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神は… 「カラマーゾフの兄弟」ドストエフスキー ★4,5

やっと読めた~。いつぞやの某古本屋でたまたま1冊108円だったか?3冊セットであってラッキー!で勢いで買ってそのまま…数年経つ。この前、やっと意を決して読み始めた。で、なんとか読み終えた~。読んでるときは、コレいつ読み終わるんかなーとか思ってたけど、終わったら終わったで寂しいものがあるな。

1880年『カラマーゾフの兄弟ドストエフスキー
新潮文庫 上・中・下巻 訳 原卓也

【上巻】約660ページ〈第一部〉
カラマーゾフ家の歴史、父フョードル、長男ドミートリィ・次男イワン・三男アリョーシャ、ゾシマ長老、修道院での会合、父フョードルの家、リザヴェータ・スメルジャーシチャヤの話、アリョーシャがドミートリイの家へ、ドミートリイの告白、次に父の家へ、スメルジャコフ、ドミートリイ乱入、次にカテリーナの家へ、グルーシェニカもいる、修道院に向かう途中でドミートリイ、修道院から僧庵へ、隣の部屋へ、リーズのラヴレター、皆を思い十字を切り眠るアリョーシャ。
〈第二部〉
長老の話、フェラポント神父、アリョーシャ父の元へ、ホフラコワ夫人の家へ行く途中で中学生の諍いに、ホフラコワ家へ、カテリーナとイワンがいる、カテリーナの頼みでスネギリョフの家へ、さっきの中学生イリューシャいる、外で話、お金受け取らず、カテリーナへ報告しにホフラコワ家へ、カテリーナ寝込んでる、リーズとラブラブ、スメルジャコフとマリヤ、飲み屋でイワンと会話、イワンの告白、叙事詩「大審問官」、イワンと別れる。


【中巻】約610ページ
続〈第二部〉
アリョーシャと別れたイワン、父フョードルの家へ、スメルジャコフと話、父から頼み事を受けるイワン、家を出てモスクワへ行くイワン、スメルジャコフとグリゴーリイが寝込む、グルーシェニカの来訪を待つフョードル、修道院でゾシマ長老の最後の話、長老亡くなる。
〈第三部〉
腐敗臭が漂う、ショックのアリョーシャ修道院を出る、ラキーチンとグルーシェニカの元へ、グルーシェニカの話、過去の男の手紙、アリョーシャ僧庵へ、夢を見て長老の声を聞く、外に出て大地への接吻、何かがアリョーシャの魂に訪れる、三日後修道院を出て俗世へ、ミーチャ(ドミートリイ)お金が欲しい、サムソーノフ、ゴルストキン、ホフラコワ夫人の所へ行くがお金手に入らず、父フョードルの元へ、事件!、三千ルーブル、グルーシェニカの家へ、話聞いてピストル取りにペルホーチンの所へ、酒と食料買い込み、モークロエに馬車で向かう、宿でグルーシェニカ達と合流、ポーランド人と争い、グルーシェニカとの一時、警察達来る、一方でペルホーチンはホフラコワ家で話、警察達の紹介、尋問、証人の供述、連行。


【下巻】約660ページ〈第四部〉
コーリャ少年、イリューシャに会いに、そこで俗人版アリョーシャにも会う、医者が来る、コーリャとアリョーシャの話、イリューシャ危ない、去る、アリョーシャはグルーシェニカに会いに、その後ホフラコワ家へ、リーズと話、刑務所へ、ミーチャと話、グルーシェニカと話、イワンと話、別れてそれぞれ帰る、イワンは三度スメルジャコフと会う、事件の真相、イワン家に帰る、悪魔の悪夢、スメルジャコフが首吊ったと知らせるアリョーシャ、裁判始まる、証人喚問、最終弁論、検事イッポリートの論告、弁護士フェチュコーウィチの弁論、協議、判決は明日に延期。
〈エピローグ〉
アリョーシャ、カテリーナの所へ、次にミーチャのいる病院へ、カテリーナ来る、グルーシェニカも来る、その後イリューシャの葬式へ、少年達へ語るアリョーシャ。




主要な登場人物

フョードル・パーヴロウィチ・カラマーゾフ
父、物欲の権化、強欲、好色、狡猾、下品、成り上がり地主、グルーシェニカにぞっこんラブ、ドミートリイより怖いのはイワンだと

ドミートリイ(ミーチャ)
長男、最初の妻の子、28歳、放蕩無頼、情熱的、直情的、母なるロシアの匂い、善と悪の不思議な混合物、父とは金と女の確執、グルーシェニカにぞっこんラブ、モデルはイリインスキイ懲役20年

イワン(ワーニャ)
次男、後妻の子、24歳、インテリ、冷徹、合理主義、無神論、不条理世界を受け入れられない、ヨーロッパ主義、カテリーナが好き、叙事詩「大審問官」、後に発狂気味、悪魔

アレクセイ(アリョーシャ)
三男、後妻の子、20歳、修道僧、信心深い、純情、優しく真面目な好青年、美青年、調停役、民衆(ナロード)の原理、聖人的

スメルジャコフ
使用人(コック)、私生児で兄弟かも、母は神がかり行者、てんかん持ち、卑屈、陰湿、闇、臆病、フョードルに恨み?、イワンを信奉、ギター弾く

アグラフェーナ(グルーシェニカ)
妖艶、奔放、魅惑的、肉体の魅力、フョードルとミーチャがメロメロ、過去の恋の傷

カテリーナ(カーチャ)
ミーチャの元婚約者、美人、知的、強い自尊心、裕福、本当はイワンが好き

ゾシマ
修道院の長老、人格者、アリョーシャの師匠的、幼少時の兄の死の影響

リザヴェータ(リーズ)
ホフラコワ夫人の娘、14歳、アリョーシャとラブラブ、足が悪い、後半何か違和感、イワンとの話の影響?(書く予定だった話の伏線か)




