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19.深夜に病院直行

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プロローグ
1.男の役目
2.ドキドキとそわそわ
3.初めての産婦人科
4.ママの成長記録
5.夫の役割
6.母子手帳
7.妊娠3ヶ月
8.マタニティブルーとパタニティブルー
9.安定期
10.胎動の確認
11.性別の確認
12.絵本と名前決め
13.マタニティ旅行の計画
14.マタニティマーク
15.妊娠後期
16.産後の準備
17.立ち会いについて
18.いつ陣痛が来てもおかしくありません


12月3日(37週5日 午前)

トイレに行きたくなって夜中に目が覚めた。時刻は午前3時を少し回っていた。僕がトイレに行き、再びベッドに潜り込むと今度は妻がトイレに行った。

妻は最近は一段とトイレが近くなっている。赤ちゃんが下に下がった影響で膀胱が圧迫されるのだ。

妻がトイレから帰ってきた。
僕はなんとなく頭が冴えていたこともあって妻に「体調はどう?」と声をかけてみた。

すると妻は元気のない声で「お腹が痛くて眠れん。」と答えた。
妻がベッドに入ったのは0時でそこから3時間程度痛さのあまり一睡もできていないというのだ。続いて「陣痛きたかも」と妻は答えた。

僕が次の日仕事であったため、妻は僕に気を遣い起こすことなく痛みに耐えていたらしい。なんだか申し訳ない気持ちになった。

「病院に行こうか?」と僕は提案したが、妻は朝までもう少し様子を見てみると言った。しかし、病院までは車で30分はかかる。痛くなってからでは間に合わないかもしれない。ましてや朝のラッシュ時には30分では到底着けない道だ。

僕はなんとか妻を説得して病院に行くことにした。服を着替えて準備をする。妻はもう一度トイレに行くと言った。

するとトイレから出てきた妻は慌てた様子で「破水したかも!!」と言った。
破水とはお腹の中の羊水が出てくることで、赤ちゃんの生命線となる羊水がなくなるとそれは赤ちゃんの危険を意味する。

なので僕は妻の報告を聞いて慌てた。急いで用意をする。
破水をしたら即入院だ。
二階に置いてある入院セットを取りに行く。

妻にはなるべく安静にしてもらい、代わりに僕が準備をする。いつ何時入院してもいいように妻が準備をしていてくれたから即座に家を出ることができた。

車の中で妻が病院に連絡をして、夜間診療の手配をしてもらう。僕はなるべく振動が起こらないように安全にかつ、最速を目指して病院に向かった。

インターホンを鳴らし病院に入る。
迎え入れてくれた助産師の方は「今日は冷えますね」と明るく話してくれた。
何気ない日常会話だがその一言で安心した。

僕たち二人にとっては未知の領域だが、プロである助産師の方が落ち着いた表情を見せてくれると何も慌てることはないという気持ちになった。

助産師によると、破水による急患は今晩だけでも僕たちで3組目だということだった。「今日は何かあるね」と言って笑ってくれた。

一旦分娩室に入り、妻のお腹の張り具合と赤ちゃんの心拍を図る器具をお腹にセットした。これをすることにより陣痛の度合いと赤ちゃんの心拍が波形で表示される。

診断の結果、妻にも赤ちゃんにも問題はなく健康であるとのことだった。

その後、抗生剤の点滴を行った。これは先日診断されたB群溶連菌を防ぐためであった。なので出産するまで4時間おきに打たなければならない。

朝の8時半に先生による内診があるためそれまでは、病室で寝ていてくださいとのことだった。病室に入ったのは5時半だった。妻はベッドに横になり、僕は椅子にもたれウトウトした。

助産師からは旦那さんも一旦家に帰ってお休みしてくださいと言われたが断った。妻はきっと不安がると思ったからだ。僕としてもすぐに病院に来れる距離ではないから近くにいたかった。

しかし椅子にもたれウトウトしているとあることを思い出した。それは昨晩、炊飯器のスイッチを入れたままかもしれないということだった。米は全部抜いた記憶があるのだが、炊飯器の電源を落とした記憶がない。

釜が熱いままでは火事の危険性もある。僕はやはり自宅に帰ることにした。自宅に帰って炊飯器を確認したところ電源はきちんと切れていた。僕は一旦仮眠をしようかと思ったが再び起きれる気がしなかったので再び病院に戻った。
この間はまさに通勤ラッシュ時で病院と家の往復で2時間弱かかった。

病院に戻ると妻は朝食の時間だった。やはり痛みのあまり寝れていないとのことだった。

8時半になり先生による内診を行った。診断結果は特に問題もなく、あとはしっかりとした陣痛を待ってくださいと言われた。僕は本陣痛だと思っていたものはそれは前駆陣痛だということがわかった。

本陣痛はもっと定期的に5分おき、4分おきの間隔で痛みもさらに強いものになるというものだった。

再び病室に戻る。点滴が始まる。寝れるのは今しかないので今のうちに体力を温存してくださいと助産師に言われた。妻も僕も少し眠った。

昼前に助産師から歩いてくださいと言われた。じっとしていてはお産が進まないため、ゆっくりと30分ほどかけて棟内の廊下を歩いてくださいとのことだった。

僕にできることはこれぐらいで妻と一緒にゆっくりと歩いた。すれ違う助産師さんは笑顔で「頑張ってくださいね!!」と声をかけてくれた。

とても温かいスタッフのいる病院でとても嬉しかった。妻もそのスタッフの声に笑顔で答えて張り切って歩いた。



次回は「出産」

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