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法律と税金のこと以外ならなんでも書きます。依頼是非

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    僕が出したアルバムのセルフライナーノーツです

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記事一覧

閉鎖病棟日記「退院をする」

 退院をする。前日から皆が見せかけでも惜しんでくれる。ずっと見かけてはいるが話したことはない患者が「もっと早くから話したかった」と言った。僕は照れと人見知りで適…

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2週間前
9

閉鎖病棟日記「退院が決まり、睡眠薬もキメる」

 退院が決まった。退院に向けて動いている。ゴミがゴミ袋に収まっているというだけの部屋に帰る。気力を呼び起こすための酒と睡眠薬を使う。睡眠薬は黒とオレンジの、嘘み…

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3週間前
10

自撮り論

 この世の中から全ての、人間の手による絵画が消失する時は、きっと全ての人が自撮りをする時にAI補正だけを使う時だろう。自分がどう見えて、どうなったら満足かというの…

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4週間前
1

閉鎖病棟日記「外泊をする」

 早朝からやっている喫煙可能店へと歩く。その一キロ程度の道のりは不慣れな故か携帯のマップがてんで方向違いな方向へと導く故か、酷く自分を苛立たせる。ようやく辿り着…

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4週間前
4

閉鎖病棟日記「なしくずしの生を生きる」

 四月一日から社会は動いているらしい。まあ社会が動いていない日などないのだが、そんな当たり前なことすら無職には眩しく目を瞑る。目を瞑れば光の名残が虹色をしたまま…

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1か月前
4

閉鎖病棟日記「人権とトリップについて思案したること」花見がしたい

「今日から暖かくなるって」  昨日、泣きたくなるほど優しいおじさんが言った。もう、あちーっすもんね。ねー、上着いらないよね。 「月曜日退院する」  女の患者が得意…

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1か月前
3

閉鎖病棟日記「人の機嫌を取る」

 朝日がうまいこと当たらない部屋で、部屋の電気が点く。それを知ってか知らずか、その一時間後くらいに起きる。飲み水を汲みにホールまで出ると、女の患者がトテトテと走…

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1か月前
4

閉鎖病棟日記「気が狂うほど正しくなりたい」

 金はなぜか思ったよりも少なく、なぜかと考えればすぐに僕の生活能力のなさ故と理由がつく。それに加えて自殺志願者的思考も理由に充てられ、そのくせ死ぬ勇気がないから…

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1か月前
10

閉鎖病棟日記「音楽を聴き、楽器を買う」

 病院でコロナが出、病棟で五人コロナ患者が出れば完全に閉鎖されるらしく戦々恐々としている。五人中四人は埋まり、他の一人は熱を出している。  夜中、アドバイス癖の…

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1か月前
5

閉鎖病棟日記「酒ばかり飲んでいる」

 もう、他人や出来事がキツくて仕方ない。すべての環境が自分を自殺に追い込むために用意されたもののような気がしてならない。かといって、それで自殺しないのはそれほど…

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1か月前
4

閉鎖病棟日記「カウンセリングがあった」

カウンセリングがあった。以下記録。太字はカウンセラー。 まず今日愚痴ってもいいですか? えぇ。愚痴? はい、どうぞ 郵便局行ったんですよ。入院してるので配達を止…

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1か月前
2

閉鎖病棟日記「すべての一挙手一投足は拳を作るためにあるのだろう」

 まあ特に何事もなく、何事という扱いをするのも恥ずかしいことばかりが起きて、何事も起きていないのに何事未満のことに振り回されて禁じられた飲酒ばかりしている。  …

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1か月前
6

閉鎖病棟日記「湿度のある好意が怖い」

死にたい。文頭の空白を省いたのは単に間違えたのではない。死にたいと言うのにただ一呼吸すら必要ないのだ。  朝起きる。昨晩話した女の患者が 「たなかくん大丈夫かな…

