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9.安定期

前回までの記事はこちら
プロローグ
1.男の役目
2.ドキドキとそわそわ
3.初めての産婦人科
4.ママの成長記録
5.夫の役割
6.母子手帳
7.妊娠3ヶ月
8.マタニティブルーとパタニティブルー


6月28日(16週1日) 

今日から安定期に入る。妊娠5ヶ月目となる。妊娠初期から今まで比較的落ち着いた状態で安定期に入ったことはとても喜ばしいことだ。

検診のたびに医師からも「順調ですね」という言葉をもらっていた。安定期に入ると安産祈願に行こうかという話をしていた。安産祈願は戌の日に行くものらしい。なぜ戌の日に行くのか、その風習やどういう意味合いのものかはあまりわからない。

こういった神様にまつわることにはあまり興味が持てない。最近は仏壇に手を合わせる回数が増えたのだが、それでもスピリチュアルなことには関心がない。本当に妻の体を、赤ちゃんの体を心配するなら祈りというものに時間を捧げるのではなく、知識を得たり、情報を得たりする時間に注いだ方がためになるのではないかと思ってしまう。

しかしながらあまり情報を手に入れすぎると却って不安になるような気もして、こうして赤ちゃんが大人になった時に見せれるような文章を綴っている。ただの自己満足と言われればそれまでだが、こういうママとパパの想いからあなたは生まれたのだよと「今」を綴ることは悪くないと思っている。

どちらにせよ安産祈願は行くつもりでいる。場所は妻の実家の神社に行こうかなと思う。ゆかりのない場所に行くよりもお義父さん、お義母さんが一緒にこれるような場所の方がいい。


最近は名前を考える時間が少しづつ増えてきた。子どもを持っている人に聞くと、名前をギリギリまで迷ったという話も聞く。まだ性別がわからない段階で名前を考えるのは早いかなと思ったが、今の時期から候補を挙げておくべきなのだろう。しかし、顔を見ていない状態で名前をつけるのはなんだか失礼だなという気もする。生まれてきた赤ちゃんの顔を見てその時に直感的に名前が浮かびそうな気もするのだ。

でもそれじゃ間に合わないから、今のうちから考えておくべきなのだろうと思う。
名前をつける上で気をつけたいことは、呼ばれやすい名前であることが望ましいと思っている。何度も名前を呼びたくなるような語感、音。そういう名前がいい。妻にどんな名前がいいかと尋ねると、三文字がいいとのことだった。ぼくも妻も名前が三文字であることと、名字が二文字であることから名前は三文字の方が語感がいいのではないかという意見だった。

そこでいくつかをぼんやりと候補に挙げているのだが、なかなかしっくりとくる名前が出ない。かろうじて思い浮かんでいる名前は今のところ、男なら「ハルト」、女なら「ユイカ」だ。漢字はまだない。時々いいなと思いつくものもあるのだが、知り合いに同じ名前がいたり、有名人を彷彿させる名前であるとどうしても敬遠してしまう。

かといって奇をてらう名前をする気にもなれない。五十音表を見ながら、アナグラムのように並び替えたりとしているがなかなか難しい。一生使う名前なので難しいのは当たり前だ。

名前には名付け親の想いが備わっていると言えるが、言い換えればそれはエゴとも言えると思っている。こんな風に育って欲しいという想いを名前に封じ込めるということは、呪いとも言える。

それに名前というものは昔に比べれば「名前」そのものには価値がなくなっていると思っている。ネットの社会では自分のアカウントを作る時に本名を名乗らないケースが多い。本名を名乗らず自分の好きな名前になり、他の自分になれることができるのだ。

誰もが発信する時代、この感覚はさらに増すと思っている。なので昔ほど、「一生名乗る名前だから」と力む必要はないのかもしれない。こういった考えから名付けという行為に少し冷めた感情もある。

しかしながらぼくはきっと本気で名前を考えてしまうと思う。親のエゴだと思いながらも「こうなってほしい」という想いを込めた漢字を見つけ、こう呼びたいという音の響きを重視すると思う。もし、その名前が気に入らないと感じたらごめんなと思う。でもこれでも一生懸命考えた名前なんだと、そんな言葉を返せると思う。



7月15日(18週4日)

最近は妻がよくお腹の赤ちゃんに向かって話しかけているのをよく見る。赤ちゃんは耳が発達して音を聞けるようになっている。最初はぼくも時々形だけでもという思いで妻のお腹に話しかけていたのだが、ある情報を耳にして積極的に話しかけるようになった。

それは赤ちゃんはお母さんの声とお父さんの声を聞き分けることができるということだ。お母さんの高い声とお父さんの低い声の違いがわかることの上にお腹に手を当てている人の違いもわかるらしい。赤ちゃんは自分が思っている以上に急成長を遂げている。赤ちゃんであると同時に一人の生命として人間になっている。僕はこれらの情報を聞いてから、毎日朝家を出る前に「いってきます」と妻のお腹に話しかけるようになった。産まれてきて赤ちゃんを抱っこした時に「パパだよ」とちゃんと挨拶できるように。


18週目に入ると、いつも開いている子育てアプリから「そろそろ胎動がわかる時期に入りました」というお知らせがきた。しかし、妻に確認してもまだはっきりとわからないとのこと。

妻のお腹に耳を当て確認してみるけれど、何か動いているような水のような音が聞こえた気がした。でもそれは気のせいだと思うレベルで希望的観測にすぎない。

もしものことがあったらどうしようと不安になった。ネットの情報を基準にしてそれが当てはまらないととても不安になる。目に見えないことだから尚更だ。しかし深く調べてみると18週ごろからわかり始めるというだけで、確実にわかるようになるのは21週目ごろだということ。まだはっきりとした胎動がわかる時期ではない。来週は1ヶ月ぶりの健診だ。その時元気に動きまわっている姿を見て安心したい。

妻が学生時代の友人と遊んで先輩ママである友人から子育ての情報を仕入れてきた。ベビーグッズをレンタルしたとのことや、離乳食のこと。各家庭の旦那さんの対応も様々で積極的に育児に取り組む人もいれば、そうでない人もいる。

妻の友人からすると僕は子煩悩になるタイプらしい。多分きっとそうなる気もするけれど、どちらかというとそうでありたいという気持ちが強い。自分のことは後回しで子や家族のことを想えるような、そんな父親だ。しかしそんな風に強く望むのは僕は自分で精一杯なところがあるということを自覚しているからだ。




次回は「胎動の確認」

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