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マイクロノベルちょいす 045「あそぼ」

No.1180
吾輩は猫だったかもしれない。ついに、自分の名前が書かれたネズミのぬいぐるみをもらった。お姉ちゃんが「これはみっちゃんの物だよ」って。むふー。絶対に誰にも渡さないぞ。「みっちゃんが前世でよく遊んでたよ」どおりで匂いを嗅ぐと安心するね。


No.1192
犬がぼくの目の前にやってきて、礼儀正しくお座りをした。奇妙なものをくわえている。ロープみたいに見えるけれど、汚れたリードのようにも見える。手で触れると、ボロボロになって崩れ落ちてしまった。もしかしてお前、タイムリープしてない?


No.1199
どうも、新しい仕事を始めた透明人間です。まあ本当のところは人間じゃないんだけど、透明だから確認する方法もないだろ? この場合、透明だってことの方が重要なんだよ。よし、働くぞー! 銭湯で体に泡がついてる人にお湯をかけるんだ。こりゃ重労働だよ。


No.1204
うちの人参畑からキャベツが生えてきた。なぜ? 「そんな質問は無意味です。なぜなら私はニンジンだから」確かに味は人参だ。「この特長を生かして、新しい商売を始めましょう! キャああああ!?」世にも珍しい緑色のキャロットジュースはいかがですかー。


No.1209
小雨が降る日に、駅の改札で時刻表をもらった。発車時刻の代わりに、車両が雨雲とすれ違う時刻が書かれている。「最近の気象庁はこんな仕事をやってるんだね」お父さんはつまんなそう。AIに仕事を取られてヒマなんだって。時間があるならあそぼ。



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