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マイクロノベルちょいす

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ほぼ100字小説をテーマ別にまとめ直しています。 運がよければ週に5回ぐらい更新します。
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#ぬいぐるみ

マイクロノベルちょいす 073「ない物」

マイクロノベルちょいす 073「ない物」

No.1328
一つ売れると、立て続けに同じ商品が動くことがある。「UFOのぬいぐるみはありますか?」あー、ないですねー。さっき同じことを聞いてきたお客さんがいたけど。「今から仕事で必要なんです!」その話、ちょっと気になるけど、ないものはないですねー。

No.1337
おかしいな。宇宙人と契約した水道管から水が出ないんだ。超光速で宇宙の果てから届くって聞いたのに。「残念ながらお客様の住所は『飲料

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マイクロノベルちょいす 045「あそぼ」

マイクロノベルちょいす 045「あそぼ」

No.1180
吾輩は猫だったかもしれない。ついに、自分の名前が書かれたネズミのぬいぐるみをもらった。お姉ちゃんが「これはみっちゃんの物だよ」って。むふー。絶対に誰にも渡さないぞ。「みっちゃんが前世でよく遊んでたよ」どおりで匂いを嗅ぐと安心するね。

No.1192
犬がぼくの目の前にやってきて、礼儀正しくお座りをした。奇妙なものをくわえている。ロープみたいに見えるけれど、汚れたリードのようにも見

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マイクロノベルちょいす 044「モリモリやる気」

マイクロノベルちょいす 044「モリモリやる気」

No.1177
悪魔の俺が気づくとぬいぐるみになっていた。体が上手く動かないし、自分の姿もわからない。ここはどうもぬいぐるみ売り場のようだ。幼子がやってきて、俺の隣のぬいぐるみを指さす。「この天使がいい!」な、なにぃ!? 悪魔の誘惑の力、見せつけてくれる!

No.1203
「テストを開始します」ぼく、開発当初からこのテストが苦手なんだ。地下通路に設置された監視カメラの前で男が踊ってる。こいつが人

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マイクロノベルちょいす 039「君の魅力」

マイクロノベルちょいす 039「君の魅力」

No.1149
知ってる? ボタン一つで歌声を生成するこの機械には隠しコマンドがある。「デイジー、デイジー」ほら、呼びかけに応えた。あふれ出るのは、すべてを架空の音に置き換えた歴史。オーケストラのすべてを詰め込んだ過去。これは浴びる音楽の機能。

No.1165
ランニング中に思い詰めた表情の男性に呼び止められた。「そのダサTを売って下さい!」聞けば、苦労してダイエットに成功したのに恋人から別れ話

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マイクロノベルちょいす 035「あと一押しで……!」

マイクロノベルちょいす 035「あと一押しで……!」

No.1130
星の海を渡ってきた連中と戦争が始まった。科学力の差は歴然。だが人類には秘策が! 大穴を掘って宇宙人を埋めたのだ。その地方の名物エイリアン饅頭、お一つだどうだい? 最近、すごく美味しい実がなる木が生えてね。あの宇宙人、どうも植物だったぽいね。

No.1140
報酬を決めて下さい。お金、水、言葉。なんでもかまわないでしょう。さあ、働きますよ。集めてもだーれも褒めてもくれない。還元も不

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マイクロノベルちょいす 005「あなたの支配者」

マイクロノベルちょいす 005「あなたの支配者」

996
「たった一つの着想から生まれた君は、たくさんのクマさんが縫えるんだね」個性なんて知らないわ。私は捨てられたぬいぐるみを集め、綿を取り出し、食べる。生まれるのはクマさん。さあ、歌いましょう。元気よく。愛らしく。勇ましく。夢の楽団まであと一歩。

1013
「一時間後にまた来い」そう言われたので、ぼくは腕時計をセットする。時間とは天体の運行なのだ。時計を操作すれば、逆に宇宙が動くのだ。地球が回

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