるフェイク予告編を改めて長編映画として製作するという流れで出来た映画なのだけど、「グラインドハウス」を未見なのでもしかしたらニヤリとする小ネタとかがあったかもしれないがそこは抜きにして、単純に大好きなイーライ・ロス監督の新作映画という事のみで楽しんできた。

感謝祭で浮かれる町での惨劇から始まるのだけど、田舎のデカいショッピングセンターでのワ

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「キャンディ・ケイン・レーン」の感想(ネタバレあり)

「キャンディ・ケイン・レーン」の感想(ネタバレあり)

Amazonプライム・ビデオオリジナル、配信限定作品。

エディ・マーフィー主演で吹き替えが山寺宏一だったりして、子供の頃に観てたテレビのロードショー映画の雰囲気そのままで、個人的には映画館のスクリーンで観る作品というより、テレビで観るのにちょうど良い映画という感じ。
作品自体も何か目新しい事にチャレンジしようとしている訳じゃなく、ベタなクリスマスファミリー映画の楽しさを再び再現しようとしているみ

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「ハロウィン・キラー」の感想(ネタバレあり)

「ハロウィン・キラー」の感想(ネタバレあり)

あんまりどういう設定のホラー映画かよく分からず観始めたので、数分でいきなり伝説の殺人鬼が主人公の母親を殺す展開にビックリした。
この辺が割とあっさりしていたので、この後どうなるのかと思ったら、そのあと主人公であるジェイミーも殺人鬼に狙われ、逃げ場が無くなった彼女が友人の催し物の出し物として作ったタイムマシンで、殺人鬼が最初の殺人を行う1987年にタイムスリップしてして、母親に殺される前に事件を阻止

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「眠りの地」の感想(ネタバレあり)

「眠りの地」の感想(ネタバレあり)

裁判モノの映画でトミーリー・ジョーンズ演じるオキーフが自分が受け継いできた葬儀屋を守る為、大企業と争う事になるのだけど、裁判を決める陪審員が黒人がメインになる事を考慮して、黒人弁護士でノリに乗っていたジェイミー・フォックス演じるウィリーに白羽の矢が立つ。

冒頭の黒人教会での演説だけで彼が人の心を掴む天才であるの示されているしジェイミー・フォックスの演技力で引き込まれる。
あと上手いのがここで黒人

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「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」の感想(ネタバレあり)

「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」の感想(ネタバレあり)

僕が生涯ベスト級に大好きな映画である「パディントン2」のポール・キング監督作という事でめちゃくちゃ期待して観に行ったけど、想像以上な大傑作だったと思う。
今作を観る前にティム・バートン監督版の「チャーリーとチョコレート工場」を改めて予習をしたのだけど、全然違う世界観だったし正直観なくても問題無かったなぁという印象。
ただ原作は読めていないのでどちらが近いのかよく分からないけど、ティム・バートン版の

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「エクソシスト 信じる者」の感想(ネタバレあり)

「エクソシスト 信じる者」の感想(ネタバレあり)

エクソシストの続編。
最近流行りの2とか3は無しにした一作目の直接的な続編という事らしいけど、観た感じだと普通に2、3の後の話として解釈しても良さそうな続編でちょっと安心した。2も3も割と好きなので。

今作を観る前に「エクソシスト」第一作を鑑賞してから映画館にむかったのだけど、一作目はやはり改めてめちゃくちゃ面白い。

エクソシストのシリーズの続編はその後四作作られているのだけど、4、5作目は前

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