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1か月前
4

閉鎖病棟日記「女性ホルモンを打ちに行く。エクステを付けに行く」「継続しているカウンセリングを受ける」

 今日は女性ホルモンを打ちにジェンダークリニックに行った。片道一時間半を超える道をバス電車徒歩を駆使して行く。  毎回定期的に通っては無断でサボって行かなくなっ…

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1か月前

閉鎖病棟日記「疲れて死にたいけどいい日」

 今日も相変わらず疲れている。主治医にひどい疲労感と断眠を訴え、話を聞いているのだかわからない態度で接される。まあいいや。僕の憂鬱が誰かに伝わるとも思えない。な…

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2か月前
5

閉鎖病棟日記「疲れた」

 前舌のピアスの調子が悪く、飯を食う時煙草を喫む時などことあるごとに外れる。その度に恥ずかしげに舌を少し出して金属片ではないらしい何かを吐き出す。  前よりは酷…

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2か月前
2

閉鎖病棟日記「退院をする」

 退院をする。前日から皆が見せかけでも惜しんでくれる。ずっと見かけてはいるが話したことはない患者が「もっと早くから話したかった」と言った。僕は照れと人見知りで適当な応対を、眉間を掻きながらする。
 その患者と話すとウマが合い、自分たちは似た者同士だと錯覚し合う。僕は退院した後にはまた人と話さない生活に戻るのだろうと思い、それなりに惜しい気持ちになる。昼食、夕食と飯を食べる度に時間が経つのを感じる。

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閉鎖病棟日記「退院が決まり、睡眠薬もキメる」

 退院が決まった。退院に向けて動いている。ゴミがゴミ袋に収まっているというだけの部屋に帰る。気力を呼び起こすための酒と睡眠薬を使う。睡眠薬は黒とオレンジの、嘘みたいな配色をしていて、身体に悪いことを脳に伝え続けている。

 まずはパックの日本酒。最初は酷く飲みづらい酒だと思っていたのに、今ではおつまみや肴がなくても普通に飲むことができる。それからモンスターエナジー。それはカフェインの錠剤代わりだ。

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自撮り論

 この世の中から全ての、人間の手による絵画が消失する時は、きっと全ての人が自撮りをする時にAI補正だけを使う時だろう。自分がどう見えて、どうなったら満足かというのは病的かつ個人的な問題である。そしてそれは人間の心とさして変わりはない。
 人間が滅びるとするなら、他人より自分の方が美しく見えるという病が流行りきることによって起きるだろう。鏡によってもたらされた革命はスマートフォンのインカメが、フォト

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閉鎖病棟日記「外泊をする」

 早朝からやっている喫煙可能店へと歩く。その一キロ程度の道のりは不慣れな故か携帯のマップがてんで方向違いな方向へと導く故か、酷く自分を苛立たせる。ようやく辿り着くとそこの喫茶店は気難しそうな店主が、その短く刈り込んだ白髪を輝かせながら忙しそうにしている。入るのにも躊躇し、入ると喫茶店のBGMとして最適解のFMラジオが流れていて、否が応でも今日は平日だということを伝えてくる。アウトロに被せるように入

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閉鎖病棟日記「なしくずしの生を生きる」

 四月一日から社会は動いているらしい。まあ社会が動いていない日などないのだが、そんな当たり前なことすら無職には眩しく目を瞑る。目を瞑れば光の名残が虹色をしたままぼんやりと残り、暗闇に戻る。そして無職。

 三月三十一日の夜、ちゃきちゃきとしたおばちゃんワーカーが部屋に訪ねてきだ。彼女は、四月一日から違う病棟に移ることになったと言い、今までの非礼を詫びた。彼女の言動から非礼を感じたことがなかったので

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閉鎖病棟日記「人権とトリップについて思案したること」花見がしたい

「今日から暖かくなるって」
 昨日、泣きたくなるほど優しいおじさんが言った。もう、あちーっすもんね。ねー、上着いらないよね。

「月曜日退院する」
 女の患者が得意げに言う。こういうのは話半分で捉えた方がいい。やばい患者ほどそう言うのであって、それは気分や看護師の都合や親の都合で簡単に反故にしたりされたりする。
「こんなとこいたくないって。人権侵害だから訴える」
 女はひどく調子が悪そうで、面会の

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閉鎖病棟日記「人の機嫌を取る」

 朝日がうまいこと当たらない部屋で、部屋の電気が点く。それを知ってか知らずか、その一時間後くらいに起きる。飲み水を汲みにホールまで出ると、女の患者がトテトテと走ってきて、「今日はホールに出れる? お話ししようよ」と言った。「わかった」微笑。僕の微笑に女も続いた。それよりも今日は雨が降っているから、喫煙所で煙草が濡れるのが嫌だなあ。

 人と喋る。ただそれだけで酷く消耗し、消耗しているなどと知られた

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閉鎖病棟日記「気が狂うほど正しくなりたい」

 金はなぜか思ったよりも少なく、なぜかと考えればすぐに僕の生活能力のなさ故と理由がつく。それに加えて自殺志願者的思考も理由に充てられ、そのくせ死ぬ勇気がないから死ぬほど怖くなる。
 それに加えて頼みの綱であったクレジットカードの割賦枠も恐ろしいほど減額され、万事が僕に死ねと言っていると錯覚する。そんなことばかりだ。僕は全てが怖くて仕方ない。人に嫌われること、公園で煙草をポイ捨てすること、クレジット

