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6.母子手帳

前回までの記事はこちら
プロローグ
1.男の役目
2.ドキドキとそわそわ
3.初めての産婦人科
4.ママの成長記録
5.夫の役割

5月7日(8週5日)

8週目になった。そして今日は2回目の検診の日。順調にいっていれば心拍が確認できるとのこと。僕も病院に同行することにした。
ドキドキするね、という妻。でも僕はなんとなく大丈夫な気がしていた。きっと元気に育ってくれていて心拍も確認できると根拠もないのにそう思っていた。


内診室に入る。左手のエコーに目をやる。前回とは見違えるほどの大きな胎盤が確認できて、その中に白く映る頭と胴体が見えた。人間だ。心拍も確認できて出血もしていないし問題ないです、という先生。

診察が終わり妻は安心して「よかったよかった」とお腹をさすり、僕も「よかったよかった」と言った。先生に言われるまでもなく赤ちゃんがわかった。この妻のお腹に生命が宿っていることがとても不思議な気がした。

前回は、その白い影は点だったのに今回は人間とわかるぐらいの形をしていた。違和感があるし、不思議だ。でも待ち遠しい。徐々にゆっくり育って欲しいと思う。

十月十日とは赤ちゃんの成長に必要な時間であると同時にパパとママにとっても親になるための必要な時間なのだ。もし、人間が一週間や二週間で生まれれば親としての準備期間が短すぎて赤ちゃんを迎え入れる環境ができないかもしれない。だからゆっくり成長して、その間にパパとママもゆっくり親にならせてもらおう。


次回は5月中に来てください、と先生が言った。
待合室で待っていると、看護師から説明が入った。
「心拍確認できておめでとうございます。」
看護師はそう言って母子手帳とこれからの流れについて説明を始めた。

現在住んでいる市役所に行き、母子手帳をもらってくださいとのこと。また当院ではマタニティカフェといった催しもあるから是非参加してくださいとのこと。
出産までの流れやQ&Aが載っている冊子をいくつかもらった。


そしてその流れで市役所に行き、母子手帳をもらった。ここでも母子手帳をもらう際に説明が入った。職員の方に満面の笑みで「おめでとうございます」と言われてなんだか照れくさくなった。全くの他人におめでとうと言われるとなんだか、おもはゆい。

職員の方は「つわりは大丈夫ですか?旦那さんは家事を手伝ってくれますか?」と聞いてきた。
旦那さんは家事を手伝ってくれますかと聞かれて、少しイラっとした。皿洗いに、洗濯、時々料理もするようにして精一杯サポートしているつもりだが、なんだか責められているような気がした。しかし、この感情こそがいけないのだと思った。「精一杯サポート」という時点で「妻の家事を手伝っている」という感覚なのだ。少し反省した。

職員の方から母子手帳、別冊母子手帳、副読母子手帳、子どもの予防接種についての冊子、マタニティカフェの冊子、そして父子手帳をもらった。
母子手帳だけでも三つもあることに驚いた。母子手帳は就学時まで使うらしい。
何歳でどの予防接種を受けたか、どの病気にかかったかを書くところがある。赤ちゃんの記録を書くものだ。そして別冊には妊娠検診の補助券などが入っている。


そして一番驚いたのは父子手帳だ。母子手帳は聞いたことがあったが父子手帳は初めて聞いた。これは自治体によって発行しているところと、していないところがあるらしい。

父子手帳には夫のノートとして妊娠初期、中期、後期の夫の気持ちを書くページや、出産の際に夫がするサポートの仕方、また赤ちゃん誕生の記録や、生まれてからの子育て術が書いてある。ところどころに自分で記入する箇所があり、その時の心境やどのようなことをしたかを書くことによってパパとしての成長記録を見れるようにもなっている。

この手の記録をつけるのは少し苦手だ。どうしても書かされているような気がして上手に書こうとしてしまう。このブログのように妊娠の記録を自分の意思で書く分にはなんの抵抗もない。ありのままを書いているし、ひょっとしたらこれは自分だけに留めておくものになるかもしれない。誰のためでもなく自分のためだ。もし自分以外の誰かにとっても大切な文章というならば、それは生まれてくる子どもや妻のためである。この文章こそが宝である、誇れるものだと思う。

しかし、だからと言って父子手帳が白紙のままだとそれはそれで悲しい。子どもが大きくなって父子手帳を見せてくれと言われて何も書いていなかったら自分に対する愛情もそんなものかと思うかもしれない。少し義務的ではあるが父子手帳も頑張って書こうと思う。



次回は「妊娠3ヶ月」

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