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不動産考察

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日本の不動産に関する考察を連載形式で執筆していきます。時々専門的なことを書きますが、基本的には事前知識の無い方にも理解しやすいように平易な言葉で説明してきます。
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記事一覧

激減する訪日観光客(2020年3月速報値)

激減する訪日観光客(2020年3月速報値)

2019年12月、中国武漢市でコロナウイルスの最初の症例が報告されて以降、「武漢が凄いことになっている」と他人のように見ていた世界中の人にとって、コロナウイルスの猛威は、今や正にそこにある危機となって襲い掛かっている状況です。

日本の観光産業も大きな打撃を受け、観光業、宿泊業とも総崩れの状況にあります。

コロナショックの影響にて、訪日外国人数が激減したということは感覚的には理解できるのですが、

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コロナショックと賃料減免について考える

コロナショックと賃料減免について考える

コロナショックの影響で、不動産の借主(テナント)側が、店舗の休業による減収やリストラなどにより住宅賃料の支払いが厳しくなっている状況になっています。

不動産賃貸業つまり貸主(オーナー)側にとっては、このコロナショックの影響は、借主(テナント)側が一義的に影響を受けるものであり、賃料収入が得られると安泰というビジネスモデルなので、影響は間接的というのが本来的な賃貸借関係かと思います。

ただ、この

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REITの賃料は大丈夫か?

REITの賃料は大丈夫か?

コロナショックによる緊急事態宣言を受けて、娯楽施設、飲食店舗などが休業を余儀なくされ、賃料の支払いに窮する例が相当出始めております。

3月31日には国土交通省が不動産関連団体に対して、賃料の支払い猶予の要請を行うに至りました。命令ではないものの、国土交通省は宅地建物取引業の主務官庁であることから、大手不動産会社(殆どが宅建業者)は一定程度の対応を迫られるものと考えます。

【2020年3月31日

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日本でテレワークが浸透しない5つの障壁

日本でテレワークが浸透しない5つの障壁

コロナウイルスの影響で、大企業を中心としてテレワークにて業務対応する企業が増えつつありますが、緊急避難的な一時的な対応に留まっている企業が殆どではないでしょうか。

「会議もZOOMにてできちゃうし、テレワーク最高!」という前向きな方が増えつつあるのは非常に喜ばしいことであり、これを奇禍として変革していこう!と考える人が多く出始めています。

ここまでは「義務的テレワーク」のフェイズであり、今後は

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コロナショックと不動産価格を考える

コロナショックと不動産価格を考える

コロナウイルスが猛威を振るう中、不動産業界でも価格7割下落論が大手不動産会社の幹部から指摘されるなど、総悲観ムードが漂っています。

今回のコロナショックが不動産価格に相当ネガティブなインパクトを持つことは間違いないです。

なお、私の立場を説明させていただくと、不動産価格が上がろうが下がろうが殆ど影響ないビジネスを展開しておりますので、不動産屋のアゲアゲ支持派でないという立場を冒頭で表明しておき

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コロナショックとリーマンショック 東京の不動産価格について考える

コロナショックとリーマンショック 東京の不動産価格について考える

この原稿を執筆している2020年3月末現在、中国発のコロナウイルスによる感染者数は世界で70万人、死者が3万4千人となり世界的なパンデミック状況になっています。

日本でも、東京圏、大阪圏などの大都市を中心に感染者数が日増しに増加しており、都市のロックダウンの現実化一歩手前という状況となっています。

今回のコロナショックは、リーマンショック並み、更にリーマンショックを超える経済への打撃を与えると

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【不動産考察 第6回】REITバブルの崩壊?

【不動産考察 第6回】REITバブルの崩壊?