感想まとめ

解説(原卓也)を読むと、どうやら未完の作品だったらしい。知らなかったー。そう言われると未完だね。これでも十分大作だったが、ドストさんが満足するまで書けてたら、どんなことになってたか。一説には「アリョーシャが修道院を出て、リーザとの愛に傷つき、革命家になって皇帝暗殺の計画に加わり、断頭台にのぼることになっていた」と。読みたい!けど無理だから…だったら、未完ということを知らずにいたかった気もする。見直すと、一番最初の「作者の言葉」に書かれていた。やっぱ忘れてるなー。

結構、難解そうなイメージがあったけど、物語の展開だけを理解するだけならそう難しいこともない。ただ、そこにある深遠なテーマを理解しようと思うと難しいな。特に重要な、神や信仰については、やはりそういう土壌で生まれ育ってないので体感しにくい。当時のロシアの社会状況やキリスト教(ロシア正教?)なんかをふまえたうえで読むと、もっと理解しやすいんだろうな。
作品の核といわれる「大審問官」、分かりにくかった笑。権力と自由の問題? 大審問官とキリストのやりとり。というか大審問官の一方的な攻め。そして、全て理解の上に許すキリスト。
イワンの語ることはもちろん共感できる。そこで語られる人間の残虐性を表すいくつかの例。鬱。犠牲になる無実の人たち、その上に築かれる調和した世界。そんな世界認められない。一体、純粋無垢な子供たちが犠牲になるのは何なんだ。神は何してる?いないのか? もし神がいないのであれば、善も悪もない、何しても許される。もしかすると、ホントのところ世界ってそうなのかもしれない。人間が創りあげた幻想の中で生きているのだろうし。ただその幻想の世界がリアルなのであって、より良い世界を構築するために、やはりルールを守ることが大事になるのだと思う。(より良い世界を構築することが人間の目的なのかどうか分からないが)なんか書いててよく分からなくなってきた笑
あと神の有無についての問題には馴染みがある。たぶん多くの人が考えることだと思う。が、これに付随する「不死」と訳されたコレは「よみがえり」ということか?死後復活。これがまた馴染みない。どっちかというと輪廻転生のほうがしっくりくる。

一応、主役はアリョーシャだけど、なんかイワンのほうが重要な感じがする。未完だからか。とはいえ、多様なテーマを含んでいるため、主要キャラの多くが重要な役割を担っているんだろうけど。

父フョードルが一番恐れていたのは、あの粗暴な長男ドミートリィよりも、次男のイワンだという。そして、(たしか)スメルジャコフ曰く、父に一番似てるのはイワンだというし、(たしか)ラキーチン曰く、イワンにはカラマーゾフ家の問題のすべてが在る(女好き、強欲、神がかり行者=狂人)と言ってたように思う。
父フョードルが死んで一番得するのはイワンということで、もしかすると、以前から、イワンの心の底には、この父殺し事件についての考えがあったのかな。そしてその通りになったと。しかし、あの無神論とはいえ、罪の意識?良心の呵責?があって、悪夢の悪魔現象になったのか。

あと強い印象を受けたのは、やはりアリョーシャの大地への接吻シーン。分かりにくい、というか体感しにくいけど、一種の霊的体験?みたいな。何かが魂に訪れ、精神的な大きな変化、成長を遂げる。一生忘れられない体験。
それと、ラストの子供たちへの贈る言葉。

美しい神聖な思いでこそ、最良の教育ではないか。そういう思い出をたくさん集めて人生を作り上げるなら、その人はその後一生、救われるだろう

ついでに、ゾシマ長老の素敵なお言葉も。

古い悲しみは人の世の偉大な神秘によって、しだいに静かな感動の喜びに変わってゆく。

人を愛する者は、人の喜びをも愛する。真実で美しいものはすべて、常に寛大さに充ちている。

本作の冒頭と、どこかでゾシマ長老が言ってた(と思う)、この言葉も重要なんだろう。当時のロシアの革命家関係だったよーな。

一粒の麦が地に落ちて死ななければ、それはただ一粒のままである。
しかし、もし死んだなら、豊かに実を結ぶようになる。
ヨハネによる福音書第十二章


あと細かいとこで気になったのが、
・グルーシェニカのラキーチンへの態度がひどかったけど、その中で「あなたなんてキノコみたいな存在だけれど…」てのが、ちょっとウケた笑 どゆこと笑
・葱の話は、蜘蛛の糸と同じ?なんか元ネタとかあるのかな。今度調べよう。
・ホフラコワ夫人とペルホーチンについては、「この出会いが後に青年の出世の足掛かりに。カラマーゾフ物語終わった後に一言触れるかも」という記述があったので、何か書かれる予定があったんだろうな。これもまた気になる。
・「臆病な絶望」という言葉が気になるが、よく分からなかった。「今日我が国の貧しい社会においては、きわめて多くのものがこの臆病な絶望におちいり、冷笑的態度(シニスム)と社会の堕落を恐れる。生みの大地の母性的な抱擁に身を投じる」
・キス文化も分かりにくい。顔や手足にキス。親愛の表現?
・父殺しは、神殺し?


にしても時間かかったなー。これを読んで、理解しようと考え、まとめる。出来の悪い頭だから、限界がある。うまくまとめられない。そもそも文章力に難あり。なので、また後々に、文章に加筆修正を加えていこう。

まあでも、とりあえず、ずっと読みたいと思ってたこの作品を読むことができて、多少なりとも理解できたということで、良しとしよう!





★\(^^)/☆


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