【うたかたの日々のために。】No.2「あなた」

　あなたのことがわからない。あなたがいま、なにを思っているのか、なにを求めているのか、どこに向かっているのか、これからどうしていきたいのか。あなたには、たしかにひかるものがあって、わたしは、そんなあなたのひかりにこころをうばわれた。それは、とても小さなともし火のようだったけれど、いつかかならず、大きなかがやきとなって、世界をてらすような気がしていたんだ。けれど、いまはどうだろう。あなたのひかりはどこにあるのだろう。あなたの姿はどこにも見あたらず、あのとき、たしかに見たひかりも、まぼろしのよう。世界は影でつつまれている。空と大地をわかつ稜線がどこにあるのかもわからない。わたしは目をとじる。影にもう一膜、まぶたで影をかさねる。するとどうだろう。先ほどまでの不安はふと消え、わたしは悠久の暗黒へと身をゆだねる。わたしたちはもともとひかりとは無縁だったのだ。揺蕩うわたしには、それがはっきりとわかった。（狭井悠）

《今日のぼんやり》

　毎日更新195日目。400文字のスケッチ、思っていた以上に書いていて面白い。コラムとはちがって、なにか、心の奥のほうまで入って言葉を拾い集めてくるような感覚がある。ミニコーナーにも「ぼんやり」と題したけれど、そういう、ぼんやりとした何かを、毎日書き続けることでつかんでいく空間にできればと思う。読む方も、そんな感じで、ぼんやりと楽しんでほしい。

　今日もこうして、無事に文章を書くことができて良かったです。

　明日もまた、この場所でお会いしましょう。

　それでは。ぽんぽんぽん。