本原稿の執筆の前日、2020年3月19日時点のJ-REITの投資口価格(株価)が急落し、ベンチマーク指標である東証REIT指数の終値は、前日比▲260.16ポイントとなり、▲18.51%と大暴落となりました。

既に、今年の高値からの半値になっており、相当行き過ぎ感があるというのが実感です。

一日でこれだけ売り込まれるのは、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災以来の出来事と記憶

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民法改正と不動産業への影響 まずは全体像から

民法改正と不動産業への影響 まずは全体像から

2017年5月26日に成立した民法改正が、いよいよ2020年4月1日から施行されることになり、不動産に関わる契約ルールも今後は改正民法を前提で処理されるようになります。

今回から連載で、不動産業における契約実務への影響を分かりやすく解説していきます。また、これから宅建試験を受験される方にも有益な情報となるように意識して書いていきたいと思います。

改正のポイント今回の民法改正のポイントとしては、

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【不動産考察 第5回】コロナショックと不動産

【不動産考察 第5回】コロナショックと不動産

新型肺炎による経済への影響は甚大であり、不動産マーケットにもその荒波が押し寄せてきています。

この原稿を執筆している2020年3月15日時点では、先週の株式市場は連日大幅下落を見せたかと思いきや、買戻しで暴騰するなどまるでジェットコースターのような相場となっています。

総じてみれば、日経平均では年初来高値である24,115.95から17,431.05となり約28%の下落となり大幅下落が進んでお

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【不動産考察 第5回】住宅ローンはフルローンで借りてください

【不動産考察 第5回】住宅ローンはフルローンで借りてください

住宅ローンの頭金。今回はこれについて考えてみましょう。

【住宅ローンは親に相談するな!】従来、金利が高い時代を生きてきた諸先輩方、つまり、自分の親世代の考え方は、「住宅を買うのに頭金を用意しないなんてどうかしている!」というものです。住宅ローンを借りるときに親に相談しないでください。彼らは絶対に理解できないですから笑

我々の親世代が借りた住宅ローンは、金利8%などとてつもなく金利が高い時代に借

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【不動産考察 第4回】住宅バブルの再到来?

【不動産考察 第4回】住宅バブルの再到来?

今や不動産は「負動産」や「腐動産」などと揶揄される存在にまでなり下がってしまいました。当然、超高齢化社会、人口減少社会に既に突入している日本では、場所やモノをちょっと間違えれば不動産の所有自体が将来的にマイナスの資産となりかねない時代となっており、今後、この傾向はますます加速していくものと「総論としては」私自身信じて疑いません。

もはや、郊外の戸建を購入するのは、リスクを抱え込むだけであり、既に

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【不動産考察 第3回】手を出していい不動産と手を出してはダメな不動産

【不動産考察 第3回】手を出していい不動産と手を出してはダメな不動産

週刊ダイヤモンドの特集で「不動産・開発 危うい狂乱」という特集が組まれておりますね。ダイヤモンドの記事はややプロ向けの内容でしたので、正直分かりにくかったと感じた人が多かったのではないでしょうか?

今日は、不動産業界にいながらなかなか言い出しづらいことを申し上げます。

なお、不動産には、住宅、事務所、店舗、ホテル、倉庫、工場など様々なアセットタイプがありますが、ここでは住宅に的を絞ってみてみた

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【不動産考察 第2回】投資利回りについて

【不動産考察 第2回】投資利回りについて

今回からは不動産投資家や不動産業界関係者の初級講座的な記事を書いていきます。今回は不動産投資の利回りについて考えていきたいと思います。「利回り10%超!」だけの説明を受けて飛びつく人はさすがにこの記事を読む人にはいないと思いますが。ここでは簡単なものから、少しプロっぽい指標までここでは解説していきます。これらの違いをきちんと認識していないと痛い目にあいますので、ここで頭を整理してみるのも有用だと思

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【不動産考察 第1回】自宅は購入か賃貸か?

【不動産考察 第1回】自宅は購入か賃貸か?

今回からシリーズとして、自宅購入の際の様々な議論について私見を述べていきます。第1回目は、【不動産】自宅は購入か賃貸か?という遠大な議論について決着させたいと思います。不動産関連事業に従事しておりますと、自宅を購入したほうがいいか?賃貸のままがいいか?についてお友達からよく聞かれます。結論から言えば、私自身は「条件付きで自宅は購入すべき派」でありまして、これには経済合理的な理由があります。まずは、

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