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閉鎖病棟日記「音楽を聴き、楽器を買う」

 病院でコロナが出、病棟で五人コロナ患者が出れば完全に閉鎖されるらしく戦々恐々としている。五人中四人は埋まり、他の一人は熱を出している。

 夜中、アドバイス癖の患者が珍しく轟音のいびきをかき、咳をする。それだけで小心者の僕は怯える。もちろん小心者の僕が幻聴をしている可能性も捨てきれない。
 朝起きれば看護師からそれを伝えられるとその患者はわかりやすく機嫌が悪くなり、普段の悟り切ったぶった年長者の

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閉鎖病棟日記「酒ばかり飲んでいる」

 もう、他人や出来事がキツくて仕方ない。すべての環境が自分を自殺に追い込むために用意されたもののような気がしてならない。かといって、それで自殺しないのはそれほど辛くないからでも強いからでもなく、自分が自殺できるかもしれないなんて思えないからだが。僕には自殺する才能すらなかった。

 郵便局に行けば国際郵便物のハイプロンを手違いで返送してしまったと言われ、「こちらの手違いなので全力を尽くします!」と

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閉鎖病棟日記「カウンセリングがあった」

カウンセリングがあった。以下記録。太字はカウンセラー。

まず今日愚痴ってもいいですか?

えぇ。愚痴? はい、どうぞ
郵便局行ったんですよ。入院してるので配達を止めてるわけじゃないですか。だからそれの更新に行ったんですよ。そしたら、郵便局の手違いで一つ荷物──まあ酩酊のための薬ですけど(笑) 合法ですよ? もちろん──が返送されてたんですよ。で、まあそれはいいんですけど。まあ良くないですけど(笑

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閉鎖病棟日記「すべての一挙手一投足は拳を作るためにあるのだろう」

 まあ特に何事もなく、何事という扱いをするのも恥ずかしいことばかりが起きて、何事も起きていないのに何事未満のことに振り回されて禁じられた飲酒ばかりしている。

 僕は他人に嫌われる勇気も好かれる勇気も持ち合わせていないので、どちらにしても僕はびっくりしてしまう。後者の方がわりかし多いことには感謝をしているけれど、好意があらかじめ決められた期限をもって失効していくことも、やはりこの歳故に知っている。

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閉鎖病棟日記「湿度のある好意が怖い」

死にたい。文頭の空白を省いたのは単に間違えたのではない。死にたいと言うのにただ一呼吸すら必要ないのだ。

 朝起きる。昨晩話した女の患者が
「たなかくん大丈夫かなってずっと思ってたの。今日から私四日間いないじゃない? その間たなかくん大丈夫かなって」
ゲロを吐きそうになった。いつお前を必要としたんだと叫び出したくなった。その言葉を飲んだせいでゲロが出そうになった。僕はこういう余計なお世話が本当に嫌

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閉鎖病棟日記「女性ホルモンを打ちに行く。エクステを付けに行く」「継続しているカウンセリングを受ける」

 今日は女性ホルモンを打ちにジェンダークリニックに行った。片道一時間半を超える道をバス電車徒歩を駆使して行く。
 毎回定期的に通っては無断でサボって行かなくなってしまうその病院にまた顔を出した。行かなくなる理由は面倒臭さだったり、ホルモンが通販で買えることだったり、待合室にいる美女や擬態の上手い人を見るのが辛いことだったり、受付に話す患者のその作られた声が苦手だったり、待合室にいる女装したおじさん

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閉鎖病棟日記「疲れて死にたいけどいい日」

 今日も相変わらず疲れている。主治医にひどい疲労感と断眠を訴え、話を聞いているのだかわからない態度で接される。まあいいや。僕の憂鬱が誰かに伝わるとも思えない。なぜこんな文章を書いているのかもよくわからない。

 今日はスーパーに行き、粉コーヒーとゼロカロリーコーラを買う。ようやく地理感覚が掴めてきたが、何をするにも疲れる。その糖分やらが入っているのかよくわからないゼロカロリーコーラを飲み、配食は食

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閉鎖病棟日記「疲れた」

 前舌のピアスの調子が悪く、飯を食う時煙草を喫む時などことあるごとに外れる。その度に恥ずかしげに舌を少し出して金属片ではないらしい何かを吐き出す。

 前よりは酷くないはずだ。生きるために頑張っている。すぐ疲れる身体をなんとか鞭打って喫煙所まで行く。行くと知り合いがいたりいなかったりする。無愛想な中年男性が背中を向けて、やはり無愛想に煙草を喫んでいる。疲れた。
 煙草を喫む度に少しずつ目減りしてい

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